原油をはじめとするエネルギー資源の価格高騰、地球温暖化問題など、エネルギーを取り巻く国際情勢は、大きく揺れ動いている。
特に、地球温暖化問題は人類共通の課題であり、エネルギー政策を考える上で避けては通れない状況にある。平成21年12月には、第15回気候変動枠組条約締約国会議(COP15)がデンマークのコペンハーゲンで開催され、新たな国際的枠組みの構築には至らなかったものの「コペンハーゲン合意」に基づき、一定の方向性が示された。引き続き、気候変動枠組条約締約国会議の動向は注視していかなればならない。
さらに、原子力を取り巻く世界の潮流としては、欧州やアジアでは原子力発電所の建設が相次いでおり、世界全体でも原子力回帰に向かう動きが顕著になっている。
こうした中、海外のエネルギーおよび電力政策について理解を深めるため、エネルギー政策先進国であるフランスを訪問した。原子力大国のフランスは、一貫した連続性のある政策でこの国の原子力を支えると同時に、原子力技術に対する誇りと国外に対する戦略的な姿勢を堅持している。
現在の日本が抱える放射性廃棄物最終処分場の問題についても、フランスの放射性廃棄物管理公社(ANDRA)は、運営の独立性と徹底した情報公開による透明性、国の機関が実施するという保障のもとで、我が国と同様、懸命に住民の信頼と安心を担保しようとしている。
フランスと日本。両国の共通事項は「エネルギーの安全保障の確保」である。
「国情を踏まえた日本に必要な政策は何か。政治のリーダーシップとはどうあるべきか」など、あらためて考えさせられた視察であった。
本視察で得た経験を踏まえ、電力総連の政策や取り組みの充実につなげていきたい。
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