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 春季生活闘争
 2009春季生活闘争


○第3回中央交渉推進委員会にて
「電力総連2009春季生活闘争 進め方(その3)」を決定! (2009.4.8)
 電力総連は、4月8日(水)第3回中央交渉推進委員会を開催し、「電力総連 2009 春季生活闘争 進め方(その3)」を決定した。
 現在の妥結単組数は、88単組(平成21 年 4 月7 日現在)であり、今後の交渉においては、本指針を踏まえ、早期解決を念頭に取り組みを進めていただきたい。

<<進め方(その3)>>
 電力総連2009春季生活闘争は、第2回中央交渉推進委員会で確認した進め方(その2)のもと、4月7日現在において、219組合が要求書を提出し、先行した4部会全単組を含め88組合が解決に至っている。
  解決内容の概要は、賃金については、賃金カーブ維持分を確保した上で、ベースアップ獲得に至らなかった組合が多い状況となってはいるが、その中でもいくつかの組合では賃金改善として原資を獲得している。賞与・一時金については、前年比で増減額にバラツキがあるものの、傾向としては前年同額・同率基調で推移している。 
  ついては、全体情勢を含め厳しい経営環境下での交渉となっていることから、後続する加盟組合は、引き続き電力総連・構成総連と情報連携を蜜にし、下記の進め方により要求の実現に向けて、最後まで粘り強く交渉を展開する。 
T 具体的な取り組みについて
1 賃金改定
 電力総連の多くの加盟組合は、近年、賃金水準の低下が見られ、電力関連産業の安定供給という社会的責任を支える労働者の水準として、社会的な優位性を失いつつある。特に中小規模の加盟組合の賃金水準は社会水準を下回る実態にあり、人材確保・育成の観点と電力関連産業全体の持続的発展を踏まえれば、現下の情勢の中にあっても、賃金カーブ維持分の着実な確保と個別賃金水準の引き上げは必要不可欠であり、加盟組合の賃金実態に基づき、「人への投資」の重要性を粘り強く主張する。
 加えて、賃金カーブ維持分を確保できないということは、実質的な賃下げになることについて、経営側へしっかりと訴えていく。
  また、連合第12回中小労働委員会(中小共闘センター)において、妥結ミニマム基準を「定期昇給分の確保。算出が困難なところは4,500円以上」とし、加えて、「可能な限りベースアップ(賃金改善分)の獲得をめざす」としていることも踏まえ、交渉を強化する。
2 初任給の引き上げ
 電力関連産業が求める人材の確保や個別賃金引き上げの観点から、要求の趣旨に沿った引き上げができるよう、交渉を強化する。
  なお、労働需給の情勢や同業他社の動向等を考慮する必要性などから、今次交渉での解決が難しい場合は、継続協議としてその実現をめざす。
3 賞与・一時金
 加盟組合の要求の趣旨を踏まえながら、生活給的部分である「年間4.0ヵ月」を最低限確保することにこだわり、粘り強く交渉を展開する。
  その上で、組合員の経営諸施策への懸命な努力に報いるため、適正な成果配分の観点に立って、さらに上積みを図るべく交渉を強化する。
4 その他の要求項目
 その他の要求項目については、要求の趣旨に沿った前進が図れるよう交渉を強化する。
 ただし、今次交渉での実現が難しいと判断される要求項目については、交渉の追い込みを図りながら一定の整理に向けて見極めを行い、今後の具現化に向けた取り組みに繋げる。
U 日程について
1 解決時期
 加盟組合は、第3回中央交渉推進委員会で確認した「進め方(その3)」を踏まえ、構成総連と連携を図りながら自力・自決を基本原則として、できる限りの早期解決を念頭に置き、4月中の解決を目指す。 
  ただし、会社回答に納得し難い場合は、日程にこだわることなく、会社側の誠意ある回答を引き出すべく、さらに交渉を強化する。
  なお、業績判断等の事情により要求書の提出に至っていない組合は、構成総連と連携を図りながら、方針に沿った日程での解決に向けて、早期の要求書提出に努力する。
2 会議開催
 電力総連全体の交渉状況を見極めながら、交渉促進の対応が必要と判断される場合は、その後の進め方について構成総連・加盟組合の一体的取り組みを図るべく、中央交渉推進委員会の開催について考慮する。
○電力総連2009春季生活闘争
「検集部会」全8組合が妥結(2009.3.28)
 電力総連 2009 春季生活闘争における電力部会の交渉は、 2 月 23 日の一斉要求以降、各組合が粘り強く精力的な交渉を展開してきた結果、 3 月28日までに全ての組合が妥結に至った。 賃金・手数料および賞与・一時金の妥結内容は以下のとおり。

 

賃金・手数料改定額

賞 与・一時金
(年間総額)

妥結日時

北海道

パートナー社員

    573,392 円(フルタイム)

3/27

社 員

3,360円

1,098,000 円

東 北

全 職

0 円

  739,000 円

3/27

北 陸

全 職

0 円

898,600円(特定)

3/26

東 京

検 針

0 円

  771,000 円

3/19

集 金

0 円

1,408,800 円

中 部

検 針

0 円

  790,000 円

3/19

嘱 託

0 円

1,414,000 円

中 国

検 針

0 円

  851,900 円

3/28

特 号

0 円

1,018,700 円

四 国

検 針

0 円

  915,100 円

3/27

集 金

0 円

1,181,800 円

九 州

全 職

0 円

1,255,850 円

3/25





○電力総連2009春季生活闘争
「電工部会」全10組合が妥結(2009.3.28)
 電力総連 2009 春季生活闘争における電工部会の交渉は、 2月23日の一斉要求以降、各組合が粘り強く精力的な交渉を展開してきた結果、 3月28日、全ての組合が妥結に至った。 賃金・一時金の妥結内容は以下のとおり。

 

妥  結  結  果

妥結日

賃金改定(組合員平均方式)

一時金 (年間)

北海電工

0円

1,160,000円

3/28

ユアテック

0円

1,300,000円

3/27

関電工

0円

1,250,000円

3/27

北陸電工

0円

1,040,000円

3/27

トーエネック

0円

1,320,000円

3/27

シーテック

0円

1,270,000円

3/27

きんでん

0円

業績連動方式

3/27

中電工

0円

1,300,000円

3/27

四電工

賃金改善分 300円

業績連動方式

3/27

九電工

賃金改善分 500円

1,400,000円

3/27





○電力総連2009春季生活闘争
「電保部会」全10組合が妥結(2009.3.26)
 電力総連 2009春季生活闘争における電保部会の交渉は、 2 月 23 日の一斉要求以降、各組合が粘り強く精力的な交渉を展開してきた結果、 3 月26日、全ての組合が妥結に至った。 賃金・賞与の妥結内容は以下のとおり。

