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 2020 春季生活闘争
電力総連2020春季生活闘争の進め方(その3)
電力部会 2020春季生活闘争 妥結結果
電力総連2020春季生活闘争の進め方(その2)
電力総連2020春季生活闘争の進め方(その1)
電力総連2020春季生活闘争方針を決定!



■ 電力総連2020春季生活闘争の進め方(その3)
令和2年4月9日
第3回中央交渉推進委員会
電力総連2020春季生活闘争 今後の進め方(その3)
 2020春季生活闘争については、日本経済の景気後退や事業運営の先行き不透明感に加え、新型コロナウイルス感染症の蔓延による消費マインド減速や日本経済への影響などの急激な環境変化により、交渉環境は厳しさを増している。
 電力総連加盟の各組合は、第2回中央交渉推進委員会(令和2年3月4日開催)で確認した「電力総連2020春季生活闘争 進め方(その2)」を踏まえ、4月7日現在で232組合が要求書を提出し、97組合が賃金、賞与・一時金、労働協約改定等のいずれかの項目について解決に至っている。
 賃金については日本経済や事業環境の先行き不透明さも相まって昨年と比べ厳しい交渉状況にあるものの中小組合の賃上げ水準は全体平均を大きく上回る傾向にある。また、賞与・一時金については過去最高額となる金額を獲得した組合が複数あるなど、年間の妥結水準は昨年を上回る傾向にある。これらは電力関連産業全体の「底上げ」「底支え」「格差是正」につながる成果といえる。
 後続する組合は、先行する組合が引き出した回答を最大限活かし、構成総連・業種別連絡会・電力総連との緊密な連携のもと、要求趣旨に沿った解決がはかれるよう、最後まで粘り強く交渉を展開していくこととする。
1.全体の解決状況
(1)賃金引き上げ
<連合の概況>

○ 4月6日に公表した賃金の解決状況では、賃上げを要求した2,061組合のうち、賃上げ分を獲得したのは919組合、獲得割合は44%となっており、昨年水準(53%)を下回る水準となっている。

○ 平均賃金方式で回答を引き出した2,277組合のうち、賃上げ分が明確な組合1,228組合の定昇相当分+賃上げ分は加重平均で6,359円(2.15%)、そのうち賃上げ分は加重平均で1,390円(0.46%)となっており、額・率ともに昨年を下回る水準となっている。
 また、300人未満の中小組合では、賃上げ分が明確な672組合の定昇相当分+賃上げ分は加重平均で5,584円(2.19%)、賃上げ分は加重平均1,407円(0.58%)となっており、額・率ともに昨年をやや下回る水準となっている。

<電力総連の概況>

○ 4月7日に集計した賃金の解決状況では、賃上げを要求した72組合のうち、賃上げ分を獲得したのは34組合、獲得割合は47%となっており、昨年水準(68%)を下回る水準となっている。

○ 前年比較が可能な73組合における賃上げ分は、加重平均で694円(0.26%)となっており、額・率ともに昨年水準(992円、0.34%)を下回っているものの、300人未満の中小組合30組合における賃上げ分は、加重平均で1,165円(0.47%)となっており、全体平均(694円、0.26%)を上回っている。

(2)賞与・一時金
<電力総連の概況>

○ 4月7日に集計した賞与・一時金の解決状況は、年間で解決に至った63組合のうち、年間4ヶ月を獲得した組合は54組合、獲得割合は86%となっており、昨年水準(88%)とおおむね同水準となっている。

○ 前年比較が可能な56組合における年間月数は加重平均で4.53ヵ月(1,532,297円)となっており、月数・額ともに昨年の水準(4.46ヵ月、1,502,509円)を上回っている。

(3)働き方の見直し等

○ 多くの組合は、長時間労働の是正をはじめとする働き方の見直しや多様な働き方ができる労働環境の整備、同一労働同一賃金に関する法改正への対応などの必要性について労使の共通認識に立つことができている。

○ 育児・介護・治療が必要な者を対象とした両立支援制度の導入・整備、パート・有期契約労働者の処遇改善、勤務間インターバル制度の導入など、各組合の職場実態を踏まえた解決をはかっている。

2.今後の進め方
 新型コロナウイルス感染症の蔓延など日本の社会・経済は極めて厳しい状況にあるが、日本経済を維持し企業・産業を存続・発展させるためには、賃上げをはじめとする「人への投資」が不可欠であることは言うまでもない。各級機関は、労使に課せられた社会的責任と役割の発揮がいっそう求められていることや、電力関連産業の持続的発展には「サプライチェーン全体で生み出した付加価値の適正分配」を実現する必要があることを改めて確認する。
 そのうえで、「電力総連2020春季生活闘争 進め方(その2)」(3月4日確認)に基づき、各級機関が一丸となって精力的に追い上げをはかるとともに、有利解決を前提に、4月中の解決に向けて最大限の取り組みを行うものとする。
 なお、新型コロナウイルス感染症で企業活動に影響を受けている加盟組合については、状況に応じて政府の資金繰り支援や雇用調整助成金の特例等の支援策を活用するよう企業側に促すとともに、構成総連によるオルグの実施を含め重点的に支援を行う。
以上
「電力総連2020春季生活闘争の進め方(その2)」抜粋
<取り組み方針>
(1)賃金引き上げ
 賃金カーブ維持分の確保をはかったうえで、賃金引き上げ獲得にこだわり交渉を強化する。
 「格差是正」等、賃金水準にこだわった要求を行っている組合は、自らのめざす賃金水準への到達に向け交渉を強化する。
(2)賞与・一時金
 安定した生活を支える生活給部分として年間4ヵ月を最低水準とし、要求趣旨に沿った回答を引き出すべく交渉を強化する。
(3)仕事と私生活の調和がはかれる環境の整備
 年間総実労働時間の短縮、および、仕事と育児・介護・治療の両立支援制度の整備・拡充については、労働諸法制改正に適切に対応することはもとより、心身の健康保持・増進や、個々人の生活と仕事の調和の実現、多様な人材が活躍できる環境の実現に向け、前進をはかるよう交渉を強化する。
(4)誰もが安心できる労働条件や労働環境の確保
 高年齢者、女性、障がい者などが仕事にやりがい・働きがいを持つとともに、安心して働き続けられる労働条件・労働環境の確保に向け、前進をはかるよう交渉を強化する。
 ハラスメント対策関連法への適切な対応や、ストレスチェック制度の活用については、誰もが安心して働ける環境整備に向け、前進をはかるよう交渉を強化する。
 退職一時金および災害補償制度の整備・充実については、組合員とその家族の安心・安定につなげる観点から、前進をはかるよう交渉を強化する。
(5)パート・有期・派遣で働く者の待遇改善
 労働条件等の待遇について実態把握を行ったうえで、同一労働同一賃金に向けた法改正等を踏まえ、働きの価値に見合った待遇の確保に向け前進をはかるよう交渉を強化する。
<交渉推進>
(1)電力総連
 電力総連は、加盟組合に広く波及効果をもたらす観点から、連合大の春闘に関する方針や情勢について適時情報提供をはかるとともに、他産別をはじめ、各業種別部会・各加盟組合の交渉状況や妥結内容について、各構成総連との十分な連携のもと共有をはかることとする。
 また、各加盟組合の交渉が有利に進められるよう、引き続き賃金実態把握・分析や経営分析の支援を行うとともに、労働協約改定等の要求に関連し、他産別の制度内容等の情報収集・共有に努める。
(2)構成総連
 構成総連は、統一交渉ゾーンの設定や、「しわ寄せ」防止を含む公正取引推進の観点も踏まえた効果的なオルグの実施など、加盟組合の早期かつ有利解決に向け交渉促進をはかる。
 また、交渉が難航している加盟組合に対しては、電力総連と連携しながら個別対応も含め支援を強化する。
(3)加盟組合
 加盟組合は、構成総連はもとより、業種別部会・連絡会との連携を深め、先行する組合や同業他社の交渉状況について把握するとともに、統一交渉ゾーンを活かし効果的な交渉日程を配置するなど、要求の趣旨に沿った解決をはかるよう精力的に交渉を展開する。



○ 電力部会 2020春季生活闘争 妥結結果

  妥結結果 妥結日
賃金 賞与(年間総額)
北海道電力 月例賃金引き上げは実施しない 3.74ヵ月 3月12日
東北電力 賃金改善 400円程度 1,560,000円 3月12日
東京電力 年収水準については維持
A/B社員 一時金90,000円/年
3月12日
中部電力 月例賃金引き上げは実施しない 1,624,000円 3月12日
北陸電力 月例賃金引き上げは実施しない 1,400,000円 3月12日
関西電力 月例賃金引き上げは実施しない 業績に応じて決定 3月12日
中国電力 - 3.66ヵ月 3月12日
四国電力 - 1,582,000円 3月12日
九州電力 月例賃金引き上げは実施しない 3.74ヵ月 3月12日
沖縄電力 月例賃金引き上げは実施しない 1,518,000円 3月12日
日本原電 年収水準を維持 3月12日
電源開発 月例賃金引き上げは実施しない 業績連動 3月12日
日本原燃 月例賃金引き上げは実施しない 1,195,000円 3月12日



