電力総連
ホーム アクセス サイトマップ ENGLISH 個人情報保護方針
電力総連とは?
私たちの取り組み
私たちの考え
仲間になろう
福祉・共済制度
ふれあいプロジェクト
ふれあい広場
機関紙
関連ウェブサイト
電力総連ホーム > 私たちの考え > 社会的信頼回復に向けて

 社会的な信頼回復に向けて
 社会的信頼回復に向けての取り組みについて (2003.2)

 昨年発生いたしました過去の原子力発電所の点検・補修作業における一連の問題により、社会全体の皆様に多大のご迷惑をお掛けしましたことを改めて心からお詫び申し上げます。
 電力総連は、これらの行為に至った背景や職場実態を把握し対応できなかった責任を痛感するとともに、特に、国の立入検査時における不正行為は、原子炉の安全上重要な機器の健全性を確認する検査での行為であり、決してあってはならないものであると受け止めております。そして、こうした認識のもと、今回の事態を原子力部門のみならず、電力総連組織全体の課題と受け止め、社会的信頼回復に向けた検討委員会を設置し検討を重ね、「信頼回復に向けての方策」をとりまとめました。
 今後は、このとりまとめに基き、社会的信頼の回復に向け、精一杯の取り組みを展開してまいります。



信頼回復に向けての方策について
   〜 わたしたちの反省と決意 〜

はじめに
I. 事実関係および背景
II. 検討の視点
III.信頼回復に向けた方策
 1.全般における方策
 2.原子力の社会的信頼回復に向けた方策
IV. 今後の対応

<はじめに>
 過去の原子力発電所の点検・補修作業において、事実隠し・虚偽の報告などが行われたこと、さらに、国の立入検査において不正行為が行われたことが明らかになった。
 電力総連は、これらの行為に至った背景や職場実態を把握し、対応できなかった責任を痛感するとともに、特に、国の立入検査における不正行為は、原子炉の安全上重要な機器の健全性を確認する検査での行為であり、決してあってはならない許されざるものであると受け止める。そして、こうした認識のもと、昨年9月の大会において、今回の事態を電力総連の組織全体の課題と受け止め、私たちの反省と決意を込めて、信頼回復に向けた方策を検討していくことを確認した。
 こうした経過を受け、9月末、社会的信頼回復に向けた検討委員会(委員長:妻木電力総連会長)と、そのもとに検討小委員会を設置した。
 本方策は、各構成総連、各組合の意見を吸収しつつ、委員会において論議を重ねた内容を取りまとめたものである。今後、これに基き、電力総連、各構成総連ならびに各組合それぞれにおいて、社会的信頼回復に向けて地道な取り組みをしていくことを期するものである。

I.事実関係および背景
  事実関係および背景の概要は、次のとおりである。
1.点検・補修作業における事実隠しならびに虚偽の報告
 平成14年8月29日、原子力安全・保安院は、GEII社の元社員から東京電力の原子力発電所の自主検査における点検記録の書き換えなどの不正が行われた旨の申告を受け、調査することを公表した。
 これを受けた東京電力は、社内に調査委員会を設け、その調査結果として、「不適切な点が認められたものが16件」「不適切な点が認められなかったものが13件」、なお、「いずれの機器も安全性に問題ない」と、平成14年9月17日に公表した。その行為の背景として、「スケジュールどおり定期検査を終わらせて自分たちの電源を系統に復帰させる」ことが、最大の関心事であったことなどから、「安全性に問題がなければ、国へのトラブル報告はできるだけ行いたくない」という心理が醸成され、「安全性に問題がなければ報告をしなくてもよいのではないか」という誤った考えが加わり、不適切な取り扱いが実行されることとなったとしている。
2.国の立ち入り検査における不正行為
 東京電力は、一部の報道機関にて報じられ、福島第一原子力発電所1号機の格納容器気密漏洩検査に係わり不正行為が行われたとの疑義が生じたため、社内調査を行ったのち、さらなる厳密な調査を行うため、外部弁護士による調査団を編成し、以降2ヶ月にわたる調査を実施した。調査過程においては、10月25日に、定期検査中の格納容器気密漏洩検査(平成3年および平成4年)に際して、圧縮空気を注入するなどして、正確な漏洩率が確認できないまま当該検査を受検するという不正行為の存在事実等をまとめ、中間報告として、東京電力は同日、経産省へその事実を報告した。経産省は、この報告を受け、これらの行為を極めて悪質なものとし、原子炉等規制法に基く、当該発電所の1年間の原子炉運転停止という厳しい行政処分を行う考え方を示し、11月29日に運転停止命令を下した。
 東京電力の最終報告では、不正行為の事実関係を認めた上で、不正行為の手口、至った経過・背景、詳細な事実関係や他発電所の状況などの調査がまとめられ、その中で、「当時の職場事情」、「安定供給への過剰な意識」、「安全性に対する誤った意識」などがあったとしている。