 

妥  結  結  果

妥結日

賃金改定(組合員平均方式)

賞与(夏季支給額)

北海道

0円

793,500円

3/26

東 北

0円

774,000円

3/26

関 東

100円

832,700円

3/26

中 部

0円

802,100円

3/26

北 陸

140円

707,000円

3/26

関 西

0円

810,000円

3/26

中 国

0円

747,100円

3/26

四 国

0円

772,000円

3/26

九 州

0円

780,000円

3/26

沖 縄

0円

613,200円

3/26





○電力総連2009春季生活闘争
「電力部会」全13組合が妥結 (2009.3.20)
 電力総連 2009 春季生活闘争における電力部会の交渉は、 2 月23 日の一斉要求以降、各組合が粘り強く精力的な交渉を展開してきた結果、 3 月19日から20日にかけて、全ての組合が妥結に至った。 賃金・賞与の妥結内容は以下のとおり。
 
妥  結  結  果
妥結日
ベースアップ
賞与(年間総額)
北海道電力
0円
1,653,000円
3/20
東北電力
1,653,000円
3/20
東京電力
1,610,000円
3/19
中部電力
1,738,000円
3/19
北陸電力
1,660,000円
3/20
関西電力
1,718,000円
3/19
中国電力
1,713,000円
3/19
四国電力
1,780,000円
3/19
九州電力
1,716,000円
3/19
沖縄電力
1,536,000円
3/19
日本原電
1,400,000円
3/20
電源開発
業績連動
3/19
日本原燃
1,168,000円
3/20




○電力総連2009春季生活闘争
「第2回中央交渉推進委員会」を開催 (2009.3.10)
 電力総連 2009春季生活闘争については、第1回中央交渉推進委員会で確認した進め方(その1)を踏まえ、加盟組合は2月23日に一斉要求を行い、構成総連と連携を図りながら精力的な交渉を展開しています。
 電力関連産業を取り巻く経営環境も先行き不透明感が増していることから、加盟組合の主張に対する経営側の姿勢は厳しく、難しい交渉となっています。
 電力関連産業で働く者の賃金水準は、ここ数年、社会水準の低下率よりさらに低下してきており、組合員は今次交渉に対し、大きな期待を寄せています。
 このような中、電力総連は、3/10(火)に第2回中央交渉推進委員会を開催し、今後の進め方について以下のとおりを確認し、交渉を進めていくこととしました。

<<進め方 その2(概要)>>
I 要求書提出について
 要求書提出に至っていない組合は、構成総連と連携を図り、「電力総連 2009春季生活闘争方針」を踏まえ、早期交渉を念頭に遅くとも3月末までに実施する。
II 具体的な取り組みについて
1 賃金引き上げ
 賃金改定については、物価上昇に見合う引き上げによって生活水準の維持を図り、内需拡大によるマクロ経済の回復をめざすとともに、職場組合員の貢献努力に報いるという視点と、中小組合においては、社会水準を下回る実態が一部にあることから、賃金カーブ維持分を確実に確保した上で、ベースアップの獲得に向け、交渉を強化する。
2 初任給の引き上げ
 電力関連産業が求める人材の確保や個別賃金引き上げの観点から、ベースアップに見合う引き上げができるよう、交渉を強化する。
3 賞与・一時金
 賞与・一時金については、各加盟組合の要求の趣旨を踏まえながら、生活給的部分である年間4 .0ヶ月を最低限確保することにこだわり、粘り強く交渉を展開する。
 その上で、組合員の経営諸施策への懸命な努力に報いるため、適正な成果の配分の観点に立って、さらに上積みを図るべく交渉を強化する。
4 時間外割増率の引き上げ
 時間外労働削減のためには、時間外割増率の引き上げが有効であり、過重労働による健康障害防止を図るという観点と、個々人の時間に対する価値の高まりも踏まえ、粘り強く交渉を展開する。
5 仕事と私生活の調和が図れる環境の整備
 ワーク・ライフ・バランスの実現にむけて、年間総実労働時間の短縮を図れる施策と、家族的責任が果たせる制度の整備・充実について、具体的成果が得られるよう、交渉を展開する。
6 将来にわたって安心できる労働条件の確保
 組合員とその家族も含めて、将来にわたって安心でき、働きがいや職場活力に繋げられる継続雇用、退職一時金および災害補償制度の整備・充実に向けて、具体的成果が得られるよう交渉を展開する。
7 パートタイム労働者等の待遇改善
 パートタイム労働者等については、組合員か否かを問わず、同じ職場に働く労働者として、その待遇改善について一歩でも前進が図れるよう取り組む。
8 社会的な課題への対応
 裁判員制度に関わる取り扱いについて、今年5月から裁判員法が施行されることから、要求の趣旨に沿った具体的な対応策が図れるよう交渉を進める。
III 交渉の進め方について
1 電力総連
 電力総連は、加盟組合、特に中小加盟組合の交渉が有利に展開できるように、交渉の主張点などの情報を発信するとともに、連合や部会などの春闘を巡る情勢について、引き続き適時に情報提供を行っていく。
 また、他産別や電力総連における交渉の状況、社会情勢などの動向を踏まえ、交渉責任者会議の論議を経て、加盟組合の交渉促進や波及効果が得られるよう対応を行う。
2 構成総連
 構成総連は、統一交渉ゾーンの設定、並びに交渉推進委員会を適宜開催するなどして、加盟組合の有利解決に向けて交渉促進を図っていく。
 また、交渉が難航している加盟組合に対しては、個別対応も含め支援を強化する。
3 加盟組合
 加盟組合は、構成総連と連携を図り、統一交渉ゾーンを活かしながら、要求の趣旨に沿った解決が図られるよう、精力的に交渉を展開する。
 なお、賃金および賞与・一時金について、他の動向を見極めなければ具体的な水準引き出しの交渉が難しいと判断される場合は、その前段として、賃金および賞与・一時金以外の要求項目の実現に向けて、経営側の理解・認識を深めるなどの交渉を展開する。
IV 日程について
1 解決時期
 3月中の解決を目指して最大限の努力を行う。これによりがたい場合は、遅くとも4月中の解決へ向けて鋭意交渉を強化する。
2 会議開催
(1) 第1回交渉責任者会議を3月31日(火)に開催する。
(2) 第3回中央交渉推進委員会を4月8日(水)に開催する。