■ 電力総連2020春季生活闘争の進め方(その2)
令和2年3月4日
第2回中央交渉推進委員会
電力総連2020春季生活闘争の進め方(その2)
 電力総連加盟の各組合は、第1回中央交渉推進委員会で確認した「電力総連2020春季生活闘争の進め方(その1)」をふまえ、その多くが2月18日に要求を行って以降、構成総連・業種別部会・電力総連と連携をはかりながら精力的な交渉を展開している。
 今次春闘では、働く者の将来や生活に対する不安の払拭と、組合員とその家族の生活の安心・安定、やりがい・働きがいを実感できる魅力ある労働条件の構築に取り組むことで、「経済の自律的成長」や「社会の持続性」を実現すること、および、電力関連産業の持続的発展に不可欠な人材の維持・確保やスマートメーター導入の進捗に伴う雇用確保、職場活力の高揚などにつなげていかなければならない。
 そのため、個別労使を取り巻く環境はもとより、「経済の自律的成長」実現に向け労使に求められる社会的役割や責任もふまえ、経営側に「月例賃金引き上げ」をはじめとする「人への投資」を積極的に促すとともに、職場を熟知する労使によって主体的に働き方の見直しを推進していかなければならない。
 また、新型コロナウィルス感染症の影響などが懸念されるなか、春季生活闘争をはじめとする労使の営みの重要性も増している。
 今後の交渉にあたっては、こうした基本認識を再度共有するとともに、連合の闘争の進め方もふまえ、加盟組合・構成総連・業種別部会・電力総連が一体となり、要求の趣旨に沿った解決をはかるよう、力強く交渉を推進していくこととする。
1.要求書等の提出
 要求書等の提出に至っていない組合は、構成総連と連携をはかり、「電力総連2020春季生活闘争方針」をふまえ、早期交渉を念頭に遅くとも3月末までに要求書等を提出する。
2.取り組み方針
(1)月例賃金引き上げ
 賃金カーブ維持分の確保をはかったうえで、賃金引き上げ獲得にこだわり交渉を強化する。
 「格差是正」等、賃金水準にこだわった要求を行っている組合は、自らのめざす賃金水準への到達に向け交渉を強化する。
(2)賞与・一時金
 安定した生活を支える生活給部分として年間4ヵ月を最低水準とし、要求趣旨に沿った回答を引き出すべく交渉を強化する。
(3)仕事と私生活の調和がはかられる環境の整備
 年間総実労働時間の短縮、および、仕事と育児・介護・治療の両立支援制度の整備・拡充については、労働諸法制改正に適切に対応することはもとより、心身の健康保持・増進や、個々人の生活と仕事の調和の実現、多様な人材が活躍できる環境の実現に向け、前進をはかるよう交渉を強化する。
(4)誰もが安心できる労働条件や労働環境の確保
 高年齢者、女性、障がい者などが仕事にやりがい・働きがいを持つとともに、安心して働き続けられる労働条件・労働環境の確保に向け、前進をはかるよう交渉を強化する。
 ハラスメント対策関連法への適切な対応や、ストレスチェック制度の活用については、誰もが安心して働ける環境整備に向け、前進をはかるよう交渉を強化する。
 退職一時金および災害補償制度の整備・充実については、組合員とその家族の安心・安定につなげる観点から、前進をはかるよう交渉を強化する。
(5)パート・有期・派遣で働く者の待遇改善
 労働条件等の待遇について実態把握を行ったうえで、同一労働同一賃金に向けた法改正等を踏まえ、働きの価値に見合った待遇の確保に向け前進をはかるよう交渉を強化する。
3.交渉推進
(1)電力総連
 電力総連は、加盟組合に広く波及効果をもたらす観点から、連合大の春闘に関する方針や情勢について適時情報提供をはかるとともに、他産別をはじめ、各業種別部会・各加盟組合の交渉状況や妥結内容について、各構成総連との十分な連携のもと共有をはかることとする。
 また、各加盟組合の交渉が有利に進められるよう、引き続き賃金実態把握・分析や経営分析の支援を行うとともに、労働協約改定等の要求に関連し、他産別の制度内容等の情報収集・共有に努める。
(2)構成総連
 構成総連は、統一交渉ゾーンの設定や、「しわ寄せ」防止を含む公正取引推進の観点も踏まえた効果的なオルグの実施など、加盟組合の早期かつ有利解決に向け交渉促進をはかる。
 また、交渉が難航している加盟組合に対しては、電力総連と連携しながら個別対応も含め支援を強化する。
(3)加盟組合
 加盟組合は、構成総連はもとより、業種別部会・連絡会との連携を深め、先行する組合や同業他社の交渉状況について把握するとともに、統一交渉ゾーンを活かし効果的な交渉日程を配置するなど、要求の趣旨に沿った解決をはかるよう精力的に交渉を展開する。
4.今後の日程
(1)解決時期
 3月中の解決をめざして最大限の取り組みを行う。
 なお、3月中の解決が難しい場合であっても、有利解決を前提に、遅くとも4月末までの解決に向けて鋭意交渉を強化する。
(2)会議開催
 第1回交渉連絡責任者会議を3月30日(月)、第3回中央交渉推進委員会を4月9日(木)に開催する。
以上



■ 電力総連2020春季生活闘争の進め方(その1)
令和2年2月13日
第1回中央交渉推進委員会
電力総連2020春季生活闘争の進め方(その1)
 電力関連産業を将来にわたり持続的に発展させるためには、電力関連産業に働く者すべての経済的・社会的地位の向上をはかるとともに、組合員とその家族の生活の安定・安心、やりがい・働きがいを実感できる魅力ある労働条件の構築に向けた取り組みを継続していくことが必要なことはいうまでもない。
 電力総連2020春季生活闘争は、雇用の維持拡大、労使の協力と協議、成果の公正な分配を柱とした「生産性三原則」のもと、「経済の自律的成長」を実現することや、持続的な産業の発展の基盤となる人材の維持・確保、技術・技能の維持継承、職場活力の高揚等の着実な実現に向け、「働きの価値に見合った処遇」の実現をはじめとする「人への投資」を促すとともに、職場を熟知する労働組合による働き方の見直しを前進させる取り組みである。
 加盟組合・構成総連・業種別部会・電力総連は、電力総連2020春季生活闘争方針に基づき、組織の総合力をもって交渉を推進していく。

1.事前準備

構成総連、業種別部会および加盟組合は、電力総連2020春季生活闘争方針の趣旨に沿って、要求書等の提出および要求書等の提出以降の労使交渉に向けた事前準備に万全を期す。

加えて、早期かつ有利な解決をめざして精力的な交渉が展開できるよう交渉体制を確立する。

2.要求書等の提出

要求書等の提出は、令和2年2月18日(火)に一斉実施する。

ただし、事情により一斉要求への対応が難しい加盟組合は、早期交渉を念頭に遅くとも3月末までに要求する。

3.交渉推進

〇 電力総連大の連携や情報の共有ならびに交渉推進の強化を図るため、交渉推進体制を【別紙】のとおり確立し、加盟組合の交渉を支援する。

〇 電力総連は、中小加盟組合をはじめとする各加盟組合の交渉を有利に進められるよう、継続的な賃金実態把握・分析および経営分析の支援を行うとともに、労使交渉の主張点などについて適宜情報発信を行う。加えて、構成総連との連携のもと、各加盟組合の妥結内容について時宜を得た発信を行うことで電力総連内の相乗効果の発揮に努める。

〇 構成総連は、全体情勢の共有や統一交渉ゾーンの設定、時宜を得た効果的なオルグの実施など、加盟組合の早期かつ有利な解決に向けた支援を行う。

〇 加盟組合は、構成総連が設定する統一交渉ゾーンを念頭に交渉日程を組み立て、要求趣旨に沿った解決が図られるよう交渉の促進を図る。

4.当面の日程

第2回中央交渉推進委員会を3月4日(水)16時から開催することとし、それ以降の日程については、加盟組合の交渉状況、連合や他産別の動向などを総合勘案して決定する。

5.その他

〇 今次春季生活闘争に関する情報については、適宜「2020春季生活闘争情報」により発信する。

〇 連合「インフラ・公益共闘連絡会議」との連携を図りつつ、連合の中核産別としての役割を踏まえ、加盟組合の底上げに資する取り組みを進める。

以 上




■ 電力総連2020春季生活闘争方針を決定!(2020.2.13)

 電力総連は、2月13日(木)に東京都内において、2019年度第1回中央委員会を開催し、電力総連2020春季生活闘争の方針を決定した。
 今次春季生活闘争においては、連合方針や取り巻く情勢等を踏まえ、「経済の自律的成長」の実現などマクロの観点からの所得の向上や、電力関連産業の持続的な発展に不可欠な人材の維持・確保、経営効率化への貢献・努力に報いること等を目的に、月例賃金の引き上げに継続して取り組み、賃上げの流れを継続・定着させることで、電力関連産業に働く者の「底上げ」「底支え」実現をめざす。
 また、電力総連2019春季生活闘争において本格的な取り組みの初年度と位置付け、一定の成果を上げた「電力総連ミニマム水準」や「目標水準」実現等、賃金水準にこだわった取り組みを継続し、組織全体に定着させることで、「格差是正」を積極的に推進する。とりわけ、組織人員が300人以下の加盟組合における賃金水準は社会水準を下回る状況にあり、電力関連産業の持続的な発展に不可欠な人材の維持・確保、技術・技能の維持継承に影響を及ぼすことのないよう「格差是正」の取り組みを強化する。
 あわせて、働く者の立場にたった働き方の見直しを年間賃金の引き上げとともに柱のひとつと位置づけ、定着・強化に向けて取り組む。具体的には、法改正に適切に対応することはもとより、企業規模・業種を問わず、すべての加盟組合において、健康障害の未然防止や生活時間の確保等の観点から、長時間労働是正・過重労働解消への取り組みをいっそう強力に推進するとともに、育児・介護・治療といったライフイベントに応じた多様な働き方の実現など、仕事と私生活の調和がはかられる環境の整備、誰もが安心できる労働条件や労働環境の確保、正社員とパート・有期・派遣で働く者の均等・均衡待遇に向けた取り組み等をさらに進める。
 取り組みにあたっては、組合員とその家族の生活の安定・安心、やりがい・働きがいを実感できる魅力ある産業の実現に向け、加盟組合、業種別部会・連絡会、構成総連、電力総連が有機的な連携をはかることで、相乗効果を発揮しうるよう、組織の総合力を最大限活かした取り組みを進めていくこととする。加えて、連合2020春季生活闘争における各種共闘との連携や地方連合会が取り組む「地域ミニマム運動」への参画など、連合大における2020闘争以降を見据えた春闘構造の再構築に向けた論議経過を含め連合の中核産別としての役割と責任を踏まえた対応をはかっていくものとする。

 同日、第5回三役会議にて中央交渉推進委員会の設置を確認し、引き続き第1回中央交渉推進委員会において、「電力総連2020春季生活闘争の進め方(その1)」を確認するとともに、電力総連統一要求日(2020年2月18日)に向けて要求準備を進めていくこととした。


坂田会長あいさつ


議長を務める東北電力総連 伊藤中央委員


2020春季生活闘争方針について提起する 山脇労働政策局長


2020春季生活闘争が満場一致で承認された




令和2年2月13日
第1回中央委員会
電力総連2020春季生活闘争方針
I. はじめに

連合は、2020春季生活闘争方針において、日本経済は停滞感を見せており、先行きについても通商問題や第4次産業革命などによる産業構造の変化、消費増税の影響が懸念されるなど、見通しが不透明な状況にあるからこそ、個人消費や設備投資などGDPの約7割を占める内需の拡大が必要との基本的な認識を示している。
 また、これまでの間、「底上げ・底支え」「格差是正」に向けた取り組みを進めてきた結果、2019春季生活闘争では賃上げの流れを継続するとともに、大手追従・大手準拠などの構造を転換する運動も前進を見せたが、賃上げの流れや格差是正の動きは依然として社会的広がりを見せていないとしている。
 すべての働く者の「底上げ」「底支え」による所得の向上と「格差是正」の実現は、消費拡大による企業の経営基盤の健全化のみならず、税や社会保障など社会制度の持続性を支えていくことにつながるとの認識のもと、すべての働く者の将来不安を払拭し、「経済の自律的成長」「社会の持続性」を実現するためにも、分配構造の転換につながり得る賃上げに取り組む必要があるとしている。
 これらを踏まえ、2020春季生活闘争においても、引き続き、生産性三原則に基づいた「賃上げ」「働き方の見直し」を求めるとともに、「サプライチェーン全体で生み出した付加価値の適正分配」に一体的に取り組むことで、社会全体の生産性向上を促し、成果の適正な分配につなげていくとしている。とりわけ、「賃上げ」については、「底上げ」「底支え」「格差是正」の取り組みを再定義し、広く社会全体に賃上げを促すとともに、企業内で働くすべての労働者のセーフティネットを強化していく。加えて、中小組合や有期・短時間・契約等で働く者の賃金を「働きの価値に見合った水準」へと引き上げていくとしている。

