電力総連は、平成14年12月13日から23日の10日間、米国のテキサス州やネバダ州などを訪れ、電力自由化を中心にした電力事情に関する視察調査を実施した。
米国では51州のうち、電力自由化を実施した州が17、延期した州が5、動きの無い州が28、停止した州が1(カリフォルニア)となっており、それぞれの州が自らの事情を勘案して電力自由化を進めている状況にある。本視察調査では、カリフォルニア電力危機の教訓を活かした制度設計によって電力自由化に踏み切ったテキサス州と、カリフォルニア電力危機を踏まえて、電力自由化に慎重な姿勢をとっているネバダ州という対照的な2州を選んだ。
テキサスでは、「カリフォルニア電力危機を踏まえても自由化に踏み切った理由は、相対取引をベースにした制度設計と電源の高予備率(20%)が背景である」ことや「自由化後から電力会社の対応は変化しており、料金未納者の電力供給を即座に遮断するなど厳しくなっている」こと、さらに「エンロンのスキャンダルは電力市場に対する信頼を損失させ、投資家は発電所建設への投資を控えているため将来の電源確保に懸念がある」ことなどの説明を受けた。
ネバダでは、「自給力が半分しかないため他州から電力を輸入しており、カリフォルニアなど隣接州の影響を受けやすい。そのような中で電力自由化を実施するのは、州内の電気事業者や消費者の利益につながらないと判断し全面自由化を延期した」ことなどの説明を受けた。
本視察調査を通じて「電力自由化を進める中でも安定供給は重要であり、そのための電源確保は大きな課題である。また、電力自由化が真に消費者利益につながるかどうかは模索状態にある」ということがわかった。 |