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 地球温暖化問題
 電力総連の環境・エネルギ−問題への取り組み (1999.12)

1. 我が国のエネルギー消費の現状と電気事業
2. 日本の電気事業を取り巻く状況
3. COP3における温室効果ガス削減目標
4. 電力産業と環境対策
5. 電力総連の資源・環境問題に対する取り組み
6. 「地球を救うCOCOちゃん運動」の展開
7. 電力総連の環境・エネルギー政策に対する考え方
8. 「循環型経済社会」の確立に向けて


COCOちゃんとその友達
  COCOちゃんとその友達

1.我が国のエネルギー消費の現状と電気事業

 我が国は、化石燃料の殆どを輸入に依存しています。そのためエネルギー自給率は20%(原子力含む)と他国と比較しても極めて低くなっています。特に、石油においてはその殆どを政情不安な中東地域に依存している状態です。

【エネルギー自給率(1996年:%)】(電気事業便覧)
日本
(除く原子力)
アメリカ イギリス ドイツ フランス
20.1(4.7) 79.0 114.7 40.2 51.2

【石油の輸入依存度(1994年:%)】(電気事業便覧)
日本 アメリカ イギリス ドイツ フランス
99.7 50.7 161.4 97.3 96.5
※中東地域への石油依存度は83%(1997年度)

日本の一次エネルギーの消費は、運輸部門と民生部門において著しく伸びています。

【日本の一次エネルギーの消費割合(%)】(電力中央研究所資料)
産業部門 運輸部門 民生部門
47.3 18.6 15.2(業務) 17.1(家庭)
・運輸部門…高速道路の整備等によるモータリゼーションの進展、トラック輸送の増加 等
・民生部門…社会の24時間化、冷暖房需要の増加、OA化の進展 等



2.日本の電気事業を取り巻く状況

 日本の電気事業の特性は、高温多湿な気候にあります。そのため、先進国の多くが暖房需要主体であるのに対し、夏場の短期間に需要が集中し、空調器機等の普及に伴い夏季の最大電力のピークが先鋭化している状況にあります。
 需要のピークに合わせた発電設備の形成が不可欠なため、近年では、季節や時間によって大きな需要格差が生じています。また、発電設備の年間の稼動時間が短いことから電力設備の利用率(負荷率)は低調に推移している状態です。
 特に、民生部門おける電力需要は景気の動向に関係なく着実に増加しています。

【日本の電力需要の推移(上段:億kwh,下段:対前年比伸び率:%)】(電気事業審議会需給部資料)
  87年度 92年度 93年度 94年度 95年度 96年度
総需要 6,381
( 6.0 )
7,978
( 1.0 )
8,047
( 0.9 )
8,588
( 6.7 )
8,816
( 2.6 )
9,035
( 2.5 )
民生用需要 2,673
( 7.3 )
3,554
( 3.6 )
6,666
( 3.2 )
3,976
( 8.5 )
4,125
( 3.7 )
4,228
( 2.5 )
産業用需要 3,708
( 5.2 )
4,424
( -1.0 )
4,381
( -1.0 )
4,612
( 5.3 )
4,690
( 1.0 )
4,806
( 2.5 )



3.COP3における温室効果ガス削減目標

 COP3において、日本が国際的に公約した温室効果ガス削減目標は、2010年に1990年の排出量比6%減というものです。
 すでに1995年時点で1990年水準を8.3%増加しており、今後の排出量を考えると、実質的には20%以上の削減が必要となっています。
 この目標達成のためには、可能な限りの新エネルギーの導入、16〜20基程度の原子力発電所増設、オイルショック直後と同程度の極めて厳しい省エネが前提です。

1997年度 原子力発電電力量 … 3200億kwh 設備容量 … 4500万KW
2010年度 原子力発電電力量 … 4800億kwh 設備容量 … 6000〜7000万KWまで高める。
・1600億kwhは原油換算で3300万キロリットルの省エネ効果。2700万トンのCO2削減が見込まれる。
グラフ



4.電力産業と環境対策

 電力産業は、発電から送電、配電、そして月々の検針等に至るまで幅広い事業分野を抱えており、環境に関しても地球・地域レベルで密接に関わりを持っています。
 市民活動・社会経済活動を支えるうえで必須の「電力」エネルギーを、極力環境に負担をかけないよう、環境関係法令の遵守はもちろんのこと、各社ごとに環境保全対策を厳密に定め、その実績推移を厳しく管理しながら供給しています。