電力総連2009春季生活闘争スタート (2009.2.23)
 電力総連 2009春季生活闘争は、 2 月23 日(月)、電力総連加盟の8割以上の組合が要求書を提出し、交渉がスタートした。 今後、精力的な交渉と早期かつ有利解決がはかれるよう、構成総連ごとに「統一交渉ゾーン」を設定し、電力総連が一体となって取り組むこととしている。
 同日、電力総連の南雲会長は、電気事業連合会に対し、雇用安定などに関する要望を表明した。
「南雲会長による電気事業連合会への要請内容」

 我が国の経済は、米国発の金融危機をきっかけに世界的な景気後退が深刻化する中で、日を追うごとに実体経済への影響が拡大し、外需産業では需要の減退と円高が収益を大幅に圧迫するなど厳しさを増すと共に、雇用情勢は派遣労働者をはじめとする非正規労働者を中心に急速に悪化しつつあり、正規労働者にもその影響が出始めています。
 このような情勢の中で、労働者の生活実態は、賃金や労働分配率の低下、改善されない長時間労働や社会保険料等の増加とも相俟って、先行き不安が増大し、雇用や暮らしを取り巻く環境はますます厳しいものとなっております。

 今日の経済危機を克服するためには、個人消費による内需拡大を進めることにより、マクロ経済の回復を行っていく必要がありますが、そのためにも今次春季生活闘争における労使の役割は、過去に例を見ない極めて重要なものとなっております。私たちは、社会的責任を持つ労働組合として、個人消費を喚起するためのベースアップによって、自立的な経済発展に転換する春季生活闘争方針を確立すると共に、賃金の格差是正や非正規労働者の雇用確保などの取り組みを行ってまいります。

 一方、電力関連産業を取り巻く環境は、販売電力量や受注工事量の減少により先行き不透明感が増しており、各企業は更なる経営効率化やコスト削減が求められております。そのような中、職場組合員は経営目標達成のため日夜懸命な努力を続けており、その努力に報いることが明日への活力に資するものと考えております。

  電力総連の加盟組合は、本日2月23日を統一要求日として、賃金引上げやパートタイム労働者等の非正規労働者の待遇改善などの要求書を一斉に提出いたします。貴連合会におかれましては、雇用の安定と拡大、そして労働条件の向上に資する最大限のご配慮をお願いいたします。
 また、構成総連大においては、グループ労使懇談会などを通じ、諸課題について議論していくこととしておりますので、合わせてご理解いただきますようお願いいたします。

以 上



「電力総連2009春季生活闘争方針」を決定(2009.2.17)
電力総連は、2月17日(火)に東京都内において、第1回中央委員会を開催し、電力総連2009春季生活闘争の方針を決定した。
これに基づき、各構成総連および各加盟組合は、「労働環境点検活動」などを踏まえ、電力総連統一要求日(2009年2月23日)に向け、要求準備を進めていくこととする。 また、同日、三役会議にて中央交渉推進委員会の設置を確認し、引き続き第1回中央交渉推進委員会において、「電力総連2009春季生活闘争 進め方(その1)を確認した。
2008年度第1回中央委員会
2008年度第1回中央委員会
議長を務める中国地方総連 白築中央委員
議長を務める中国地方総連 白築中央委員


平成21年2月17日
第1回中央委員会
電力総連2009春季生活闘争方針
I. 経済社会の情勢
1.日本経済の動向
 サブプライムローン問題に端を発した米国の金融危機は世界に波及し、株や証券価格を暴落させ、金融市場の信用収縮を引き起こした。こうした金融パニックは、実体経済にも影響を与えており、世界からの資金投下によって急速に発展を続けてきた中国やインドなどの新興国を含め、世界経済全体が大きく落ち込むことが危惧されている。
 日本は、米国の金融危機の影響が限定的といわれているものの、世界経済の減速等により外需は減少、内需も原材料価格の高止まりや、家計の所得改善の遅れから低迷し続けており、雇用情勢も厳しさを増しつつある。内需の中心である消費が長期的に低迷している中で、これまで成長を牽引してきた輸出と民間設備投資もマイナスに転じるなど、主な需要項目は総崩れとなっている。今後の先行きについても、世界的な景気後退から、日本においても実体経済への影響が出始めており、更なる深刻化が懸念され、08年度経済成長率の見通し(民間調査機関12社の平均)は、実質0.6%(名目▲0.2%)となっている。
 内閣府が発表した11月の月例経済報告では「景気は弱まっている。さらに、世界経済が一段と減速する中で、下押し圧力が急速に高まっている。」として、先行きについては、原油価格等の下落による一定の効果が期待されるものの、世界的な金融危機の深刻化や世界景気の一層の下振れ懸念、株式・為替市場の大幅な変動などから、雇用情勢などを含め、景気の状況がさらに厳しいものとなるリスクが存在することに留意する必要があるとしている。
 このため、政府は追加景気対策を決定したが、当面、金融市場の正常化に向けた対策を早急に講じるとともに、実体経済の力強い回復に向けた対策が必要である。特に、疲弊している地域経済対策や中小企業の貸し渋り・貸しはがし対策などが不可欠である。
2.労働者の生活実態
 賃金(国税庁:民間給与の実態)は、1997年度から10年間のうち9年間で減少しており、その結果、2007年度の水準は1997年度より6.4%も低下している。また、労働分配率も6年連続で低下しており、第一次石油危機(1973年〜74年)以降、最も低い水準にまで落ち込んでいる。これに加えて、消費者物価(前年同月比・総合)は、原油価格をはじめとする輸入物価の高騰から、2008年2月に1%を超え、9月は2.1%、10月は1.7%の上昇となっている。2008年度の消費者物価の見通しについては、激変する経済環境の中で不透明な状況となっているものの、原油や資源価格などが下落傾向にあることから、1%台半ばと想定される。
 また、失業率は、2007年7月には3.6%まで改善されたが、その後の景気後退とともに4%を超える状況となり、有効求人倍率も0.80倍(10月)にまで低下した。このような中で、景気後退を理由とした雇用調整の動きも出てきており、雇用情勢は今後、予断を許さない状況となっている。

