電力総連は、7月16日(金)〜25日(日)の10日間、フィリピン共和国において第9回「人間と地球のふれあいセミナー」を実施した。このセミナーは、電力総連ふれあいプロジェクトの中心的活動として1995年から開催しており、これまで120名を超える「ふれ愛すと」(セミナー参加者の愛称)を派遣し、1万本を超える苗を同国に植林している。 |
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「人間と地球のふれあいセミナー」は、海外での植林活動を通じて、地球規模で進む環境問題に対する意識高揚を図ることや、私たちが、多忙な毎日の中で忘れかけている「優しさ」「思いやり」という人間の持つ感性を再認識することを目的としている。
昨年度は、SARSの影響を受け中止となった当セミナーであったが、今年度は各構成総連からの参加者16名と、事務局3名を合わせた19名の「ふれ愛すと」をフィリピンの山岳地帯に派遣した。
2年ぶりに訪れたフィリピン共和国ヌエバヴィスカヤ州キラン村では、これまで植林した苗たちが、健やかに生長した姿で私たちを歓迎してくれた。高いものは15メートルを超える木に生長しており、2年前に植えた苗も2メートル程に育っているものもあった。
これら植林やその後の管理に係る費用は、組合員のみなさんにご協力いただいている「ふれあいカンパ」で賄われている。ふれあいカンパの一部を財団法人オイスカへ拠出、現地の「オイスカ・ヌエバヴィスカヤ州植林プロジェクト」が私たちの植えた苗の生育を見守っている。このような連携により、これまで「ふれ愛すと」が植林した苗は、順調に生育していた。一歩一歩ではあるが、電力総連の森が確実に育ちつつあることを実感した。
〈人間とのふれあい〉
人間とのふれあいは、ひとつは「ふれ愛すと」同士が10日間の共同生活の中で助け合い、話し合い、尊重し合い、強固な絆を築いたと考えている。
フィリピンの人々とのふれあいは、セミナー2日目に州都・バヨンボンでのホームステイから始まった。ホストファミリーは、バヨンボンの公務員の方々を中心とした比較的裕福なファミリーで、「ふれ愛すと」16名は、1〜3名のグループに分かれ、1泊2日でお世話になり、フィリピンの人々の生活を体験した。
また、セミナーの拠点となったキラン村では、オイスカの植林プロジェクトで働いているワーカーさんのお宅でホームビジットとして、夕食をご馳走になった。電気のない家もあったが、小さな家で家族が楽しそうに生活されている姿を目の当たりに、人間にとって幸せって何だろうと考えさせられた。それぞれ生活レベルに違いはあるものの大変温かい歓迎を受け、ホストファミリーとの「さよならパーティー」では、ふれ愛すとの頬に自然と涙が伝っていた。
そんな中でも、ふれ愛すとの心に一番残っているのは、ふれあいカンパで支援している「オイスカ子供の森計画」の小学校の訪問だったのではないだろうか。ふれあいカンパの支援金が的確に活用されているかどうかの視察も兼ねての訪問だったが、言葉は通じなくとも気持ちがあれば交流はできる。子供たちの純粋な瞳と無邪気な笑顔が印象的だった。
〈地球とのふれあい〉
さて、地球とのふれあいは、亜熱帯性気候のもとでの植林作業である。今年のセミナーは天候に恵まれ、昼間は大半が曇り空、気温も26〜31℃くらいであった。しかし、苗は毎夕のスコール(夕立)を含んで大変重く、ひとつの苗ポットが2キロほどあった。それを各人の体力に合わせ3〜12個を背負子に積んで、最大斜度30度くらいの山道を約1時間かけて、流れる汗を拭いながら植林地まで運んだ。ようやく辿り着いた植林地は、カラカラに乾いた大地。ふれ愛すとは、ツルハシで穴を掘り、一本一本大切に大きく育てとつぶやきながら植林作業を行った。
作業の手を休め、ふと周りを見渡すと、肉眼で見渡せる全ての山が「ハゲ山」であることに気づき、悲しさを覚える反面、植林への情熱がこみ上げてきた。今回は、ワーカーさんの力も借りながら、3日間の植林作業で約1,200本の苗を植林した。ふれ愛すとは苗の生長を願いつつ「人間と地球とのふれあい」を胸に、キラン村を後にした。 |