電力総連2020春季生活闘争では、連合2020春季生活闘争方針や取り巻く情勢等を踏まえ、「経済の自律的成長」の実現などマクロの観点からの所得の向上や、電力関連産業の持続的な発展に不可欠な人材の維持・確保、経営効率化への貢献・努力に報いること等を目的に、月例賃金の引き上げに継続して取り組み、賃上げの流れを継続・定着させることで、電力関連産業に働く者の「底上げ」「底支え」実現をめざす。
 また、電力総連2019春季生活闘争において本格的な取り組みの初年度と位置付け、一定の成果を上げた「電力総連ミニマム水準」や「目標水準」実現等、賃金水準にこだわった取り組みを継続し、組織全体に定着させることで、「格差是正」を積極的に推進する。とりわけ、組織人員が300人以下の加盟組合における賃金水準は社会水準を下回る状況にあり、電力関連産業の持続的な発展に不可欠な人材の維持・確保、技術・技能の維持継承に影響を及ぼすことのないよう「格差是正」の取り組みを強化する。
 あわせて、働く者の立場にたった働き方の見直しを年間賃金の引き上げとともに柱のひとつと位置づけ、定着・強化に向けて取り組む。具体的には、法改正に適切に対応することはもとより、企業規模・業種を問わず、すべての加盟組合において、健康障害の未然防止や生活時間の確保等の観点から、長時間労働是正・過重労働解消への取り組みをいっそう強力に推進するとともに、育児・介護・治療といったライフイベントに応じた多様な働き方の実現など、仕事と私生活の調和がはかられる環境の整備、誰もが安心できる労働条件や労働環境の確保、正社員とパート・有期・派遣で働く者の均等・均衡待遇に向けた取り組み等をさらに進める。
 取り組みにあたっては、組合員とその家族の生活の安定・安心、やりがい・働きがいを実感できる魅力ある産業の実現に向け、加盟組合、業種別部会・連絡会、構成総連、電力総連が有機的な連携をはかることで、相乗効果を発揮しうるよう、組織の総合力を最大限活かした取り組みを進めていくこととする。加えて、連合2020春季生活闘争における各種共闘との連携や地方連合会が取り組む「地域ミニマム運動」への参画など、連合大における2020闘争以降を見据えた春闘構造の再構築に向けた論議経過を含め連合の中核産別としての役割と責任を踏まえた対応をはかっていくものとする。

II.経済社会の情勢

○ 日本経済全般の動向については、1月の月例経済報告(1月22日内閣府公表)において、景気は輸出が引き続き弱含むなかで、製造業を中心に弱さが一段と増しているものの、緩やかに回復しているとし、先行きについては、当面、弱さが残るものの、雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待されるが、通商問題を巡る緊張や消費税率引き上げ後の消費者マインドの動向に留意が必要としている。

○ 2019年7〜9月期の四半期別の実質GDP成長率(12月9日内閣府公表、2次速報値)は前期比0.4%(年率換算1.8%)となっており、4期連続のプラス成長となった。
 また、2019年度の実質GDP成長率については、日本銀行(1月22日公表)が+0.8%としているほか、民間40機関平均(1月15日公表)は+0.88%と予測している。

○ 企業の収益については、1月の月例経済報告(1月22日内閣府公表)によれば、高い水準にあるものの、製造業を中心に弱含んでいるとしている。また、業況判断は、製造業を中心に引き続き慎重さが増しているとしている。

○ 物価については、12月の消費者物価指数(1月24日総務省公表)が、総合指数で前年同月比0.8%上昇、生鮮食品を除く総合指数で前年同期比0.7%上昇している。
 また、2019年度の消費者物価指数(生鮮食品を除く総合指数)に関しては、日本銀行が+0.6%(1月22日公表)としている。このほか、民間40機関平均(1月15日公表)が+0.63%としている。
 なお、月例経済報告においては引き続き日本銀行に対して経済・物価・金融情勢を踏まえつつ、2%の物価安定目標を実現することを期待するとしている。

○ 雇用情勢については、12月の完全失業率(1月31日総務省公表)が2.2%となり、引き続き完全雇用の水準にある。また、2019年度の完全失業率に関しては、民間40機関平均(1月15日公表)が2.35%と予測している。
 12月の有効求人倍率(1月31日厚生労働省公表)は、1.57倍となっている。あわせてすべての都道府県で1倍を超えるなど、着実に雇用情勢の改善が進んでいる。
 また、日銀短観(12月13日日本銀行公表)によれば、雇用人員の過不足感を表す「雇用人員D.I」は全規模全産業合計の「最近」が△31、「先行き」が△33であり、人手不足が継続しているが、とりわけ中小企業全産業計においては、「最近」が△34、「先行き」が△38となっており、人手不足がいっそう深刻となっている。

○ 政府は、東日本大震災からの復興・創生及び平成28年熊本地震からの復旧・復興に向けて取り組むとともに、デフレからの脱却を確実なものとし、経済再生と財政健全化の双方を同時に実現していくとしている。このため「経済財政運営と改革の基本方針 2019」、「成長戦略実行計画」等に基づき、成長力の強化、成長と分配の好循環の拡大、全世代型社会保障の実現に取り組むとしている。また、消費税率引き上げ後の経済動向を引き続き注視するとともに、相次ぐ自然災害からの復旧・復興の取り組みを加速するとしている。

○ 時間外労働の上限規制の中小企業への適用や、同一労働同一賃金に関する法改正の大企業への適用など、2020年4月に働き方改革関連法の本格的な施行を迎える。

III.電力関連産業を取り巻く情勢

1.経営環境

○ 電力関連産業を取り巻く情勢については、電力システム改革に伴い2016年4月から実施された電力小売全面自由化に加え、2017年4月からのガス小売全面自由化の進展により、旧一般電気事業者や旧一般ガス事業者にとどまらず、新規参入事業者を含むエネルギー関連企業間の競争はいっそう激化している。電力関連産業各社は、競争時代を勝ち抜くために、様々な経営効率化方策を実施しているほか、グループ企業との役割分担見直しを含めグループ一体となった取り組みを進めている。さらには一部においてグループの枠を越えた企業の再編も行われている。

○ エネルギー政策を巡る諸課題については、エネルギーミックスの実現に向けた諸施策への対応、競争環境下における原子力事業の環境整備に関する動向、2050年に向けた地球温暖化対策等を踏まえた長期戦略の課題への対応をはじめとして、電力関連産業の事業運営や労働環境、雇用に影響を与える可能性のある課題が山積している。
 スマートメーターをめぐる状況については遅くとも2024年度までに導入を完了する予定となっていることなどから、これらに関連する業務に従事する者の雇用・職域・労働条件の確保に向けた取り組みが喫緊の課題となっている。
 また、産業界全体に目を向ければ、第4次産業革命といわれるIoT(Internet of Things、モノのインターネット)、ビッグデータ活用、人工知能(AI)等の技術革新によって、事業環境や働き方が劇的に変化する可能性もあり、それらの動向も引き続き注視していく必要がある。

○ 原子力発電所の再稼働については、2020年1月現在、加圧水型原子炉(PWR)プラント9基が再稼働を果たしているほか、再稼働に向けた取り組みが着実に進められている。一方で、複数の原子力関連施設における新規制基準に係る適合性審査の長期化などにより依然として再稼働の動向は不透明な状況となっている。また、再稼働している発電所についても依然として司法リスクを抱えている。

○ 電力関連産業各社の経営環境については、民間設備投資が8年連続プラスで推移していることに加え、本格的な震災復興や東京オリンピック・パラリンピック関連需要などに伴い、堅調な業種・地域がある一方で、新規事業者の参入をはじめとして競争環境の激化や労働力不足等に起因する労務費の増加・受注抑制などにより、取り巻く環境が厳しさを増している業種・地域もあり、まだら模様となっている。また、経営基盤強化を目的とした、さらなる経営効率化は各社共通の課題であり、協力会社を含めたグループ企業全体の総合力発揮や収益力強化をはかる取り組みは継続していくと想定される。

○ 電力各社の第3四半期連結決算については、ほとんどの会社で販売電力量は前年同期と比べて減少となったものの、売上高は燃料費調整制度や再エネ特措法交付金の影響などにより、半数を超える会社が対前年同期比で増加あるいはほぼ横ばいとなった。経常損益については、一部の会社では減益となったものの、ほとんどの会社が燃料費調整制度の影響や経営全般にわたる徹底した効率化に継続的に取り組んだことなどから対前年同期比で増益となった。また、通期の業績見通しについては、多くの会社で増益見通しであるとともに、すべての電力会社で黒字となる見通しである。

2.職場の状況

○ 電力システム改革に伴う電力小売全面自由化やガス小売全面自由化によるエネルギー産業間の競争進展をはじめとして、電力関連産業全般において新たな競争時代を迎えているほか、送配電部門の法的分離への対応や東京オリンピック・パラリンピック需要などに伴う受注量増加などの事業環境のもとで、職場組合員は、業務の高度化・多様化により質・量ともに業務負担がいっそう増加するなかにあって、慢性的な要員不足にもかかわらず、直面する経営諸課題の解決に向け懸命に取り組むとともに、競争力強化に向け、グループ一体となったさらなる経営効率化に懸命に取り組んでいる。

○ 台風15号、19号をはじめとする大規模自然災害が頻発するなか、各種災害からの早期復旧をはじめとする昼夜を分かたぬ安定供給確保の取り組みはもとより、原子力関連施設の新規制基準への対応、火力発電等の電源脱落リスクや太陽光発電等の自然変動電源の急速な拡大に伴う対応など山積する喫緊の課題に対し、極めて高い緊張感のもと、自らの作業安全の確保を大前提に、電力関連産業に働く仲間が一丸となって懸命な取り組みを続けている。とりわけ、台風15号に伴う大規模停電に際しては、全国各地から約1万人を超える仲間が応援に駆け付け復旧にあたった。

○ 一方で、労働力人口の減少や技術・技能を有する者の流出に伴う労働力不足はいっそう厳しさを増しており、協力企業を含め電力関連産業の多くの企業において労働力確保が困難な状況が続いている。加えて、長時間労働の是正等に伴う労働時間の短縮が進展すれば、労働投入量はさらに減少することから、電力関連産業の基盤となる人材の確保・育成はいっそう重要性を増している。とりわけ、若年労働者の減少は技術・技能の維持継承や職場内の活性化にも影響を及ぼしかねない喫緊の課題となっている。

IV.連合の方針(抜粋)

2020春季生活闘争の取り組み内容

1.基本的な考え方

(1)賃金要求に対する考え方

 働く者の将来不安を払拭し、「経済の自律的成長」「社会の持続性」を実現するためには「人への投資」が不可決であり、分配構造の転換につながり得る賃上げが必要である。すべての企業労使は日本経済の一端を担うという社会的役割と責任を強く意識し、すべての働く者の労働諸条件の改善につなげていかなければならない。
 したがって、2020春季生活闘争においては、社会全体に賃上げを促す観点とそれぞれの産業全体の「底上げ」「底支え」「格差是正」に寄与する取り組みを強化する観点から、月例賃金にこだわり、賃上げの流れを継続・定着させる。加えて、中小組合や有期・短時間・契約等で働く者の賃金の「格差是正」の取り組みの実効性を高めるためにも、働きの価値に見合った賃金の絶対額にこだわり、名目賃金の最低到達水準の確保と目標水準への到達、すなわち「賃金水準の追求」に取り組んでいく。
 なお、今次闘争より、広く社会全体に賃上げを促す観点と企業内で働くすべての労働者のセーフティネットを強化していく観点、加えて中小組合や有期・短時間・契約等で働く者の賃金を「働きの価値に見合った水準」へと引上げていく観点から、「底上げ」「底支え」「格差是正」を次のとおり再定義する。

【目的と要求の考え方】

  目的 要求の考え方
底上げ 産業相場や地域相場を引き上げていく 定昇相当分+引き上げ率
(→地域別最低賃金に波及)
格差是正 企業規模間、雇用形態間、男女間の格差を是正する ・社会横断的な水準を額で示し、その水準への到達をめざす
・男女間については、職場実態を把握し、改善に努める
底支え 産業相場を下支えする 企業内最低賃金協定の締結、水準の引き上げ
(→特定(産業別)最低賃金に波及)

(2)賃金水準闘争を強化していくための体制整備

 中小組合や有期・短時間・契約等で働く者の賃金を「働きの価値に見合った賃金」に引き上げ、企業内の男女間賃金格差を是正していくためには、賃金実態の把握と賃金制度の確立が不可欠である。
 構成組織は、加盟組合の個人別賃金データの収集とその分析・課題解決に向けた支援を強化する。加えて、産業相場、地場相場を引き上げ、産業内や地域の未組織労働者への波及効果を高めていくためにも、地方連合会との連携を一層強め、地域における賃金相場の形成にむけて、「地域ミニマム運動」へ積極的に参画する体制を整える。