 連合生活アンケート(2008年6月)によれば、生活への満足度は、前回調査(2006年)に比べ大幅に下落し、生活の厳しさの一端を表している。満足は、56.5%から45.2%へ下がり、逆に不満は42.0%から53.6%へ大幅に上昇した。

9月の消費者物価を項目区分でみた基礎的支出(生活必需品)は3.4%上昇し、購入頻度区分の年9回以上購入する品目は5.0%上昇した。
年収200万円以下(国税庁:民間給与の実態)の低所得者層は1,032万人(2007年)で5年前に比べ21%増加した。このうち女性が74%と、4分の3を占めている。
年収1,000万円超の層(同調査)も5年前に比べ7%増加。
非正規就業者の割合は35.5%(総務省:2007年就業構造基本調査)に達している。
また、厚生労働省の就業形態の多様化に関する総合実態調査(2007年)では、正社員以外の労働者の割合は37.8%となっている。
2009年春の高卒予定者の求人数は0.2%減(7月末時点)となったが、有効求人倍率は1.31倍と高水準にある。
最近の物価について、高くなっていると感じている人は95%に達し、税金や社会保険料がこの1年間で増えたと感じている人も70%にのぼる。(いずれも連合「2008生活アンケート<2008年6月>」の調査結果から)
3.長時間労働の実態
 長時間労働の現状は改善されず、週の労働時間が60時間以上となる労働者の割合は増加傾向にある。2007年の就業構造基本統計調査によれば、正規従業員で週60時間以上働く人の割合は、男女あわせ15.6%となっている。この水準は5年前に比べ1.5ポイント上昇した。また、男性の場合、各年齢層とも長時間労働の傾向が強くなっているが、中でも20歳台後半から40歳台前半までの層は、週60時間以上働く人の割合が2割を超えており、仕事と私生活の調和という観点からは厳しい現実がみてとれる。
 また、統計には現れない不払い残業も後を絶たないが、残業代を支払わなかったため、2007年度に労働基準監督署に是正指導を受けた企業は、過去最多の1,728社(前年度比49社増)となり、是正額も最多の272億4,261万円(同45億円増)にのぼっている。長時間労働が原因の過労死、過労自殺による労災認定も過去最多になっており、ワーク・ライフ・バランスの実現から程遠い現実となっている。
4.企業収益の動向
 企業収益も世界経済の減速、原材料価格や原油価格の高騰等を背景として、急激な収益悪化が生じている。9月中間決算によれば、多くの企業で減収減益の見通しを発表している。企業倒産件数も増加してきており、9月の倒産件数は前年同月比34%増の1,408件となった。製造業、卸売業、金融、保険業で今年最多を記録したほか、燃料高の影響が深刻な運輸業が前年同月比で倍増したほか、大型倒産が多発した不動産業も前年同月比3割増となった。地域経済もこれまで好調であった輸出型産業が集積している地域でさえ成長は鈍化しつつある。
 企業業績はバラツキがあるものの、これまでの景気回復下で5〜6年連続して好決算を続けてきた。財務省の法人企業統計によると、2007年度の全産業の経常利益は、5年続いた増益から1.6%の減益となったものの、製造業は6年連続で0.4%の増益となっている。このように企業は、足元の状況は激変しているが、景気回復下で蓄積してきた体力は十分にある。
5.国民不安を解消する景気対策の実施
 政府は、1.8兆円の2008年度補正予算をとりまとめ第170臨時国会で可決・成立させた。さらに、2兆円の定額給付を盛り込んだ27兆円規模の生活対策が決定された。今回の対策では一時しのぎにすぎず、国民生活の安心と安定にはつながらない。今、求められていることは、一刻も早く実物経済を重視した景気回復で、内外需バランスの取れた成長を達成し、雇用の安定と所得の増加で国民生活の不安を解消することである。
6.内需拡大のための企業責任
 企業は、これまでの好況下で得た収益を株主と内部留保へ配分してきた。こうして企業に集積した所得を、家計部門へ適切に配分していくことが不可欠である。労働者所得の増加による消費の拡大を通じて、内・外需バランスの取れた経済を構築することで、海外リスクへの対応力を強め、国民生活の安定を取り戻すことが必要である。
II.電力関連産業を取り巻く情勢
1.経営環境
 電力関連産業の経営環境は、原油価格の乱高下や原材料価格の高止まりにより、先行き不透明感が増している。
 このような状況下において各企業は、さらなる経営効率化やコスト削減が求められており、さらに電力各社はグループ経営の強化や収益力強化の観点から、経営資源の再配分やグループ企業の再編などを進めている。
 地球温暖化対策、エネルギーセキュリティおよび低廉な電気料金維持の観点から、原子力発電所の安全運転と安定稼動は極めて重要であり、関連産業が一体となって、社会からの信頼と安心を得られる業務遂行が求められている。
 電力自由化が進展する中で、これまでは経営効率化や経営基盤強化に向けて、新規採用の抑制などによる人員削減や労働条件の引き下げなどを行ってきたが、近年の団塊世代の大量退職の中で、技術・技能の維持・継承を図りながら、企業の将来にわたる健全な発展をめざすためには、新規採用の拡大や労働条件の向上により、職場活力の醸成と人材確保に努めていくことが必要となってきている。
2.職場の状況
 要員事情が厳しく、業務の高度化・多様化により質・量ともに業務負担が増している中、組合員は取り巻く状況を十分認識し、各種経営施策の達成による事業基盤の強化、法令遵守の企業経営への取り組みなど、関連産業が一体となって日夜懸命に取り組んでいる。
 企業グループや関連企業の枠組みで、仕事と人員の再配置を伴った役割分担の見直しや新規事業への対応などが行われており、組合員のやりがい・働きがいが低下することのないよう労働条件に対する不安を払拭していくことが求められている。
 夏季の電力ピーク対応や岩手・宮城内陸地震、さらには多発する雷害などの自然災害における早期復旧など、電力関連産業のインフラという社会資本の重要性を十分認識して、各企業がそれぞれの人と技術を結集し、一体となって安定供給に努めている。
 安全に関して、平成19年度の労働災害は協力会社も含め583件発生(前年比+31件)、その内死亡災害が18件(前年比▲1件)にものぼっている。さらに今年度に入っても、死亡災害が12月時点で20件(21名死亡)発生しており、極めて憂慮すべき事態にある。
 業務量と要員の不整合や過度な業績管理型の業務運営などにより、長時間労働を強いられる組合員が増加しており、メンタルヘルス不調者の増加など心身の健康への影響が懸念されることから、その是正に向けた取り組みが求められている。