II.検討の視点
 今回の検討の目的は、法令や社会的信頼をベースとする事業運営に向け、何をなすべきかをまとめることにあるが、そうした事業運営を支えるのは、企業および個々人の倫理の確立、さらに、風通しの良い職場風土と考える。
 こうした認識に立ち、今回の事態から電力総連全体で教訓を学び取っていくとともに、労働組合として何をなすべきかの観点に立ち、方策を検討したものである。

III.信頼回復に向けた方策
1.全般における方策
(1)労働組合のチェック機能の維持・強化
 今回の事態については、労働組合としてのチェック機能を果たすことができなかったことが問題であると受け止める。こうした認識に立ち、労働組合のチェック機能とは何なのか、それを果たすために何をなすべきなのか、検討を行った。
労働組合の役割としては、

・ 組合員の雇用と労働安全も含めた総合的労働条件を守る。そのためにも、産業・企業の健全な発展を追求する。
・ 社会の構成員として、当該企業が適切な経営行動をしているのかをチェックすることを通じて、社会的責任を果たす。
ことなどがあげられる。
 こうした役割を果たしていくためには、労働組合は労使協議や日常の労使間の対応などを通じて、
・ 経営方針・計画が、健全な企業の発展に繋がるものとなっているか。
・ 企業の事業運営全般が、法令遵守・社会的信頼の観点に立って行なわれているか。
などを問うていかなければならない。
 そのためには、執行部による労使協議をしっかりと裏付けるものが必要であり、それは執行部と職場・組合員とのコミュニケーションの中で吸収される意見、職場の実態である。労働組合のチェック機能が問われているということは、言いかえれば労働組合自身が、組合員・職場の声なき声を吸収し受け止める組織であるか否かが問われているということである。
 こうした観点に立って、各組合は、機関会議や職場懇談会の充実など、あらゆる方策を駆使して、風通しの良い労働組合づくりに取り組み、組合員と労働組合の相互の意思疎通ならびに情報伝達機能の維持・向上に取り組んでいくこととする。そして、吸収した意見や職場実態を踏まえ、労使協議を徹底していくこととする。

<統一的に対応する項目>
・ 電力総連全体での対話活動強調月間の設定(11月、電力総連でポスター作成)
・ 電力総連、各構成総連に相談窓口の開設

<構成総連・各組合において主体的に対応する項目>
・ 執行部と職場との対話活動の充実・強化
・ 執行部による日常の世話役活動の充実
・ 労働組合としての相談窓口、意見収集箱(Eメールなど)の設置