(3)「すべての労働者の立場にたった働き方」の実現

 全産業・製造業・非製造業のいずれも人手不足感がさらに深刻となっており、個別企業労使にとって「人材の確保・定着」と「人材育成」にむけた職場の基盤整備が従来以上に重要課題となる中、2020年は「働き方改革関連法」が本格的な施行を迎えることとなる。「時間外労働時間の上限規制」の中小企業への適用、「同一労働同一賃金」への対応など法令遵守はもちろんのこと、有期・短時間・契約等で働く者の雇用の安定、65歳から70歳までの就業機会確保と60歳以降の処遇のあり方への対応、職場の安全対策、安心して育児・介護・治療と仕事が両立できるワーク・ライフ・バランスの実現など、公務・民間、企業規模、雇用形態にかかわらず、個々人のニーズにあった多様な働き方の仕組みを整え、安心・安全で働きがいある職場の構築に取り組んでいく。

(4)働き方も含めた「サプライチェーン全体で生み出した付加価値の適正分配」

 中小企業の経営基盤を強化し、賃上げ原資を確保していくためには、「取引の適正化」の推進が不可欠である。
 とりわけ「働き方改革関連法」の改正事項が大企業から先行適用される中、大企業等による長時間労働是正をはじめとした取り組みが、下請け等中小企業への「しわ寄せ」とならないように取り組みを進めることが重要である。加えて、2019年10月の消費税増税分を確実に取引価格に転嫁できるよう、職場労使を含め連合全体で取り組むとともに、経営者団体および関係省庁と連携し社会全体に訴えていく。
 さらに、働く者は同時に消費者でもある。一人ひとりが倫理的な消費行動を日々実践していくことも持続的な社会に向けた大切な営みであり、消費者教育の推進とともに、働く者の立場から社会に呼びかけていく。

2.具体的な要求項目

(1)賃上げ要求

① 月例賃金

〇 すべての組合は月例賃金にこだわり、賃金の引き上げをめざす。要求の組み立ては、定期昇給相当分(賃金カーブ維持相当分)を確保した上で、名目賃金の到達目標の実現と最低到達水準の確保、すなわち「賃金水準の追求」にこだわる内容とする。(「底上げ」「格差是正」)
 同時に、すべての組合は、企業内で働くすべての労働者の生活の安心・安定と産業の公正基準を担保するため、企業内最低賃金の協定化に取り組む。なお、取り組みにあたっては、企業内最低賃金協定が特定(産業別)最低賃金の金額改正に強く寄与することも踏まえる。(「底支え」)
 具体的な要求指標は、下表のとおりとする。

【2020春季生活闘争における賃金要求指標パッケージ】

底上げ 社会全体に賃上げを促す観点とそれぞれの産業全体の「底上げ」「底支え」「格差是正」に寄与する取り組みを強化する観点から、2%程度とし、定期昇給分(定昇維持相当分)を含め4%程度とする。
  企業規模間格差 雇用形態間格差
格差是正
目標水準
1)
35歳:287,000円
30歳:256,000円
・昇給ルールを導入する。
・昇給ルールを導入する場合は、勤続年数で賃金カーブを描くこととする。
・水準については、「勤続17年相当で時給1,700円・月給280,500円以上となる制度設計をめざす」
最低到達水準
2)
35歳:258,000円
30歳:235,000円
企業内最低賃金協定1,100円以上
企業内最低賃金協定1,100円以上
底支え ・企業内のすべての労働者を対象に協定を締結する。
・締結水準は、生活を賄う観点と初職に就く際の観点を重視し、
 「時給1,100円以上3)」をめざす。

1)賃金PT答申を踏まえ、「賃金センサス・フルタイム労働者の平均的な所定内賃金」を参考に算出

2)1年・1歳間差を4,500円、30歳を勤続12年相当、35歳を17年相当とし、時給1,100円から積み上げて算出

3)2017連合リビングウェイジ(単身者時給1,045円)および2017年賃金センサス高卒初任給(時給982円)を総合勘案し算出
 2018「地域ミニマム運動」(2017年実態)集計の年齢別賃金(全産業・300人未満・男女計)中位数の18歳から45歳の1年・1歳間差の平均は、4,393円(前年 4,478円)


〇 すべての構成組織は、月例賃金にこだわり、名目賃金の到達目標の実現と最低到達水準の確保、すなわち「賃金水準の追求」に取り組む。
 それぞれの産業においてめざすべき賃金水準を設定した上で、自組織の中小組合や有期・短時間・契約等で働く者が自らの賃金の「働きの価値に見合った水準」への到達を追求し得る要求を設定する。

〇 すべての組合は、組合員の個人別賃金実態を把握し、賃金水準や賃金カーブを精査してゆがみや格差の有無などを確認した上で、これを改善する取り組みを行う。また、獲得した賃金改定原資の各賃金項目への配分等にも積極的に関与する。賃金制度が未整備の組合は、構成組織の指導のもと、制度の確立・整備に向けた取り組みを強化する。

〇 中小組合の取り組みは次のとおりとする。

ア)すべての中小組合は、賃金カーブ維持相当分(1年・1歳間差)を確保した上で、自組合の賃金と社会横断的水準を確保するための指標を比較し、その水準の到達に必要な額を加えた総額で賃金引き上げを求める。また、獲得した賃金改善原資の各賃金項目への配分等にも積極的に関与する。

イ)賃金実態が把握できないなどの事情がある場合は、連合加盟中小組合の平均賃金水準(約25万円)と賃金カーブ維持分(1年・1歳間差)をベースとして組み立て、連合加盟組合平均賃金水準(約30万円)との格差を解消するために必要な額を加えて、引き上げ要求を設定する。
 すなわち、連合加盟組合平均賃金水準の2%相当額との差額を上乗せした金額6,000円を賃上げ目標金額とし、賃金カーブ維持分4,500円を加え、総額10,500円以上を目安に賃金の引き上げを求める。

ウ)賃金カーブ維持分の確保
 賃金カーブを維持することは、労働力の価値の保障により勤労意欲を維持する役割を果たすと同時に、生活水準保障でもあり、必ずこれを確保する。
 賃金カーブ維持には定期昇給制度が重要な役割を果たす。定期昇給制度がない組合は、人事・賃金制度の確立を視野に入れ、労使での検討委員会などを設置して協議を進めつつ、当面は定期昇給制度の確立に取り組む。構成組織と地方連合会は連携してこれらの支援を行う。

② 男女間賃金格差の是正

 男女間における賃金格差は、勤続年数や管理職比率の差異が主要因であり、固定的性別役割分担意識等による仕事の配置や配分、教育・人材育成における男女の偏りなど人事・賃金制度および運用の結果がそのような問題をもたらしている。
 改正女性活躍推進法にもとづく指針に「男女の賃金の差異」の把握の重要性が明記されたことを踏まえ、男女別の賃金実態の把握と分析を行うとともに、問題点の改善と格差是正に向けた取り組みを進める。

〇 賃金データにもとづいて男女別・年齢ごとの賃金分布を把握し、「見える化」(賃金プロット手法等)をはかるとともに、問題点を改善する。

〇 生活関連手当(福利厚生、家族手当等)の支給における住民票上の「世帯主」要件は実質的な間接差別にあたり、また、女性のみに住民票などの証明書類の提出を求めることは男女雇用機会均等法で禁止されているため、廃止を求める。

③ 初任給等の取り組み

〇 すべての賃金の基礎である初任給について社会水準を確保する。
18歳高卒初任給の参考目標値……174,600円4)

 4)連合「2019労働条件調査」速報値より、主要組合の高卒初任給の平均額に2%分を上乗せした額

〇 中途入社者の賃金を底支えする観点から、年齢別最低到達水準についても協定締結をめざす。

④ 一時金

〇 月例賃金の引き上げにこだわりつつ、年収確保の観点も含め水準の向上・確保をはかることとする。

〇 均等待遇・均衡待遇の観点から、有期・短時間・契約等で働く労働者についても対応をはかることとする。

(2)「すべての労働者の立場にたった働き方」の見直し

 健康で働き続けられる労働時間と過労死ゼロの実現、超少子高齢化・人口減少が進むわが国の社会構造を踏まえ、「社会生活の時間」の充実を含めワーク・ライフ・バランス社会の実現と個々人の状況やニーズにあった働き方と処遇のあり方について総体的な検討と協議を行う。

① 長時間労働の是正と均等待遇の実現

 構成組織は、「働き方改革関連法」(時間外労働の上限規制や同一労働同一賃金等)が施行されたことを踏まえ、それぞれの産業全体の働き方の見直しの方向感を方針等の策定により示し、各組合の実践を通じて、職場と産業全体の基盤を強化する。なお、企業規模によって、施行時期や適用猶予期間の有無、適用除外となるか否かは異なるが、取引の適正化の観点も踏まえ、取り組みの濃淡や負担感の偏在が生じないよう、すべての構成組織・組合が同時に取り組みを行う。

② 人材育成と教育訓練の充実

 中小企業の維持・発展、短時間・有期等の雇用形態で働く労働者の雇用安定に向けては、能力開発など人材育成の充実が欠かせない。教育訓練機会の確保や職場での働き方など、様々な状況を踏まえ付加価値創造の源泉である「働くことの価値」を高めていくためにも、広く「人への投資」を求めていく。

③ 中小企業、パート・有期・派遣で働く労働者等の退職給付制度の整備

 企業年金のない事業所においては、企業年金制度の整備を事業主に求める。その際、企業年金制度は退職給付制度であり、賃金の後払いとしての性格を有することから、確実に給付が受けられる制度を基本とする。
 また、「同一労働同一賃金ガイドライン」の趣旨を踏まえ、パート・有期・派遣で働く労働者に企業年金が支給されるよう、退職金規程の整備をはかる。

④ ワークルールの取り組み

 すべての職場におけるディーセント・ワークの実現、ワーク・ライフ・バランスの推進、コンプライアンスの徹底をはかる観点から取り組みを進める。
 なお、労働関係法令には企業規模が一定の人数に満たない場合、あるいは業種によって、義務を免除する、あるいは努力義務とする条項や、特別措置が適用される条項があるが、とりわけ、人数規模により対応が異なる労働関係法令については、企業規模にかかわらず取り組みを進めることとする。

〇 働き方改革の職場への定着に向けた取り組み

ア)改正労働基準法に関する取り組み
 改正労働基準法等の施行(2019年4月)およびその一部である時間外労働の上限規制の中小企業への適用開始(2020年4月)を踏まえ、①36協定の点検・見直し(限度時間を原則とした締結、休日労働の抑制、過半数労働組合・過半数代表者のチェック等)および締結に際しての業務量の棚卸しや人員体制の見直し、②すべての労働者を対象とした労働時間の客観的な把握と適正な管理の徹底、③年次有給休暇の100%取得に向けた計画的付与の導入等の労使協議の実施および事業場外みなしや裁量労働制の適正な運用に向けた取り組み(労使協定・労使委員会、健康・福祉確保措置の実施状況、労働時間の状況の点検)の徹底をはかる。

〇 同一労働同一賃金に関する取り組み
 同一労働同一賃金の法規定が2020年4月より施行されることを踏まえ、すべての労働組合は、職場のパート・有期雇用・派遣労働者の労働組合への加入の有無を問わず、労働条件を点検し、以下の取り組みをはかる。なお、無期転換労働者についても、法の趣旨に基づき同様の取り組みを進める。