III. 連合大の情勢
1.2009 春季生活闘争に臨む連合の基本的な考え方
1配分の歪みから所得格差の拡大、二極化が進展し、内需の中心となる個人消費は低迷したままとなっている。物価が大幅に上昇する中で実質賃金の低下を放置しておけば、さらに個人消費は落ち込み、日本経済は益々悪くなることは必至である。外需が落ち込みを見せている今、内需の拡大を促し、実質生活を確保するためにも、物価上昇を踏まえた取り組みを強化していく。
  同時に、これ以上の景気の悪化を防ぎ、企業倒産と失業を増やさないためにも、2009春季生活闘争を、景気の回復と生活防衛のための取り組みと位置づけ、連合の総力をあげて闘争を推進する。
2連合は、これまで取り組んできた格差社会からの脱却のための運動を継続・強化するとともに、分配の歪みの是正に向け社会的な分配のあり方に労働組合として積極的に関与していく。
3特に、非正規労働者や中小企業労働者の格差是正を伴う賃金の引き上げが不可欠であり、すべての労働者の処遇改善に向けて取り組みを強化していく。そのためにも、法定最低賃金につながる企業内最低賃金協定の締結拡大と水準の引き上げに向けた取り組みを強化する。
4賃金改善(賃金引き上げ)について企業に求めていく一方で、政府に対しても財政金融政策や税制度の見直し、雇用のセーフティネットの整備など、生活に直結し雇用を守る政策面の取り組みを従来以上に強めていく。
2.すべての組合が取り組むべき課題(ミニマム運動課題)
1賃金カーブ維持分を確保したうえで、消費者物価上昇に見合うベアに取り組む。
2パート労働者なども含めた全従業員を対象に、賃金をはじめとする待遇改善に取り組む。
3賃金の底上げをはかるため企業内最賃協定の締結と、その水準を引き上げる。
4長すぎる労働時間を是正するため総実労働時間の短縮をはかる。
5時間外・休日労働の割増率の引き上げに取り組む。
IV.電力総連としての基本方針
 電力総連2009春季生活闘争は、原油価格の乱高下や原材料価格の高止まりにより、経営環境は先行き不透明感が増しているものの、電力関連産業に働く者としての使命と誇りを持って、この産業を将来に亘って発展させていくために、その最大の担い手である働く者の懸命な努力に報い、明日への活力に繋げていく取り組みと位置付け、労働条件の維持向上をめざし、連合春季生活闘争の持つ社会的な役割と、電力総連としての統一的対応の重要性を認識し、次の基本方針により取り組む。
1賃金引き上げについては、電力総連としての統一的対応として、賃金カーブ維持分を確保したうえで、消費者物価の動向などを踏まえたベースアップの獲得に取り組み、マクロ経済の回復と内需拡大につながる労働者への成果配分を実現する。
  さらに、中小規模の加盟組合においては、社会水準(厚生労働省:賃金構造基本統計調査)を下回る実態が一部にあることから、中小加盟組合の底上げを重視し、交渉の支援強化を図る。
2賞与・一時金は年間賃金の一部であり、安定的な生活給的部分として年間4ヵ月を確保する。
3長時間労働の是正と時間に対する価値の高まりに対して、時間外・休日労働の割増率の引上げに取り組むとともに所定外労働時間の削減に取り組む。
4年間総実労働時間の短縮をはじめとした「仕事と私生活との調和」が図れる働き方への改革に取り組む。
5電力関連産業に働く者全体の底上げを図るため、パートタイム労働者等の待遇改善に向けた取り組みを行う。
【すべての加盟組合が取り組む課題】
基本方針を踏まえて、次の課題について電力総連全体で取り組む。
1賃金カーブ維持分を確保した上で、ベースアップに取り組む
2賞与・一時金の年間4ヵ月確保
3時間外割増率の引き上げを含む年間総実労働時間の削減
4パートタイム労働者等の非正規労働者の待遇改善
V.具体的取り組み
1.雇用安定の取り組み
 電力関連産業を取り巻く情勢は厳しさが継続し、各企業の経営基盤強化を目的とした経営効率化は依然として重要な課題となっており、人に依存した効率化施策への不安は払拭できていない。しかし、他方では団塊世代の退職や少子化の影響による採用計画の未達成など、人材不足が課題となる業種もあり、電力関連産業を支える総合的な人材と今後の技術・技能の継承にさまざまな課題が存在している。こうした背景の中でグループや関係企業間における業務と人材の再配置などの新たな労働環境の変化も散見されている。
 こうした環境を踏まえ、電力総連、構成総連及び部会は、対応する経営側に雇用安定に関する申し入れを行うこととし、各組合は組合員の不安や想定される状況に対応するため、労使協議会等における協議と情報共有や、労働協約における労働者の権利の確保などについて、以下のとおり取り組む。
 また、電力関連産業で働く者の雇用安定、安全・健康の確保、仕事と私生活の調和が図れる環境の整備などの視点に立って、グループや関連企業の枠組みによる労使懇談会の設置・充実に取り組む。
雇用安定に関する申入れ。
人事条項クリア水準を最低限確保した労働協約の整備・充実。
電力総連「労使交渉・協議に関する指針」を基本とした労使協議会の充実。
(最低四半期1回以上、定期開催のルール化)
グループや関連企業の枠組みによる労使懇談会の設置・充実
2.賃金引き上げの取り組み
 08春季生活闘争の成果を踏まえ、すべての加盟組合は事前準備として、賃金実態把握を確実に行い、賃金カーブ維持分を確保し、ベースアップ獲得に取り組む。
 特に、中小加盟組合においては、社会水準を下回る実態が一部にあることから、賃金カーブ維持分は社会水準である目安額・率を要求する。また、電力総連・構成総連は連携して、中小加盟組合の交渉強化のため最大限の支援を行う。
(1) 賃金実態の把握
 交渉の事前準備として、すべての加盟組合は自社の賃金実態を把握することとし、賃金の分布状況、賃金カーブの歪みなどの課題把握を行う。また、過去の賃金カーブと比較してどのように変化しているかの確認も行う。
(2) 賃金カーブ維持分の確保
 賃金水準が低下した主な要因は賃金カーブ維持分が確保できなかったことであり、職場内秩序を維持するためにもその確保や回復を第一義として取り組む。
 賃金制度(昇給ルールが制度化されている)を確立している加盟組合はその賃金表を維持する。
 賃金制度(昇給ルールが制度化されている)が確立していない加盟組合は、賃金カーブ維持分を算出し、その算出額を要求する。ただし、算出額が以下の目安額を下回る加盟組合は目安額を要求する。
 賃金カーブ維持分の算出が困難な加盟組合は、賃金カーブ維持分として目安額もしくは目安率を要求する。