【電気事業と環境関連法令】
発電所の建設等に伴う、周辺地域への環境影響の予測 ・環境影響評価法、電気事業法
NOX、SOXの大気汚染物質、排水に対する規制 ・大気汚染防止法、水質汚濁防止法
設備建設工事で発生する騒音、振動、悪臭に対する規制 ・騒音規制法、振動規制法、
 悪臭防止法
発電所敷地の緑化、地下水の汲み上げに対する規制 ・工場立地法、工業用水法
産業廃棄物の適正な処理のための規制 ・産業廃棄物の処理及び清掃
 に関する法律

 中でも、発電などに伴い排出される硫黄酸化物(SOX)、窒素酸化物(NOX)、の大気汚染物質については、排出原単位(電力量あたりの排出量)を設定・管理し、世界的に見ても極めて良好な排出レベルを維持しています。

【主要国の発電電力量当たりのSOx、NOx排出量(火力発電所)】
グラフ
「OECD Environmental Data Compendium 1997」
「ENERGY BALANCES OF OECD COUNTRIES 1992-93,1994-95」

日本の数値は電気事業連合会により試算

 また、オゾン層破壊の原因となるフロン類の代替物質への切り替え、放射性廃棄物の管理、二酸化炭素(CO2)の排出抑制等に取り組みを展開しています。
 特に、わが国総排出量のかなりの部分を占め、需要によってその排出量が大きく左右されるCO2の排出抑制については、

 (1) 原子力発電を中心とした電源のベストミックス
 (2) 電力設備の利用率(負荷率)向上
 (3) 電気温水器・蓄熱設備の普及拡大、選択約款等による軽負荷時間帯への負荷移行
 (4) 新エネルギーの開発

などを行い、需要・供給の両面から問題の解決に向けた努力を続けています。



5.電力総連の資源・環境問題に対する取り組み

 電力総連としても、国民のライフラインを司る公益産業に従事する労働組合として、以前から資源・環境問題に対して積極的に運動を続けています。
 具体的には、空缶・ゴミ拾いのキャンペーン、行政機関に対する要請をはじめ、ボランティア活動の一環としてフィリピンにおいて、毎年植林活動を行なうなど、地球環境保全に対する取り組みをボランティア活動との整合性もとりながら行っています。
 また、地方組織においても、ゴミの分別収集やマイカー通勤の自粛、研修会、植林などの諸活動を展開し、日常活動の中にも環境に対する意識を持ちながら取り組みを行っているところです。
 COP3においてわが国の温室効果ガス排出削減目標が決定される中、電力総連としてはこれらの問題に対して、
(1) 産業活動のみならず、国民一人ひとりの意識改革及びライフスタイルの改革へ向けた取り組みが必要
(2) 国民全員による息の長い着実な取り組みが必要であり、一人ひとりの自覚と認識に基づいた自主的な取り組みが必要
との認識に立ち、労働組合も社会を構成する一員として率先垂範して運動を展開することを決定しました。
 そして、「わたしたちに出来る身近なことからまず行動しよう」という認識のもと「地球を救うCOCOちゃん運動」を展開することとしました。



6.「地球を救うCOCOちゃん運動」の展開

 具体的な運動の推進にあたっては、先ず、家庭から排出される二酸化炭素の削減に取り組むこととし、家庭における省電力の取り組みから活動をスタートさせました。
 その際、女性や子供にも親しみやすいキャラクター「COCOちゃん」やキャッチコピーを作成し、節電の要領、上手な電気の使い方、各家庭での取り組み結果の記入欄等を記載したカードを配布して運動を進めました。
 併せて、労働組合の日常活動においても、夏場におけるノーネクタイの取り組みを盛り込んだ空調温度の適正化に向けた運動や両面コピーの活用による紙類の減量化、近接階への階段の利用、マイカップ使用、アイドリングストップ運動等を展開しているところです。
 また、定時大会等においては、ノーネクタイでの空調温度の適正化はもちろん、大会配布資料の見直し、昼食での回収トレイの使用や紙コップ使用中止を行い、全組織を挙げた取り組みを行なっているところです。
 取り組みの過程において組合員からは、「環境に対する意識が高められた」、「継続して取り組んでいきたい」、「政府・自治体・企業がもっとPRすべきでは」との意見が数多く挙げられ、組合員の環境保全に対する意識の醸成は着実にはかられているように感じます。