ア)パート・有期雇用労働者に関する取り組み

ⅰ. 正規雇用労働者とパート・有期で働く者の労働条件・待遇差の確認

ⅱ. (待遇差がある場合)賃金・一時金や各種手当等、個々の労働条件・待遇ごとに、その目的・性質に照らして正規雇用労働者との待遇差が不合理となっていないかを確認

ⅲ. (不合理な差がある場合)待遇差の是正

ⅳ. パート・有期雇用労働者の組合加入とその声を踏まえた労使協議の実施

ⅴ. パート・有期雇用労働者への待遇に関する説明の徹底

イ)派遣労働者に関する取り組み
 同一労働同一賃金の法整備において派遣労働者と派遣先労働者との均等・均衡待遇が原則とされたことを踏まえ、以下の取り組みをはかる。

ⅰ. 正規雇用労働者と派遣労働者の労働条件・待遇差を確認する

ⅱ. 派遣先均等・均衡待遇が可能な水準での派遣料金設定や派遣元への待遇情報の提供など、事業主に対する必要な対応を求める

ⅲ. 食堂・休憩室・更衣室など福利厚生施設などについて派遣労働者に不利な利用条件などが設定されている場合は、是正を求める

〇 すべての労働者の雇用の安定に向けた取り組み
 有期雇用労働者の雇用の安定に向け、労働契約法18条の無期転換ルールの内容周知や、無期転換回避目的の雇止めなどが生じていないかの確認、通算期間5年経過前の無期転換の促進などを進める。
 また、派遣労働者についても、職場への受入れに関するルール(手続き、受入れ人数、受入れ期間、期間制限到来時の対応など)の協約化・ルール化をはかるとともに、直接雇用を積極的に受入れるよう事業主に働きかけを行う。

〇 高齢となっても安心して安全に働き続けられる環境整備の取り組み
 意欲ある高齢者が生きがい・やりがいを持って働くことのできる環境の整備に向け、以下の取り組みをはかる。

ア)同一労働同一賃金の法規定対応の確実な実施(通常の労働者と定年後継続雇用労働者をはじめとする60歳以降のパート・有期雇用で働く労働者との間の不合理な待遇差の是正)

イ)働く高齢者のニーズへの対応のため、労働時間をはじめとする勤務条件の緩和や健康管理の充実などの推進

ウ)高齢化に伴い増加がみられる転倒や腰痛災害等に対する配慮と職場環境改善

エ)労働災害防止の観点から、高齢者に限定せず広く労働者の身体機能等の向上に向けた「健康づくり」の推進

〇 障がい者雇用に関する取り組み
 障害者雇用促進法に基づく法定雇用率が、2021年3月までに2.3%(国・地方自治体2.6%、教育委員会2.5%)に引き上げられることを踏まえ、職場における障がい者の個別性に配慮した雇用環境を整備したうえで、障害者雇用率の達成に取り組む。
 また、事業者の責務である「障がい者であることを理由とした不当な差別的取扱いの禁止」、「合理的配慮の提供義務」、「相談体制の整備・苦情処理および紛争解決の援助」についても、労働協約・就業規則のチェックや見直しに取り組む。

〇 短時間労働者に対する被用者保険の適用拡大に関する取り組み
 2016年10月より501人以上の企業等における短時間労働者に対する社会保険の適用が拡大されたことを踏まえ、a)社会保険が適用されるべき労働者が全員適用されているか点検・確認するとともに、b)事業者が適用拡大を回避するために短時間労働者の労働条件の不利益変更を行わないことを確認する。
 また、2017年4月からは500人以下の民間企業についても、労使合意にもとづく短時間労働者への適用拡大が可能となったことを踏まえ、c)500人以下の企業において短時間労働者へ社会保険を適用するよう事業主に求めるなどの取り組みを進める。

〇 治療と仕事の両立の推進に関する取り組み
 疾病などを抱える労働者は、治療などのための柔軟な勤務制度の整備や通院目的の休暇に加え、疾病の重症化予防の取組みなどを必要としている。とりわけ、長期にわたる治療が必要な疾病などを抱える労働者からの申出があった場合に円滑な対応ができるよう、休暇・休業制度などについて、労働協約・就業規則など諸規程の整備を進める。さらに、疾病などを抱える労働者のプライバシーに配慮しつつ、当該の事業場の上司や同僚への周知や理解促進に取り組む。

(3)ジェンダー平等・多様性の推進

 多様性が尊重される社会の実現に向けて、性別をはじめ年齢、国籍、障がいの有無、就労形態など、様々な違いを持った人々がお互いを認め合い、ともに働き続けられる職場を実現するため、あらゆるハラスメント対策や差別禁止に取り組む。また、ジェンダーバイアス(無意識を含む性差別的な偏見)や固定的性別役割分担意識を払拭し、仕事と生活の調和をはかるため、すべての労働者が両立支援制度を利用できる環境整備に向けて取り組みを進める。
 なお、労働関係法令には企業規模が一定の人数に満たない場合、あるいは業種によって、義務を免除する、あるいは努力義務とする条項や、特別措置が適用される条項があるが、とりわけ、人数規模により対応が異なる労働関係法令については、企業規模にかかわらず取り組みを進めることとする。

① 改正女性活躍推進法および男女雇用機会均等法の周知徹底と点検活動

 改正女性活躍推進法および男女雇用機会均等法について、周知徹底とあわせて、法違反がないかなどの点検活動を行う。また、労使交渉・協議では、可能な限り実証的なデータにもとづく根拠を示し、改善を求めていく。

② あらゆるハラスメント対策と差別禁止の取り組み

 職場のハラスメントの現状を把握するとともに、第三者を含めたあらゆるハラスメント対策や差別禁止の取り組みを進める。

③ 育児や介護と仕事の両立に向けた環境整備

〇 育児・介護休業法の周知・点検をはかるとともに、両立支援策の拡充の観点から、法を上回る内容を労働協約に盛り込む。

〇 有期契約労働者が制度を取得する場合の要件の撤廃をはかる。

〇 育児休業、介護休業、子の看護休暇、介護休暇、短時間勤務、所定外労働の免除の申し出や取得により、解雇あるいは昇進・昇格の人事考課等において不利益取り扱いが行われないよう徹底する。

〇 妊産婦保護制度や母性健康管理について周知されているか点検し、妊娠・出産および制度利用による不利益取り扱いの禁止を徹底する。

〇 女性の就業継続率の向上や男女のワーク・ライフ・バランスの実現に向けて、男性の育児休業取得促進に取り組む。

〇 両立支援制度や介護保険制度に関する情報提供など、仕事と介護の両立を支援するための相談窓口を設置するよう求める。

〇 不妊治療と仕事の両立のため、取得理由に不妊治療を含めた休暇等(多目的休暇または積立休暇等を含む)の整備に取り組む。

〇 事業所内保育施設(認可施設)の設置、継続に取り組み、新設が難しい場合は、認可保育所と同等の質が確保された企業主導型保育施設の設置を求める。

④ 次世代育成支援対策推進法にもとづく取り組みの推進

 ワーク・ライフ・バランスの推進に向けた労働組合としての方針を明確にした上で、労使協議を通じて、計画期間、目標、実施方法・体制などを確認し、作成した行動計画の実現をはかることで「くるみん」・「プラチナくるみん」の取得をめざす。
 また、「くるみん」・「プラチナくるみん」を取得した職場において、その後の取り組みが後退していないか労使で確認し、計画内容の実効性の維持・向上をはかる。

3.運動の両輪としての「政策・制度実現の取り組み」

「2020年度 重点政策実現の取り組み」を春季生活闘争の労働諸条件改善の取り組みとともに運動の両輪として引き続き推し進める。
 「働くことを軸とする安心社会」の実現に向けた政策課題について、政府・政党への働きかけ、審議会・国会審議対応、街宣活動などを通じた世論喚起など、連合本部・構成組織・地方連合会が一体となって幅広い運動を展開する。

(1)企業間における公正・適正な取引関係の確立に向けた取り組み

(2)税による所得再分配機能の強化に向けた取り組み

(3)すべての人が安心して働き暮らせるよう、社会保障制度の充実・確保に向けた取り組み(年金、医療・介護、子ども・子育て支援など)

(4)労働者保護のための消滅時効改正に向けた取り組み

(5)意欲ある高齢者が安心して働くことのできる環境整備に向けた取り組み

(6)改正法の施行を見据えた女性活躍推進とハラスメント対策のさらなる取り組み

(7)教育の機会均等実現に向けた教育の無償化・奨学金の拡充に向けた取り組み

V.電力総連の基本方針

 電力関連産業を将来にわたり持続的に発展させていくためには、短期・中長期的な観点から、電力関連産業に働く者すべての経済的・社会的地位の向上をはかるとともに、組合員とその家族の生活の安定・安心、やりがい・働きがいを実感できる魅力ある産業の構築に向けた取り組みを継続していくことが必要なことはいうまでもない。
 電力総連2020春季生活闘争は、雇用の維持拡大、労使の協力と協議、成果の公正な分配を柱とした「生産性三原則」のもと、物価上昇局面にあるなか「経済の自律的成長」を実現することや、持続的な産業の発展の基盤となる人材の維持・確保、技術・技能の維持継承等の着実な実現に向け、賃金引き上げをはじめとする「人への投資」を促すとともに、職場を熟知する労働組合による働く者のための働き方の見直しを進めることで、明日への活力につなげていくことが重要との認識に立ち、以下の方針をもとに取り組みを展開する。

1.賃金については、賃金カーブ維持分を確保したうえで、「経済の自律的成長」などマクロの観点からの所得向上に加え、経営効率化への貢献・努力に報いることや、電力関連産業の発展に不可欠な人材の維持・確保等に資するよう賃金改定に取り組むことで電力関連産業に働く者の「底上げ」「底支え」を継続・前進させる。加えて、賃金水準にこだわった取り組みの定着・強化をはかることで、「格差是正」を積極的に推進する。

2.賞与・一時金については、年間賃金の一部として安定した生活を支える生活給部分を最低限確保することを基本に取り組むこととし、過去の妥結実績、企業業績、生産性向上や職場実態などを勘案した要求を行う。

3.仕事と私生活の調和がはかられる環境の整備については、過労死・過労自殺をはじめとする健康障害の未然防止や生活時間確保等に向けて、改正労働基準法に定める時間外労働の上限規制等への適切な対応をはかることはもとより、企業規模・業種を問わず、長時間労働是正・過重労働解消の取り組みの定着・強化をはかるとともに、育児・介護・治療といったライフイベントに応じたより多様な働き方を構築するなど、ワーク・ライフ・バランスの実現をめざす取り組みを進める。

4.電力関連産業で働く誰もが安心して働き続けることができるよう、高年齢者雇用、女性活躍推進、障がい者雇用、ハラスメント対策等、労働環境の確保・改善、制度の整備・充実に向け取り組む。

5.パート・有期・派遣で働く者の待遇改善の取り組みについては、労働諸条件向上の基盤となる組織化を進めるとともに、同一労働同一賃金に関する法改正が施行されることを踏まえ、同じ職場で働く仲間として、正社員との均等・均衡待遇の確立につながる取り組みを進め、電力関連産業に働く者全体の底上げをはかる。

VI.具体的な取り組み

1.雇用安定と人材確保への取り組み

電力関連産業を取り巻く環境の変化に伴い、経営効率化方策のさらなる深化、企業の再編やグループ企業との役割の見直し、スマートメーター導入の加速化などが進行している。一部の加盟組合においては、雇用に対する不安が生じている。
 また、少子化に伴う若年労働者の減少や電力関連産業を取り巻く環境変化に伴い、新規採用がいっそう困難となっているほか、労働力需給のひっ迫により人手不足が顕在化している。それに伴い、電力関連産業の現場では、事業を支える人材の慢性的な不足や技術・技能の維持継承が困難となる事態が一部に散見されるほか、職場内の活性化にも影響しかねない深刻な課題となっている。
 今後も、電力関連産業が持続的に発展していくためには、そこに働く者の雇用不安の払拭と人材の確保・育成が重要であり、構成総連・加盟組合が総合力を発揮して諸課題の解決に向けて取り組みを進める。