【賃金カーブ維持分の社会水準:目安額「4,500円」:目安率「所定内賃金の2%」】
※目安額「4,500円」
  連合中小共闘における実態賃金カーブ維持分の相当額。2008年に調査した地域ミニマム年齢別賃金(全産業・男女計)中位数の18歳から45歳の1歳1年間差平均額。
※目安率「2%」
  厚生労働省の賃金構造基本統計調査結果から算出する中小組合の1歳1年間差平均額。
 雇用安定を優先して、定期昇給相当分の凍結や削減などを行わざるを得なかった加盟組合は、それを回復する。
 電力総連は業種別部会毎の賃金カーブ維持分の一部として定期昇給相当分の情報開示を加盟組合の要求策定前に行い、電力総連内の相場形成に努める。なお、その他の加盟組合においても、構成総連内に対して情報開示に努める。
(3) ベースアップの獲得
 ベースアップの水準設定にあたっては、「消費者物価の動向」と「社会水準をめざした賃金水準低下の回復」を重視しながら、「経済情勢」「生産性向上への貢献努力」「マクロ経済回復に向けた内需拡大」「経営環境」「他産別の動向」を踏まえ、次の要求基準により取り組む。
【個別賃金引上げ方式の要求基準】
 高卒30歳・勤続12年の者 4,000円以上」を基本とする。
 高卒35歳・勤続17年の者 4,500円以上」を基本とする。
【平均賃金引上げ方式の要求基準】
 平均賃金引上げ方式 4,500円以上」を基本とする。
(4) 個別賃金水準の引き上げ
 自社の賃金実態を踏まえ、次により個別賃金水準の引上げに取り組む。
 個別賃金水準が「電力総連ミニマム水準」を下回る加盟組合は、最低限必要な生計費を確保する観点から、個別賃金水準の引上げに取り組む。

  【電力総連ミニマム水準】
年齢 18歳 20歳 25歳 30歳 35歳 40歳
扶養 単身 単身 単身 配偶者+
子1
配偶者+
子2
配偶者+
子2
水準
(円)
153,800 162,300 183,600 219,500 277,500 310,700
 個別賃金水準が「電力総連ミニマム水準」を確保している加盟組合は、社会水準を踏まえた個別賃金水準を確保するため、目標水準Tおよび目標水準Uの確保を目指す。
  【目標水準】
  目標水準I 目標水準II
高卒30歳・勤続12年 260,000円 289,000円
高卒35歳・勤続17年 303,000円 347,000円

*電力総連賃金実態調査ならびに厚生労働省賃金構造基本統計調査の過去5年平均額を勘案し算出。目標水準Tは中位、目標水準Uは第3四分位。

賃金カーブ維持分
年齢・勤続・習熟などによる基本賃金の増額である「定期昇給相当分」をはじめ、昇進・昇格による増額や世帯条件などの変化による増額などの「適格・臨時昇給」を含むものであり、賃金制度がない組合では「1歳1年間差」と同義。つまり定期昇給相当分は賃金カーブ維持分の一部である。

(5) 配分交渉の充実
 生活の安定を確保し、公平公正でやり甲斐・働きがいにつながる配分を目指し、要求策定段階から配分交渉を重視した取り組みを行う。
(6) 賃金制度の確立
 賃金制度・体系が確立されていない加盟組合は、賃金実態を把握し、自社の課題を明らかにした上で、労使による検討・協議の場を設置し、賃金制度・体系の確立に向け取り組む。特に、安定的な賃金水準を確保する観点から、定期昇給のルール化を図っていく。
(7) 最低賃金の取り組み
パートタイム労働者等も含めた電力関連産業に働くすべての労働者の企業内最低賃金として、以下の要求水準を踏まえて、組合ごとの最低賃金協定を締結する。
【最低賃金締結基準:時間額「890円以上」】
*電力総連ミニマム水準18歳相当額(153,800円)÷法定労働時間(174時間)
電力関連産業に働く労働者の最低賃金として、以下の要求水準を踏まえて、組合ごとの最低賃金協定を締結する。
【最低賃金要求基準:電力総連ミニマム水準の18歳相当額として月額「153,800円以上」】
(8) 初任給の引き上げ
 技術・技能の継承を図るうえで安定的な新規採用が必要であり、電力関連産業が求める人材の確保、個別賃金水準の引き上げの観点から、ベースアップに見合う初任給の改定要求を行うこととし、平成20年度初任給に対して2,500円以上」の引き上げに取り組む。
 なお、電力総連ミニマム水準18歳相当額を下回っている加盟組合はその確保に向けて取り組む。
3.時間外割増率の引き上げを含む年間総実労働時間の削減
 08春季生活闘争時の時間外割増率引き上げ交渉において、所定外労働時間の削減について対策の検討を行うとした組合は、取り組み状況の確認や促進交渉などに取り組む。
 08春季生活闘争で、長過ぎる労働時間の抑制効果や個々人の時間に対する価値の高まりなどを背景として取り組みを行い、法定割増率となっていた一部の組合に成果が見られたことなどを踏まえ、法定割増率を上回る取り組み、または、昨年の目標値をめざす取り組みを行う。
【1ヶ月45時間以下30%、1ヶ月45時間超過50%、休日50%】