 さらに、電力関連産業の中にも未だ労働組合の結成されていない企業も存在しており、雇用や総合的労働条件を守ることもさることながら、企業の経営行動をチェックするためにも、労働組合の組織化に向けた運動を強力に推進することとする。
(2)企業倫理の確立
 様々な企業の不祥事を背景として、国内外において企業倫理の確立の必要性が主張されている。日本経団連をはじめ経済界も行動憲章などを打ち出している。
 それらに盛り込まれている内容に異論をはさむものではないが、企業倫理の確立に必要なことは、
・ 経営者が構成員に対し、法令遵守、社会的信頼をベースとした事業運営・業務遂行なくして、企業の発展はあり得ないことを明確にアピールすること。
・ 経営者がそのような考え方に立って、率先垂範すること。
・ 取引企業間の適正な関係に基いて、事業運営をすること。
であると思われる。
 各組合は、こうした観点に立って、労使協議などの中で経営側の対応を求めていくこととする。
<統一的に対応する項目>
・ 電力総連、各構成総連、各部会および各組合においての経営側団体等への申し入れ行動

<構成総連・各組合において主体的に対応する項目>
・ 日常活動の中での労使協議の徹底
(3)個々人の行動倫理の確立
 内部論理に陥らず、自分の行動を客観視できるよう、組合員の意識改革に向けて、啓発活動を実施する。
<統一的に対応する項目>
・ 啓発ポスターの職場掲示(電力総連でポスター作成)

<構成総連・各組合において主体的に対応する項目>
・ 組合員研修会などの実施ならびに充実

2.原子力の社会的信頼回復に向けた方策
(1)従事者間の信頼関係の構築
 原子力は、数多くの従事者によって支えられており、従事者間の信頼関係、率直に話し合える関係を背景として、適切な業務遂行がされるものと考えられる。
 こうした観点に立って、原子力に携わる組合は、関係する労組間の懇談会やそれぞれ内部の職場懇談を実施するなどして、未組織の労働者も含め、職場の声を吸収し、事業者側へ提起していくこととする。
<統一的に対応する項目>
・ 各原子力施設における関連労組懇談会(未組織労働者も含む)の実施

<構成総連・各組合において主体的に対応する項目>
・ 原子力施設労組間交流の実施
・ 職場懇談会や職場意見交換会の開催
・ 各原子力施設における関連労使懇談会の実施
(2) 再発防止策の水平展開
 今回の事態を踏まえ、東京電力は、調査・検討に基づき、再発防止策を打ち出している。こうした方策の必要性については、一概には言えないものの、原子力に携わる他の企業にもあてはまるものと思われる。
 この東京電力で打ち出している再発防止策に付け加えるとするならば、原子力に携わる企業間におけるコミュニケーションの充実、お互い何でも話し合える信頼関係の形成が必要と思われる。発注者、受注者の関係において、安全・安心の観点で適切に業務を遂行するためには、そのベースとなる信頼関係が重要であり、関係する企業間における懇談会を持つなどして、そうした関係を息長く培っていく必要がある。
 原子力に携わる組合は、このような方策のほか、必要と考えられる方策について、内部検討を行い、さらに充実した方策の実施を各企業に求めていくこととする。
<統一的に対応する項目>
・ 原子力に携わる組合における労使協議の実施ならびに充実
(3)行政等への提言
 今回取りまとめた方策は、労働組合として私たち自身が地道に継続した取り組みを行うことが大前提であるが、事態の背景には、行政のルールにも課題があるとされており、労働組合として職場実態の把握を行ない、行政等へ提言していくこととする。

IV.今後の対応

 社会的信頼回復は、今回取りまとめた方策をいかに真剣にかつ着実に取り組んでいくかにかかっている。こうした認識に立って、電力総連は、本方策に基く活動計画を企画・実行していくこととし、各構成総連および各組合は、それを踏まえ主体的に活動していくこととする。
 また、対外的に本方策を説明し、社会的信頼回復に向けた私たちの姿勢を示していくとともに、率直なご意見を吸収し、さらなる方策の肉付けを行っていくこととする。

以 上

戻る
全国電力関連産業労働組合総連合ホームページに掲載された画像その他の内容の無断転載はお断り致します。
Copyright(C) 2004 The Federation of Electric Power Related Industry Worker's Unions of Japan all rightreserved.