〇 加盟組合は、企業の経営状況や経営計画などを確実に把握したうえで、経営基盤の安定に向けた労使協議を行うとともに、雇用安定や人材の確保・育成の重要性について、労使の共通認識を醸成していく。

〇 加盟組合は、雇用安定に資する条項の整備に向けて、人事条項に関する事項について確認するとともに、労働協約の締結、整備・充実に取り組む。

〇 構成総連は、加盟組合間の連携をいっそう深め、職場課題を的確に把握するとともに、雇用安定や人材の確保・育成に係わる諸課題の解決に向けて、労使懇談会等の充実に取り組む。

〇 電力総連・構成総連・加盟組合・業種別部会は、状況に応じて、申入れの実施を含め、雇用安定や人材の確保・育成につながる取り組みを行う。

2.賃金の取り組み

すべての加盟組合は、事前準備として自社の賃金実態把握を確実に行ったうえで、賃金カーブ維持分の確保に徹底的に取り組む。そのうえで、「経済の自律的成長」などマクロの観点からの所得向上や、経営効率化への貢献・努力に報いること、電力関連産業を支える人材の維持・確保などに資するよう賃金引き上げに取り組むこととし、「底上げ」「底支え」、賃金水準にこだわった取り組みをつうじた「格差是正」等の実現をめざし、3,000円以上の賃金改定に取り組む。
 なお、自組合の賃金水準が社会水準を下回る場合には、当該組合の実態を踏まえた格差是正分を上乗せした賃金改定に取り組むことを基本とする(社会水準との格差是正分の目安は3,000円とする)。

 ※社会水準との格差是正分は、電力総連ミニマム水準、目標水準、2020指標等をもとに、自組合の賃金実態に応じて設定。

 ※社会水準との格差是正分は、電力総連ミニマム水準、目標水準等をもとに、自組織の賃金実態に応じて設定。

(1)自社の賃金実態の把握

交渉の事前準備として、賃金実態を把握し賃金カーブ維持分に必要な原資の算出を行うとともに、賃金カーブの歪みや賃金分布の偏りなどの課題把握を行う。また、過去の賃金カーブと比較して、賃金水準が経年的に低下しているなどの要因の検証も十分に行う。

※賃金カーブの歪みの把握とは:モデル賃金カーブと比較し傾きの度合いや歪みについて把握すること

※賃金分布の偏りの把握とは:年齢間や男女間などでのバラツキの有無について把握すること

(2)賃金カーブ維持分の確保

○ 賃金制度(昇給ルールが制度化されている)が確立している加盟組合は、その賃金表・昇給ルールを維持する。

○ 賃金制度(昇給ルールが制度化されている)が確立していない加盟組合は、賃金カーブ維持分を要求する。

○ 雇用安定を優先して、定期昇給相当分の凍結や削減などを行わざるを得なかった加盟組合は、それらを回復する。

(3)マクロの観点からの「所得向上」に向けた賃金引き上げの取り組み

「経済の自律的成長」をはかるための所得向上、賃金の社会性等を踏まえ、賃金の引き上げに取り組む。

(4)職場活力高揚の観点からの賃金引き上げの取り組み

人材の維持・確保に向けた労働条件の引き上げや魅力ある産業をめざした「人への投資」、生産性向上に向けた貢献・努力、経営環境などを総合的に勘案し、職場活力高揚に向けて賃金の引き上げに取り組む。

(5)賃金の「格差是正」等、賃金水準にこだわった取り組み

加盟組合は、自社の賃金実態や賃金に関する個別事情を勘案しつつ、社会水準等の確保や、低下した賃金水準の回復、賃金カーブの歪みや賃金分布の偏りの是正など、以下に掲げる指標などを踏まえ、賃金水準の格差是正等、賃金水準にこだわった取り組みを積極的に推進する。

① 個別賃金水準が「電力総連ミニマム水準」を下回る加盟組合は、最低限必要な生計費を確保する観点から、その水準に到達するよう取り組む。

【電力総連ミニマム水準】

年齢 18歳 20歳 25歳 30歳 35歳 40歳 45歳 50歳
扶養 単身 単身 単身 配偶者+
子1
配偶者+
子2
配偶者+
子2
配偶者+
子2
配偶者+
子2
水準
(円)
153,800 162,300 188,300 225,200 277,500 310,700 337,000 357,600

※水準は人事院標準生計費を基に算出

※地域別最低賃金に法定労働時間(174時間)を乗じた値がミニマム水準を超える地域は、地域別最低賃金に法定労働時間を乗じた値以上をめざす。

② 社会水準の確保をめざす加盟組合は、下表の目標水準I・IIを参考に、その水準の確保に向け取り組む。

【目標水準】

  目標水準I 目標水準II
高卒18歳(初任給) 164,000円 171,000円
高卒20歳・勤続2年 174,000円 181,000円
高卒25歳・勤続7年 220,000円 246,000円
高卒30歳・勤続12年
(主要指標)
264,000円 293,000円
高卒35歳・勤続17年
(主要指標)
300,000円 343,000円
高卒40歳・勤続22年 340,000円 388,000円
高卒45歳・勤続27年 380,000円 444,000円

※電力総連賃金実態調査ならびに厚生労働省賃金構造基本統計調査の過去5年平均額を勘案し算出。目標水準Iは中位、目標水準IIは第3四分位。

※高卒18歳(初任給)の目標水準IIについては連合加盟組合における主要組合の高卒初任給水準を考慮し設定。

③ 経年的に賃金水準が低下している加盟組合は、その実態を把握し、社会水準(厚生労働省:賃金構造基本統計調査・企業規模計・高校卒・標準労働者・男性・30歳・中位)をめざすとの考え方に基づき、格差是正および復元に取り組む。なお、賃金実態が把握できないなどの事情がある場合における電力総連加盟組合300人以下の個別賃金30歳ポイント(単純平均)での参考指標については次のとおり。

【参考指標】

指標1 ○社会水準との格差是正
個別賃金が社会水準と比較し低位にある場合は、中期的にその格差是正に取り組む。【1,500円】
指標2 ○自社賃金水準ピークへの復元
自社賃金水準ピークへの復元をめざし、職場実態を踏まえ、中長期的にその復元に取り組む。【1,800円】
指標3 ○社会水準ピークとの格差是正
連合全体としてめざす水準であり、職場実態を踏まえ、中長期的にその格差是正に取り組む。【2,000円】
2020
指標
○社会水準回帰線との格差是正
個別賃金が直近の社会水準と比較し低位にある場合の短期的な取り組み。
※単年度の目安水準:3,000円(≒9,200円÷3年)

④ 賃金制度改定による影響の検証と回復

労使合意した賃金制度について、事業環境等を踏まえ、月例賃金の一時的減額や定期昇給原資等を減額改定した場合などは、その後の個別賃金水準の実態を把握し、自社の社会的位置取りや組合員の労働意欲向上を勘案し要求を行う。

⑤ 賃金カーブの歪みや賃金分布の偏りの是正

自社の賃金実態を把握し、歪みや偏りがあり、是正が必要と判断される場合は、その改善に取り組む。

(6)最低賃金協定の取り組み

パートタイム労働者・有期契約労働者も含めた電力関連産業に働く者すべての企業内最低賃金として、以下の要求水準を踏まえて、加盟組合ごとの最低賃金協定を締結する。

【最低賃金締結基準】

東京都・神奈川県の地域別最低賃金時間額を考慮し、18歳相当額として、時間額「1,020円以上」、または月額「177,500円以上」とする。
 なお、時間額1,020円を超える場合には、連合方針を踏まえ1,100円をめざす。また、月額177,500円を超える場合には、月額191,400円(=1,100円×174時間)をめざす。

※東京都(1,013円)、神奈川県(1,011円)を考慮し、18歳相当額(1,020円)×法定労働時間(174時間)≒177,500円

(7)初任給の引き上げ

技術・技能の継承をはかるうえで安定的な新規採用は必要不可欠なことから、労働需給の情勢や同業他社との比較・分析を行い、電力関連産業を支える有用な人材を確保できるよう各加盟組合で要求額を決定する。なお、電力総連ミニマム水準18歳相当額を下回っている加盟組合はその確保に向けて取り組む。

(8)配分交渉の充実

生活の安定を確保し、公平・公正でやりがい・働きがいにつながる配分をめざし、要求策定段階から配分交渉を重視した取り組みを行う。

(9)賃金制度の確立

賃金制度・体系が確立されていない加盟組合は、賃金実態を把握し、自社の課題を明らかにしたうえで、労使による検討・協議の場を設置し、賃金制度・体系の確立に向け取り組む。とくに、安定的な賃金水準を確保する観点から、定期昇給のルール化をはかっていく。

3.賞与・一時金の取り組み

賞与・一時金については、年間賃金の一部として安定した生活を支える生活給部分を最低限確保することを基本として、次により要求を行う。

(1)要求水準

「年間4ヵ月を最低水準」とし、4ヵ月に上積みをはかった要求とすることを基本に、過去の妥結実績、企業業績、生産性向上や職場実態なども勘案した要求を行う。

(2)要求・妥結方式

賞与・一時金は、年間賃金の一部として位置づけ、年間収入の安定をはかるため、夏冬型による年間要求・年間妥結を基本とする。

(3)冬季分の扱い

冬季分については、賃金引き上げ後のベースを使用し、夏季分に準じた扱いとする。

(4)支給日

夏季分は6月上旬、冬季分は12月上旬とする。

4.仕事と私生活の調和がはかられる環境の整備

(1)年間総実労働時間の短縮

長時間労働・過重労働は、家庭における役割や地域社会とのつながり、自己啓発などの個人の生活と仕事の調和に影響を与えることはもとより、体調不良やメンタルヘルス不調、過労死といった問題を引き起こすほか、女性や若者、高齢者など多様な人材が活躍できる社会の構築を阻害する要因となる。

また、罰則付き時間外労働の上限規制の導入や適正な労働時間管理の義務化など、これまで連合大で実現をめざし取り組みを進めてきた改正労働基準法等が2019年4月1日(中小企業は一部2020年4月1日等)に施行された。また、2020年4月1日からは時間外労働の上限規制が中小企業に適用開始となる。

各加盟組合は、法改正への適切な対応をはかるとともに、法改正の趣旨や意義ならびに「電力総連時短指針」の考え方を踏まえつつ、労働者の身体・精神の保護や家庭生活・社会生活を営むための生活時間の確保を念頭に、企業規模・業種を問わず、36協定の延長時間引き下げによる所定外労働時間の削減や勤務間インターバル制度等による休息時間の確保、年次有給休暇取得率向上等につなげるべく最大限取り組むなど、働き方や休み方の見直しをよりいっそう積極的に推進する。もって年間総実労働時間1,800時間の達成をめざす。

① 労働時間に関する労使協議の充実

○ 厚生労働省「労働基準法第三十六条第一項の協定で定める労働時間の延長及び休日の労働について留意すべき事項等に関する指針」を踏まえ、36協定の届出様式の変更や特別条項付協定を締結する場合の健康福祉確保措置など当該指針について労使委員会等をつうじて理解を深める。また、36協定の特別条項の延長時間引き下げや特別条項締結時における健康福祉確保措置の実施など当該指針の趣旨に沿った締結内容となるよう労使協議を行う。

