原油価格の高騰、国際的なエネルギー争奪戦に加えて産油国による資源ナショナリズムの動きなど、エネルギー情勢は大きく変化している中、エネルギー安全保障への関心が急速に高まっている。国民生活や経済・社会活動の基盤となるエネルギーをどう安定的に確保するのか?国のエネルギー戦略の重要性が再認識されるようになった。そして海外の原子力政策については、エネルギー安全保障および環境問題の観点から見直しが行なわれ「原子力ルネッサンス」がおこっている。
日本は、昨年の原子力政策大綱にはじまり本年5月の新・国家エネルギー戦略、そして現在はエネルギー基本計画の見直しなど、エネルギー安全保障に重点をおいた政策が構築され、国の姿勢がようやく見えかけている。
こうした中、海外のエネルギーおよび電力政策を視察するため、イギリス・フランスに向かった。原子力大国のフランスは、一貫した連続性のある政策が原子力を大きく支えていることを確認でき、日本の六ヶ所再処理工場の元となるラ・アーグ再処理工場の実績を目の辺りにしさらに安心感が高まり、より再処理の必要を痛感した。電力自由化先進国のイギリスにおいては、マーケットが安定供給・環境適合を賄うとの考え方には理解に苦しんだ。ただ、両国とも共通していた事は、「エネルギー安全保障」の確保であり、日本の課題とも一致していた。なぜこれほどまで戦術が違うのだろうか?
「日本にふさわしいエネルギー政策は何か?」本視察を通じてあらためて考えさせられた。エネルギーは国の基本政策のひとつでありながら、これまで議論の対象となっていなかった。原子力に象徴されるイデオロギーに振り回されているのが、現実ではなかったか。大切なのは政治のリダーシップのもと 国情を踏まえ、長期的視点に立って決定されることではないか。本視察で得た経験を踏まえ引き続き考えていき、電力総連の政策に反映させていきたい。 |