7.電力総連の環境・エネルギー政策に対する考え方

 「地球を救うCOCOちゃん運動」のより具体的活動を展開する一方で、環境・エネルギー政策についても積極的に理解活動を展開しています。
 前述のように、我が国は一次エネルギーの約9割を化石燃料に依存しており、今後、化石燃料への大量依存を続けることは、酸性雨や地球温暖化など地球環境問題を深刻にするだけでなく、エネルギーセキュリティにおいても将来の不安を大きくすることに繋がると考えています。
 電力総連は、石油危機の教訓も踏まえ、エネルギー政策については石油代替を進め、原子力を含むエネルギー源のベストミックスをめざす政策を支持してきています。
 特にエネルギーセキュリティの中核を担うものとして原子力発電を推進する立場をとっていますが、COP3における温室効果ガス排出抑制目標の達成の決め手として原子力発電の有効性・重要性は広く認識されなければならないと考えています。

【各種電源の1kwh当たりのCO2排出量】(電力中央研究所)
グラフ
(注)原料の採掘から建設・輸送・精製・運用(実際の発電)保守等のために消費される全てのエネルギーを対象としてCO2排出量を算出:(例)石炭 [採掘・選炭]→[輸送]→[発電]→[炭捨]

 原子力の利用には、安全性の確立、放射性廃棄物の処理処分、情報公開といった課題が残されていますが、日本のエネルギー消費が化石燃料への依存から脱却し、地球温暖化防止の目標を達成するためにも残された課題を解決していく努力を行なっているところです。
 また、太陽光や風力といった再生可能な新エネルギーも貴重なエネルギー源であり研究開発と普及のための積極的な取り組みが必要です。ただ、現在のところエネルギー供給の大宗を担えるものとはなっておらず、今一段の技術革新が必要です。
(新エネの電力供給シェアー 96年度 0.1% → 2010年度目標 1%)



8.「循環型経済社会」の確立に向けて

 現代社会は、エネルギー価格が安いがゆえに、無意識のうちに無駄使いをしていることが多く、日常生活でも、便利で、能率の良い快適な生活を追い求め続け、それがいつのまにかエネルギー消費を増やしている現状にあるのではないでしょうか。
 このような資源の大量消費と環境への大量廃棄で成り立つ先進国社会のこれまでの社会発展のあり方を見直し、量を追求する右肩上がりの発展から質を重視し、リサイクルを中心とした「循環型経済社会」へ脱皮していくことが望まれています。
 そのことが化石燃料に乏しいアジアのエネルギーセキュリティにとっても大切なことであると考えています。
 しかし、環境の保全(Environmental Protection)のみを議論の俎上に挙げ、経済発展(Economic Growth)やエネルギーセキュリティ(Energy Security)を考慮しないということは、人類の持続可能な発展を脅かすことになると考えており、この「3E」をどのように同時達成して行くかが現代社会に課せられた命題であるとも言えます。
 この3Eの調和をはかりながら、循環型経済社会への変革を行なっていくうえで何よりも重要なことは環境倫理の醸成ではないでしようか。
 21世紀の日本が、より豊かな姿で存在するためにも、将来世代の人々のことを考えた環境に対する倫理観・価値観の醸成が必要と考えます。
 省エネルギー技術や環境対策技術がどんなに発達し、省エネルギーや環境のためのすばらしい万策が施されようとも、私たち一人ひとりの意識の転換がなければ実質的な効果はゼロに近いのではないでしょうか。
 「意識の転換」なしには循環型経済社会の実現はできないが、国民の皆さん全てにこの意識改革を行うことほど難しいことはないことも事実です。
 電力総連としても「地球を救うCOCOちゃん運動」とともに、今後とも労働組合らしい運動を続け、環境保全、エネルギーに対する倫理観・価値観の醸成に今後とも取り組んでいきたいと考えています。


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