○ 年間をつうじた労働時間に関する取り組みのフォローや、改善すべき事項について、労使委員会等をつうじて、労使の協議や話し合いを行い、協定化(議事録、覚書、確認メモを含む)をはかるとともに、36協定の特別条項の延長時間引き下げや休息時間確保施策等、長時間労働是正・過重労働解消に向けた労使行動計画の策定に努める。なお、すべての加盟組合は、所定外労働時間や年次有給休暇取得率など、個人別の労働時間実績についてデータの開示を求め、半期ごとに労使対応を行い、必要に応じて業務量の均平化や人員配置の見直しなどを求める。

○ 労働時間管理については、労働安全衛生法改正(2019年4月1日施行)によりすべての労働者を対象とした客観的方法による労働時間の把握が義務化されたことやコンプライアンスの観点も踏まえ、厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」に則った取り扱いとなるよう取り組む。

② 年次有給休暇の取得向上の取り組み

○ 年次有給休暇の取得日数については、労働者の心身の健康確保等の観点から、「電力総連時短指針」に基づき、「年間10日以上」をめざす。とくに、改正労働基準法(2019年4月1日施行)により事業者に年休5日の時季指定が義務化されたことを踏まえ、法違反となる取得日数が5日未満の組合員を決して発生させることのないよう、計画取得や連続取得など、実態に応じた制度や対策を求める。また、使用者による時季指定の方法に関して、実態に即したものとなっているか、労働者の意見が尊重されているか労使協議等において確認する。

○ 年次有給休暇の完全取得が概ねできている加盟組合は、初年度付与日数を15日以上とすることや年間20日付与となるまでの勤続年数の短縮を要求する。

○ 職場において、計画的に月1日以上は有給休暇の取得ができるよう、職場環境の整備やルール作りなどを行う。

③ 年間所定労働時間短縮の取り組み

○ 年間所定労働時間が2,000時間を超えている加盟組合は、「電力総連時短指針」に基づき、休日日数を増やすなど年間所定労働時間を2,000時間以下とするよう要求を行う。

④ 所定外労働時間の削減などの取り組み

○ 36協定の締結にあたっては、所定外労働時間の削減に向け、時間外労働の上限規制への適正な対応をはかりつつ、以下の内容を基本に取り組みを進める。

○ 長時間労働者への医師の面談指導については、改正労働安全衛生法(2019年4月1日施行)により対象が月100時間から月80時間を超過した者に引き下げられたことを踏まえ、月80時間を超過した者全員を対象に実施することを基本に、月45時間超過者で健康への配慮が必要な者についても、その対象とすることを求める。

○ 所定外労働時間削減については、連合の「時短レシピ」や「電力総連時短指針」などを参考に職場実態に応じた取り組み(定時退社日や計画年休取得制度の取り組みなど)を求める。

○ 労働時間等設定改善法改正(2019年4月1日施行)により努力義務化された勤務間インターバル制度の導入など、十分な休息時間の確保に向け、職場実態に応じた実効性のある制度導入や対策を求める。

⑤ 時間外割増率の引き上げなどの取り組み

○ 1ヵ月60時間を超える時間外労働の割増率については、労働基準法改正(2023年4月1日施行)により中小企業に対する猶予措置が廃止される趣旨や現状のダブルスタンダードを早期に解消する観点から、猶予対象となっている中小企業についても50%以上の実現に取り組む。

○ 「限度時間を超える時間外労働は法定割増率を超える率とするよう努める」とする指針(労働基準法第三十六条第一項の協定で定める労働時間の延長及び休日の労働について留意すべき事項等に関する指針)に基づき、法定に張り付いている場合は割増率30%以上の要求を行う。また、法定を超える率となっている場合においても30%以上となるよう取り組む。

○ 時間外労働の積算は所定労働時間を超過したものとし、時間外労働の積算方法については、平日・休日の区別なく合算するよう求める。

○ 代替休暇の導入にあたっては、労働対価は本来賃金で支払うことが原則であるとの考え方を踏まえ、加盟組合は個別に判断することとする。

○ 年次有給休暇の時間単位付与の導入にあたっては、有給休暇は本来1労働日を単位として取得するものとの考え方を踏まえ、加盟組合は個別に判断することとする。ただし、制度の導入にあたっては慎重に対応をはかるものとし、日数を拡大する場合には、制度の運用状況や取得実績を確認しながら対応を行う。

(2)仕事と育児・介護・治療の両立支援の取り組み

① 改正育児・介護休業法などへの対応

2017年1月1日施行の「改正育児・介護休業法」など一連の法改正は、男女ともに子育てや介護をしながら働き続けることができる就業環境の整備を目的とし、企業の規模を問わず育児・介護休業の制度見直しや有期契約労働者の休業取得要件の緩和、ハラスメントの防止措置などの実施を義務付けるものである。

また、同年10月1日施行の法改正では、保育所などに入所できず退職を余儀なくされる事態を防ぐために最長2歳まで育児休業の再延長を可能とするなどの見直しが行われた。

さらには、2020年6月1日施行の法改正では、ハラスメントに関する相談を行ったこと等を理由とする不利益取り扱いが禁止されるなどの法整備が行われることとなっている。

これらを踏まえ、近年の多様な家族形態・雇用形態に対応した両立支援制度や介護による離職防止に向けた制度の充実やハラスメント対策など、法改正の趣旨を踏まえた取り組みを進める。

○ 制度趣旨や内容の職場周知をはかるなどの労使対応を行う。

○ 妊娠・出産・育児休業・介護休業などを理由とした上司や同僚によるハラスメント防止措置や不利益取り扱いの禁止を含め、法改正を踏まえた取り扱いとなっているか職場実態の把握を行い、必要に応じて職場環境の改善に向けた労使対応を行う。また、派遣労働者に関しては、派遣元だけではなく派遣先にも防止措置や不利益取り扱いの禁止が適用されることを踏まえ、同様に労使対応を行う。

② 仕事と育児・介護・治療の両立支援制度の整備・拡充

人材の維持・確保が重要課題となるなか、貴重な技術・技能を有する人材が育児・介護・病気治療等を理由に離職することを防ぎ、仕事と家庭における役割を両立しながら働き続けることのできる職場の実現に向け、「電力総連 仕事と私生活の調和」の考え方を踏まえつつ、ライフイベントに応じた柔軟な働き方ができるよう、次の内容を基本に環境整備を進める。

○ 育児休業を取得できる子の年齢について、法においては原則1歳まで(保育所に入所できない場合は最長2歳まで延長可能)となっているが、希望する時に保育所に入園できない実態が多いことや保育所などの入園時期が主に4月ということを踏まえ、3歳の年度末をめざす。また、職場のニーズや地域事情に応じて、グループ企業との共同設置も視野に、事業所内託児所の設置に向け取り組む。

○ 育児による短時間勤務制度については、未就学児童(小学校就学前)までを対象とし、既に未就学児童を対象としている場合は、放課後児童クラブの待機児童問題や、下校時の安全確保などに鑑み、対象とする年齢の拡大をめざす。

○ 改正育児・介護休業法(2017年10月1日施行)で努力義務化された「育児目的休暇(配偶者出産休暇、子の行事参加のための休暇等)」の導入に努める。

○ 介護休業は、介護期間の見極めが困難なことや必要とする介護状態が個人によって異なることから、法定の介護休業期間(通算93日)を上回る日数の付与や法定(3回)以上の分割取得を可能とする柔軟な制度構築をめざすとともに、法定の介護休暇(対象1人あたり5日)以上の日数付与や時間単位での取得、短時間勤務やフレックスタイム制度など、柔軟な働き方ができるよう職場実態に合わせた労使対応を行う。

○ 長期にわたる治療が必要な疾病等を抱える労働者が、疾病等に対する職場の理解不足・支援不足によって離職したり、業務によって疾病を増悪させることなく、適切な治療を受けながら働き続けられるよう、プライバシーに配慮しつつ、当該労働者の上司や同僚への周知や理解促進に取り組むとともに、就業場所変更、作業転換、労働時間短縮などの配慮や「両立支援プラン」の策定、時間単位休暇や短時間勤務制度の充実など、対象者個々人の状況に応じた対応が可能となるよう取り組む。

○ 休業(休職)者の職場復帰に向け、「職場復帰支援プラン」の策定や試し出社制度などの充実に取り組む。また、メンタルヘルス不調による休職者が復職と休業を繰り返す場合においては、医療機関による復職支援プログラム(リワークプログラム)を活用するなど、支援策拡充に向け取り組む。

○ 制度利用者の職場復帰後の支援方策や欠員時の職場対応ルールの確立に向けて取り組むとともに、やむを得ない事情により離職せざるを得ない状況となった場合の再就職・再雇用制度導入など制度充実に向けて取り組む。

○ 育児・介護のみならず単身赴任者支援など、家庭内や地域社会における家族的責任を果たしながら働き続けることができる環境整備に向けて、時間単位での休暇取得やフレックスタイム制度の導入など、職場実態に合わせた取り組みを行う。

○ 両立支援制度の利用促進のためには、制度の充実に加えて利用しやすい環境づくりが不可欠なことから、職場実態を把握したうえで、必要に応じて労使協議を行うとともに、加盟組合は育児・介護・治療と仕事の両立に関する相談機能の強化に努める。

○ 次世代育成支援対策推進法の趣旨に基づき、行動計画の実施状況のフォローや、行動計画の更新の取り組みを行う。なお、義務化の対象となっていない100人以下の加盟組合においても、次世代育成の観点から、職場状況を踏まえた労使対応を行う。

○ 次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画に定めた目標を達成し、一定の基準を満たした「子育てサポート企業」を厚生労働大臣が認定する「くるみん・プラチナくるみん」制度については、働きやすい労働環境を整備するという観点に加え、人材の確保や公共調達における優遇措置があることも踏まえ、認定取得に向けた取り組みをつうじてさらなる環境整備を進める。

5.誰もが安心できる労働条件や労働環境の確保

(1)高年齢者雇用への対応

定年延長、定年制の廃止、継続雇用制度のいずれかによって65歳までの雇用確保措置を講ずることとした改正高年齢者雇用安定法(2013年4月1日施行)や、同一労働同一賃金に関する法改正(大企業:2020年4月1日施行、中小企業:2021年4月1日施行)の趣旨に基づき、高年齢者の活力高揚につながるよう、以下の内容を基本に取り組む。

○ 継続雇用制度を導入し、労使協定による対象者の基準を設けている場合は、希望者全員を対象に、65歳までの継続雇用とする労働協約の締結を行う。

○ それまでに培った経験に基づく技術・技能を活かし、やりがい・働きがいをもって、企業の発展に積極的に貢献できるよう、労働条件の整備や多様な働き方の確保に向けた労使対応を行う。とりわけ、待遇については、同一労働同一賃金に関する法改正を踏まえ、通常の労働者との均等・均衡待遇の実現に向けた労使対応をはかることとし、労働の価値や貢献にふさわしく、かつ、高年齢期における社会水準の確保をめざした取り組みを進める。

【参考】電力総連ミニマム水準(18歳・単身)153,800円
総務省家計調査における60〜64歳収入の過去5年平均 285,000円

○ 働きやすい職場の創出をはじめ、作業環境、能力開発、健康管理など、高年齢者の意欲向上や安全衛生確保につながる就業環境の整備に向けて労使対応を行うとともに、組織化に向けて取り組む。

(2)女性活躍推進法に基づく取り組み

女性活躍推進法や連合「第4次男女平等参画推進計画」および電力総連「男女平等参画社会の実現に向けた取り組み」を踏まえ、以下の内容を基本に取り組む。

○ 女性の活躍推進に向け、職場実態や課題の把握を行い、行動計画に反映するよう労使対応を行う。なお、法改正(2022年4月1日施行)により従業員数300人以下101人以上の企業が新たに行動計画の義務化対象となることから、当該組合は法改正を見据えた労使対応を行うとともに、100人以下の加盟組合においても、法の趣旨を踏まえ、同様な取り扱いとなるよう取り組む。

