「子供の森」計画は、次代の主役である子供たちの参加による学校単位の森づくり運動で、子供自身が学校の敷地や隣接地で苗木を植え育てていく実践活動を通じて「自然を愛する心」「緑を大切にする気持ち」を養いながら、地球の緑化を進めていこうというプログラムで、1991年に始まったこのプログラムは2001年5月現在、東南アジアを中心に21ヶ国、2218校が参加している。
電力総連は、1994年以来フィリピン、インドネシア、フィジーの学校に直接支援しており、その数も5校、7校、10校と年を追って増え、現在は15校にまで拡大してる。(活動修了校4校を含めると延べ19校。)
支援している15校のうち12校がフィリピン北部ヌエバビスカヤ州に在る。当地は自然破壊の著しいフィリピンにおいても深刻な森林破壊が進む地域であり、木が1本も生えない山々が痛々しい景観を呈している。木がなく保水機能を失った山は、乾期には干害、雨期には土壌流出を引き起こし、麓で農業を営む地域住民の生活を脅かしている。こうした状況を改善するためには早急な緑化が不可欠とし、1993年当地に植林プロジェクトが立ち上げられた。
電力総連では「人間と地球のふれあいセミナー」として実践参加型のプログラムを毎年当植林プロジェクト内で実施。全国から集まったメンバー(ふれ愛すと)が毎年夏、植林ボランティア団として当地を訪れ当地の緑化に大きく貢献している。電気や水道設備の整わないプロジェクト内でバンブーハウス(竹とかやで作られた簡素な建物)で寝起きし、山間部で汗と泥にまみれながら植林活動に精を出すのだが、その姿は地域住民をも多いに啓発している。彼らとの共同作業は「ふれあい」を生み、植林プロジェクト推進の大きな活力源になっている。
1993年にスタートした本プロジェクトは現在500ヘクタールの土地を植林し終え、初年度に植えた木は大きいもので樹高12メートルに達している。植林による緑地の拡大と併せて、植林地の維持管理も重要な作業であり、山火事防火のための緩衝帯や林道の造成、整備が不可欠だが、それは巨大な労力を要する。そうした現場の要請に応えて、電力総連では昨年中古ブルドーザーを寄贈した。ブルは今も山野でフル稼動している。
約2週間のふれあいセミナー中には、山間部での植林作業と併せて、「子供の森」計画参加校を訪問し、児童、教師らと植林、交流を行なっている。参加校にとってふれあいセミナー(ふれ愛すと)の訪問は日頃の活動への大きな励ましとなっている。94年当初に植えた木も既に高さ10メートルに達し、友好の証として「子供の森」が徐々に形作られている。
昨年4月、植林プロジェクトを含むヌエバビスカヤのキラン村が、フィリピン政府主催の農業祭の会場に選ばれ植林プロジェクトも多くの注目を集めた。この背景には、当地を訪れる日本人植林ボランティアの影響による地域一帯の環境保全への気運の高まりがあるが、とりわけ、今年8回を数える「人間と地球のふれあいセミナー」メンバーの活動が、大きな役割を果たしている。
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