 なお、平成22年4月施行予定の労働基準法改正への対応については、改正内容の詳細や連合大での方針が明らかになった時点で、電力総連としての考え方を示すこととする。

4.賞与・一時金の取り組み
 賞与・一時金については、生活給的部分を最低限確保することとして、次により要求を行う。
(1)要求水準
  「年間4ヵ月を最低水準」とし、過去の妥結実績、企業業績、生産性向上や職場実態などを勘案して上積みを図った要求を行う。
(2)冬季分の扱い
 冬季分については、賃金引き上げ後のベースを使用し、夏季分に準じた扱いとする。
(3)支給日
 夏季分は6月上旬、冬季分は12月上旬とする。
5.仕事と私生活の調和が図れる環境の整備
(1) 年間総実労働時間の短縮
 労働者の心身の健康はもとより、ワーク・ライフ・バランスの実現に向けても、長時間労働を解消し、メリハリをつけた働き方ができる環境づくりが必要である。各加盟組合は、電力総連時短指針を踏まえ、年間総実労働時間1800時間達成をめざし、企業の対応を求めるとともに、労使一体となった取り組みを行うこととする。
1労働時間に関する労使協議の充実
 年間を通した労働時間に関する取り組みのフォローや、改善すべき事項について、労使の協議や話し合いを行い、協定化(議事録、覚書、確認メモを含む)を図るとともに、長時間労働解消に向けた労使行動計画の策定などに努めることとする。なお、すべての加盟組合は、所定外労働時間や年次有給休暇取得率など、個人別の労働時間実績についてデータの開示を求め、半期ごとに労使確認を行うこととする。
2年間所定労働時間短縮の取り組み
 年間の所定労働時間が2000時間を超えている加盟組合は、休日日数を増やすなど、年間所定内労働時間短縮の要求を行う。
3所定外労働時間の削減等の取り組み
 36協定の特別条項について、長時間労働防止や労働者の健康障害防止の観点に立った締結を行う。その上で、36協定遵守のための時間外労働の基本ルールについて労使確認を行い、同時に職場内の周知徹底を図る。
 すべての組合員の休日労働時間を含む時間外労働を、1ヵ月45時間以下に抑えることを基本とし、少なくとも過労死につながるとされる1ヵ月100時間、ならびに2ヶ月連続80時間を超える過重労働につながらない業務運営を求める。
 過重労働に係わる医師の面談指導については、月間80時間を超過した者全員に実施することを基本に、月45時間超過者で健康への配慮が必要な者についても、その対象とすることを求める。
  月80時間超 月45時間超過者で、健康への配慮が必要な者
法定上の対象者 月100時間超で疲労の蓄積あり
(申出あり)
月80時間超100時間以下で、疲労の蓄積または健康上の不安あり
(申出あり)
月100時間超の者または2ヶ月〜6ヶ月の平均が月80時間を超える者
(申出なし)
法定上求められる対応 面接指導を確実に実施
(義務)
面接指導等の実施に努める
(努力義務)
対象者に含めることが望ましい
電力総連の要求 医師による面談指導を求める
4 年次有給休暇の取得向上の取り組み
 労働者の心身の健康を確保する観点から、年次有給休暇の取得目標を、電力総連時短指針の「年間10日以上」とし、特に、取得日数が5日未満の組合員をなくすことをめざし、計画取得や連続取得など、実態に応じた制度や対策を求める。
 年次有給休暇の完全取得が概ねできている組合は、入社年度付与日数の増加や、年間20日付与となるまでの勤続年数の短縮を図る。
(2) 次世代育成支援対策
 平成17年から従業員301名以上の企業に義務付けられている一般事業主行動計画は、次世代育成支援対策推進法が失効する平成27年度末までは、1つの計画期間が終わっても、また次の行動計画を策定し届出をする必要がある。そのため、実施状況のフォローを行うとともに、次の行動計画策定に向けた取り組みを行う。
 300名以下の企業でも、同様の努力義務が課せられていることから、法の趣旨に沿って、都道府県労働局へ行動計画を提出するよう求めていく。
(3) 家族的責任が果たせる制度の整備・充実
 出産、子育てや介助・介護をはじめ、単身赴任者支援など、家庭内や地域社会での家族的責任を果たすための制度について、整備・充実を図るとともに、制度利用の促進に向けて、労使の協議や話し合いを行い、制度取得を阻害する要因の解消に取り組む。特に介護に関する制度については、制度利用者の増加がみられることから、職場ニーズを把握し、充実に向けた取り組みを行う。
 併せて、休業者の職場復帰後の支援方策、欠員時の職場対応ルールの確立に向けて取り組む。
6.将来にわたって安心できる労働条件の確保
(1) 定年退職者継続雇用制度の整備・充実の取り組み    
 改正高齢者雇用安定法への対応を徹底し、希望者全員が65歳までの就労が可能となる制度の実現に向け、制度の点検・整備を行い、制度利用者の働きがいにつながるとともに、職場全体の活力向上となる制度構築に取り組む。
 (注) 62歳までの対応をした300名以上の企業は、22年までに65歳までの制度構築が必要とし、300名未満の企業は、25年4月までに65歳までの制度構築が必要とされている。
(2) 退職一時金制度の確立・整備の取り組み
 退職一時金制度が確立されていない加盟組合は、中小企業退職共済制度などを活用して、退職一時金制度の確立をめざした取り組みを進める。
 また、制度が確立されている加盟組合は、電力総連のクリア水準である1,550万円以上の確保をめざす。
(3)災害補償制度の充実の取り組み
 電力関連産業の社会的使命を果たす重責において、犠牲となった組合員の業務上災害補償制度は、人命という何ものにも変えがたい価値への補償という労使共通の理念をもって、すべての加盟組合で電力総連のクリア水準3,500万円以上(業務上死亡・有扶者)の補償額をめざす。
7.パートタイム労働者等の待遇改善の取り組み
 働き方の二極化が社会的な課題となっている中、パートタイム労働者等の待遇改善は、電力関連産業で働く者全体の底上げをはかるものと位置付け、「電力総連 パートタイム労働者等の均衡待遇にむけた取り組み指針」に基づき、同じ労働者の視点から、パートタイム労働者等の労働条件全般に亘る待遇改善の取り組みを進める。
 各企業が雇用しているパートタイム労働者等の労働条件等について、実態把握を行ったうえで、労使の共通認識を図り、今後の労働条件向上と組織化に向けた取り組みにつなげる。
 正社員と同視すべきパートタイム労働者等の正社員化または正社員化に向けたルール作りを行う。
正社員と同視すべきパートタイム労働者 = 業務内容および責任、人材活用の仕組みや運用が正社員と同じで、正社員と同じ所定労働時間で働き、契約期間が無期または反復更新の者。
 正社員とは異なる働き方をしているパートタイム労働者等についても、業務内容や労働時間等を勘案し、時給の引き上げ、休日・休暇の整備、その他福利厚生制度などについて正社員との均衡待遇に向けた取り組みを行う。
 時給引き上げについては、最低賃金要求基準の890円をめざし、今年度の地域別最低賃金引き上げ額などを踏まえた要求または要請を行い、最低賃金協定の締結に向けた取り組みを行う。なお、890円を超えている場合においても、同様の考え方に基づいた取り組みを行う。
8.社会的な課題への対応
(1) 裁判員制度に関わる取扱いの対応
 裁判員法により出廷等を求められた場合の取扱いについて、引き続き有給扱いを求めるとともに、その他の取り扱いに関する労働協約の締結に取り組む。なお、公民権行使に関して労働協約を締結している組合についても、裁判員法の適用について、労使確認を行う。
 (注)裁判員法は、平成21年5月から施行される。
(2) 政策制度要求への取り組み
 連合の政策制度要求について、労働者の安心・安定した生活の確保、公正な社会の実現をめざして、連合の中核産別としての責任と役割を果たすため、その実現にむけて積極的に参画していく。
9.中小加盟組合の交渉推進強化の取り組み
 電力総連内の中小加盟組合の賃金水準や労働条件の底上げを図るため、電力総連・構成総連は、各加盟組合の要求案策定の段階から、次について取り組む。
 構成総連は、すべての加盟組合が賃金の実態把握を行っているか確認し、その賃金実態と労働環境や経営環境を踏まえて、社会水準や同業種・同規模の組合との賃金水準を参考に、要求策定に向けた支援を強化する。
 賃金制度がない加盟組合は、賃金カーブ維持分確保の取り組みとして、昇給ルールのある賃金制度の確立に向け取り組むこととし、構成総連はその支援を行う。
 中小加盟組合の労働環境は、総じて所定内労働時間や総実労働時間が長く、有給休暇取得率も低位となっていることが散見される。こうした環境の改善として、適正な労働時間管理と要員計画を踏まえた労使協議会の充実についても支援を行う。
 電力総連は、構成総連の取り組みに必要な支援・調整を行う。
Y.進め方
 2009春季生活闘争を進めるにあたっては、連合2009春季生活闘争の進め方を踏まえた上で、電力総連・構成総連・部会・加盟組合の連携を十分に図りながら電力総連の総力を結集して取り組むこととする。
 また、連合の各種共闘と連携を図りながら、有利解決に向けて取り組む。
1.要求書の提出
 雇用安定に関する申し入れおよび要求書の提出については、平成21年2月23日を統一要求日として、一斉に実施する。ただし、事情により一斉要求への対応が難しい組合は、遅くとも3月末までに要求する。
2.交渉推進体制
(1) 交渉体制
 電力総連は、中央交渉推進委員会を設置し、構成総連・加盟組合の交渉推進に向けて積極的に支援・調整を行う。
 構成総連および部会は、交渉推進委員会を設置して各々の責任体制を確立し、加盟組合の早期かつ有利な解決に向けて積極的に支援・調整を行う。
 加盟組合は、構成総連や部会と連携を図り、自立・自決を基本に精力的に交渉を展開する。
(2) 交渉の促進
 中央交渉推進委員会は、交渉状況を踏まえ加盟組合の交渉を有利に展開するため、「闘争の進め方」を発信する。また、連合中小共闘が発信する方針について、電力総連内の実態も踏まえたうえで、中小加盟組合の賃金引き上げ交渉が有利に進められるよう、電力総連としての方針を発信する。
 構成総連は、加盟組合の交渉推進を図るため、統一交渉ゾーンを設け、構成総連と加盟組合が一体となった交渉を展開する。特に、中小組合の交渉推進に向けて支援を強化する。
 春季生活闘争に係わる情報は、交渉を促進するため適宜発信していく。
3.解決時期
 交渉のヤマ場は、連合の解決促進ゾーンを踏まえ、3月中旬を基本に遅くとも4月末までの解決を目指す。
以 上