○ 春季生活闘争の取り組みをつうじて、職場ニーズや課題などの把握に努めるとともに、パート・有期・派遣で働く者においても同様な取り扱いとなるよう取り組む。

○ 女性の活躍推進に関する取り組みの実施状況などが優れた企業を厚生労働大臣が認定する「えるぼし・プラチナえるぼし」制度については、誰もが働きやすい労働環境を整備するという観点に加え、人材の確保や公共調達における優遇措置があることを踏まえ、認定取得に向けた取り組みをつうじてさらなる環境整備を進める。

(3)障がい者への対応

障がい者がごく普通に社会の一員として共に生活できる「共生社会」実現をいっそう促進することを目的とする障害者雇用促進法では、募集・採用、賃金、配置、昇進をはじめとするあらゆる場面において、障がい者であることを理由とする差別を禁止するとともに、合理的な配慮の実施が義務化されている。ダイバーシティ(多様性)を尊重した職場環境の実現に向け、障がい者に対する差別がないか、働きやすい環境への配慮が十分になされているか職場実態の把握に努めるとともに、必要に応じて職場環境の改善に取り組む。

(4)ハラスメント対策関連法に基づく取り組み

ハラスメント対策関連法(改正労働施策総合推進法、改正男女雇用機会均等法、改正育児・介護休業法)(2020年6月1日施行、パワハラに関する防止措置義務については中小企業で2022年4月1日施行)の成立により、パワーハラスメント対策がはじめて法制化され、防止措置が義務化されたほか、各法に共通して、ハラスメントに関する相談を行ったこと等を理由とする不利益取り扱いが禁止されるなどの法整備が行われた。法改正の趣旨を踏まえ、関連する指針(2020年1月15日策定)を参考にしつつ、以下の内容を基本に取り組みを進める。

○ 制度趣旨や内容の職場周知をはかるよう労使対応を行う。

○ ハラスメント防止措置や不利益取り扱いの禁止など、法改正を踏まえた取り扱いとなっているか職場実態の把握を行い、必要に応じて職場環境の改善に向けた労使対応を行う。また、派遣労働者に関しては、派遣元だけではなく派遣先にも防止措置義務や不利益取り扱いの禁止が適用されることを踏まえ、同様に労使対応を行う。

(5)退職一時金制度の確立・整備の取り組み

公的年金の支給開始年齢の引き上げや、マクロ経済スライドによって公的年金の水準が抑制される傾向にあるなか、安心した老後を過ごすための退職一時金の果たす役割はより大きくなっている。そのため、退職一時金制度が確立されていない加盟組合は、中小企業退職共済制度を活用するなど、早期確立をめざした取り組みを進める。また、制度が確立されている加盟組合は、電力総連のクリア水準である1,550万円以上の確保をめざす。

(6)災害補償制度の充実の取り組み

電力関連産業の社会的使命を果たす重責を担い犠牲となった組合員の業務上災害補償制度は、人命という何ものにも代えがたい価値への補償という労使共通の理念をもって、制度が確立されていない加盟組合については、制度化に向けた重点的な取り組みを行う。また、確立されている場合も、すべての加盟組合で電力総連のクリア水準3,500万円以上(業務上死亡・有扶養者)の補償額をめざす。

(7)ストレスチェック制度の活用について

改正労働安全衛生法(2015年12月1日施行)の趣旨に基づき、以下の内容を基本にそれぞれの職場において労使一体となった取り組みを進める。

○ 労使委員会・安全衛生委員会などをつうじた労使対応を行い、対象者の受検率・面談実施率の向上や、制度の充実に向けて取り組むとともに、派遣労働者に対するストレスチェックの実施状況についても確認を行う。合わせて、ストレスチェックの重要性について職場組合員に周知を行う。

○ 義務化の対象となっていない50人未満の事業場においても、メンタルヘルス不調の未然防止の観点から、実施に向けた労使対応を行う。

○ ストレスチェックの結果については、プライバシーの保護を前提としたうえで、労使委員会・安全衛生委員会などにおいて集団分析を行い、労使で職場環境の改善につながるよう取り組む。

6.パート・有期・派遣で働く者の待遇改善の取り組み

パート・有期・派遣で働く者の賃金・労働条件の「底上げ」「底支え」が社会的に求められるなか、電力総連においても、パート・有期・派遣で働く者の待遇改善は電力関連産業で働く者全体の底上げをはかることにつながるとの考えのもと、「電力総連 パートタイム労働者等の均等待遇に向けた取り組み指針」等に基づいた取り組みを進めている。
 同じ職場で働く仲間として、組合員か否かにかかわらず、改正労働契約法・改正労働者派遣法・改正パートタイム労働法の趣旨や、同一労働同一賃金に関する法改正が2020年4月1日(中小企業:2021年4月1日適用開始)に施行されることを踏まえ、職場における正社員とパート・有期・派遣で働く者の均等・均衡待遇につながるよう、以下の内容を基本に取り組む。
 取り組みを進めるにあたっては、厚生労働省「短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者に対する不合理な待遇の禁止等に関する指針(同一労働同一賃金ガイドライン)」を参考に、点検・改善を行う。

(1)パートタイム労働者・有期契約労働者の待遇改善の取り組み

○ 各企業が雇用しているパートタイム労働者・有期契約労働者について、労働条件などの実態把握、ニーズを把握するための対話活動などを実施し、当該者および労使の三者で共通認識をはかり、労働条件向上と組織化に向けた取り組みにつなげる。

○ 組織化に向けては、改正労働契約法(2013年4月1日施行)により、有期契約労働者に対する無期転換ルール適用が2018年4月1日から開始されたことを好機ととらえ取り組みの加速化につなげる。

○ 正社員と同視すべきパートタイム労働者・有期契約労働者の正社員化または正社員化に向けたルール作りを行う。

○ 正社員と同視すべきパートタイム労働者・有期契約労働者については、正社員との均等待遇に向けて取り組む。

○ 正社員と異なる働き方をしているパートタイム労働者・有期契約労働者についても、個々の労働者の労働条件・待遇ごとにその目的・性質に照らして正社員との待遇差が不合理となっていないかを確認し、不合理な差がある場合はその是正に向けて取り組む。

○ 2018年4月から5年を超えて反復更新される有期契約労働者に対する無期転換権が発生していることを踏まえ、正社員転換を含む無期転換に関するルール作りを確実に行ったうえで、対象となる有期契約労働者への周知に取り組むとともに、無期転換ルールの運用状況(無期転換権の行使状況等)の把握に取り組む。

○ パートタイム労働者・有期契約労働者が無期契約労働者へ転換した際の労働条件については、正社員との均等・均衡を考慮し、働き方に相応しい待遇となるよう労使対応を行う。

○ 時給引き上げについては、「最低賃金締結基準」を考慮し1,020円以上をめざし、職務内容、契約期間の実態などを踏まえた要求または要請を行う。なお、1,020円を超えている場合は、連合方針(1,100円以上)を踏まえた要求または要請を行う。

(2)派遣労働者の取り組み

改正労働者派遣法(2015年9月30日施行)や同一労働同一賃金に関する法改正(2020年4月1日施行)の趣旨を踏まえ、派遣労働者のよりいっそうの雇用の安定やキャリアアップ、待遇改善をはかることができるよう、以下の内容を基本に取り組む。

○ 同じ職場で働く派遣労働者について、業務内容、受入規模、契約期間、就労場所、契約条件、契約会社名を対象に情報開示を求めるなど、実態把握を行う。

○ 派遣可能期間の期間制限(3年)が2018年10月1日より発生していることを踏まえ、同一事業所で3年を超えて受け入れる際の労働組合に対する意見聴取においては、要員に関する事項や雇用延長期間などについて、労使対応を行う。

○ 派遣先に課せられた雇用安定措置や雇い入れ努力義務などの実施状況について適宜報告を求める。

○ 派遣労働者に対し、派遣先の募集情報の周知が適切に実施されているか適宜報告を求める。

○ 派遣元に対する比較対象労働者の待遇などに関する情報提供の実施状況について適宜報告を求める。

○ 食堂・休憩室・更衣室といった福利厚生施設について派遣先労働者と同様の利用条件となっているか確認する。

7.政策・制度実現への取り組み

連合は、政策・制度実現の取り組みを春季生活闘争とともに、すべての働く者の「底上げ」「底支え」「格差是正」に向けた運動の両輪として推し進めるとしていることから、連合の中核産別としての役割と責任を果たすため、積極的に参画していく。

8.加盟組合の交渉推進強化への取り組み

加盟組合の雇用安定、賃金水準や労働条件の維持向上をはかるため、電力総連・構成総連は、加盟組合の要求案策定の段階から、情報連携を密にし、加盟組合の実態に応じた支援を行うとともに、取引関係の適正化に向け、次の考え方に基づいて取り組みを強化する。

○ 自社の経営環境を踏まえた、当該労使の真摯な論議による主体的な解決がはかれるよう支援を行う観点から、取引関係が当該労使自治による春闘交渉に悪影響を及ぼすことがないよう、申入れや要請を行うとともに、「しわ寄せ」防止を含む公正取引の推進や適正な価格転嫁についても、各構成総連で開催される労使懇談会や個別オルグ等を活用するなど、交渉環境の整備をはかる。

○ 労働環境点検活動の結果、労働協約などの改善・充実が必要な加盟組合や賃金実態把握が未実施、賃金カーブ維持分が確保できていない、電力総連ミニマム水準・目標水準Tに未達などの加盟組合に対して、連携を強化し、重点的な支援を行う。
 また、個別賃金方式での要求、賃金制度の確立等が必要な加盟組合に対して実態に応じた支援を行う。

○ 業種別部会・連絡会ごとの定期昇給相当分の情報開示を加盟組合の要求案策定前に行い、電力総連内の相場形成に努める。なお、その他の加盟組合においても、構成総連内に対して情報開示に努める。

VII.進め方

連合2020春季生活闘争の進め方を踏まえたうえで、電力総連、構成総連、加盟組合、業種別部会・連絡会の連携を十分にはかりながら電力総連の総力を結集して取り組むこととする。また、連合の各種共闘や地方連合会が取り組む「地域ミニマム運動」と連携をはかりながら、有利解決に向けて取り組む。

1.要求書の提出

要求書の提出については、令和2年2月18日(火)を統一要求日として、一斉に実施する。ただし、事情により一斉要求への対応が難しい加盟組合は、遅くとも3月末までに要求する。

2.交渉推進体制

(1)交渉体制

○ 電力総連は、中央交渉推進委員会を設置し、構成総連・加盟組合の交渉推進に向けて積極的に支援・調整を行う。

○ 構成総連および業種別部会は、交渉推進委員会を設置して各々の責任体制を確立し、加盟組合の早期かつ有利な解決に向けて積極的に支援・調整を行う。

○ 加盟組合は、構成総連や業種別部会・連絡会と連携をはかり、自立・自決を基本に精力的に交渉を展開する。

(2)交渉の促進

○ 中央交渉推進委員会は、交渉状況を踏まえ加盟組合の交渉を有利に展開するため、「闘争の進め方」を発信する。

○ 構成総連および業種別部会は、加盟組合の交渉推進をはかるため、統一交渉ゾーンを設け一体となった交渉を展開する。とくに構成総連は、中小組合の交渉推進に向けて支援を強化するとともに、各加盟組合の妥結内容について時宜を得た発信を行うことで電力総連内の相場形成に努める。

○ 春季生活闘争に係わる情報は、交渉を促進するため適宜発信していく。

3.解決時期

交渉のヤマ場は、連合の解決促進ゾーンを踏まえ設定することとし、遅くとも4月末までの解決をめざす。


以 上
 
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