平成21年2月17日
第1回中央交渉推進委員会
電力総連2009春季生活闘争 進め方(その1)
 日本経済は、米国発の金融危機をきっかけに世界的な景気後退が深刻化する中で、実体経済への影響も大きく、内外需ともに厳しい状況が続いており、特に外需産業では、需要の減退と円高が収益を大幅に圧迫するなど、極めて厳しいものとなっている。
 このような情勢の中、電力関連産業を取り巻く環境は、日本経済の低迷により先行き不透明感が増しているものの、電力総連は、連合の方針である「物価上昇に見合うベアによって、マクロ経済の回復と内需拡大につながる労働側への成果配分の実現をめざす」ことなどを受け、中核産別としての役割と責任を全うすべく、「電力総連2009春季生活闘争方針」に基づき、構成総連、部会及び加盟組合の連携を強化し、次により交渉を推進していくこととする。
1.事前準備
 構成総連、部会及び加盟組合は、電力総連2009春季生活闘争方針に基づき、雇用安定に関する申し入れ及び要求書の提出ならびに本格的交渉に向けた事前準備の万全を図る。           
 また、早期かつ有利な解決を目指して精力的な交渉が展開できるよう交渉体制の確立を行う。
2.要求書提出・雇用安定に関する申し入れ
 要求書の提出・雇用安定に関する申し入れについては、平成21年2月23日(月)に一斉実施する。
 ただし、事情により一斉要求への対応が難しい加盟組合は、早期交渉を念頭に遅くとも3月末までに実施する。
3.スト権の確立
 労働関係調整法第37条第1項の規定に基づく公益事業に関する争議行為の予告については、3月2日(月)に電力部会及び検集部会の構成組合分を一括して電力総連が行い、3月13日(金)以降スト権を確立する。
4.交渉推進
(1) 電力総連内の連携や情報共有化ならびに交渉推進の強化を図るため、交渉推進体制を【別紙1】のとおり確立し、加盟組合の交渉を支援していく。
(2) 電力総連は、中小加盟組合の交渉が有利に進められるよう、交渉の主張点などの情報を発信していく。
(3) 加盟組合は、構成総連が設定する統一交渉ゾーンを念頭に交渉日程を組み立て、有利解決に向けて交渉の促進を図っていく。
5.当面の日程
 第2回中央交渉推進委員会を3月10日(火)に開催することとし、それ以降の日程については、加盟組合の交渉状況、連合や他産別の動向などを総合勘案して決定する。
6.その他
(1) 春季生活闘争に関する情報については、適宜適切に「2009春季生活闘争情報」より発信する。
(2) 連合のインフラ・公益共闘連絡会議や中小共闘・パート共闘等との連携を図り、連合の中核産別としての役割を踏まえ、加盟組合の底上げに資する取り組みを進める。
以 上


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