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○第3回中央交渉推進委員会にて
「電力総連2010春季生活闘争 進め方(その3)」を決定! (2010.4.8)
電力総連は、4月8日(木)第3回中央交渉推進委員会を開催し、「電力総連2010春季生活闘争 進め方(その3)」を決定した。
今後の交渉においては、本指針を踏まえ、早期解決を念頭に取り組みを進めていただきたい。
<<進め方(その3)>>
電力総連2010春季生活闘争は、第2回中央交渉推進委員会で確認した進め方(その2)のもと、4月6日現在において、211組合が要求書を提出し、先行した4部会全単組を含め91組合が粘り強い交渉を展開し、解決に至っている。
解決内容は、賃金については賃金カーブ維持分を確保した上で、企業の発展に向けて労使の共通認識を醸成し、賃金改定原資を獲得している加盟組合がある。賞与・一時金については、厳しい経営状況が続く中で、対前年比で増減額にバラツキがあるものの、概ね増額基調で推移している。
ついては、今次春季生活闘争方針である「賃金を含む労働条件の底上げ」に向け、後続する加盟組合は、引き続き電力総連・構成総連と情報連携を密にし、下記の進め方により要求の実現に向けて、最後まで粘り強く交渉を展開する。
T 具体的な取り組みについて
1 賃金引上げについて
電力総連の賃金実態は、中小の加盟組合を中心に、個別賃金水準が低下傾向にあり、定期昇給分を含んだ引上げ額においても社会水準を下回る状況にある。
今次春季生活闘争における要求は、これ以上賃金を低下させないために、賃金カーブ維持分の確保を最重点課題とし、経営側へは賃金カーブ維持分を確保できないということは、実質的な賃下げになることについてしっかりと訴え、最後まで徹底的にこだわった交渉を展開する。
さらに、加盟組合の実態に応じた賃金改定は、企業活動の源泉である「人」への投資を行うことで、人材確保と技能・技術の継承、生産性の向上を図り、企業の持続的な発展につなげていくとの思いを込めた要求であり、最後までこだわった交渉を展開する。
また、連合第5回中小労働委員会(中小共闘センター)において、妥結ミニマム基準として「賃金カーブ維持相当分の確保。算定が困難なところは4,500円以上」とし、 加えて「賃金改善分の獲得をめざす」としていることも踏まえ交渉を強化する。
2 賞与・一時金について
加盟組合の要求の趣旨を踏まえながら、生活給部分である年間4.0ヵ月を最低限確保することにこだわった交渉を展開する。
その上で、組合員の経営諸施策への懸命な努力に報いるため、適正な成果配分の観点に立って、さらに上積みを図るべく交渉を強化する。
3 時間外割増率の引上げについて
改正労働基準法(時間外割増率の引上げ等)への対応について、方針に則り「1ヵ月60時間超過50%割増」について企業規模にかかわらず、すべての職場に適用させるよう、ねばり強く交渉を展開する。
4 その他の要求項目について
その他の要求項目については、要求の趣旨に沿った前進が一歩でも図れるよう交渉を強化する。
ただし、今次交渉での実現が難しいと判断される要求項目については、交渉の追い込みを図りながら一定の整理に向けて見極めを行い、今後の具現化に向けた取り組みに繋げる。
U 日程について
1 解決時期
加盟組合は、前述の具体的な取り組みを踏まえ、構成総連と連携を図りながら、自力・自決を基本として、できる限りの早期解決を念頭に置き、4月中の解決をめざす。
なお、業績判断等の事情により要求書の提出に至っていない組合は、構成総連と連携を図りながら、方針に沿った日程での解決に向けて、早期の要求書提出に努力する。
2 会議開催
電力総連全体の交渉状況を見極めながら、交渉促進の対応が必要と判断される場合は、その後の進め方について構成総連・加盟組合の一体的取り組みを図るべく、中央交渉推進委員会を開催する。
〜「検集部会」全8組合が妥結(2010.3.30)〜 |
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電力総連 2010 春季生活闘争における検集部会の交渉は、 2月22日の一斉要求以降、各組合が粘り強く精力的な交渉を展開してきた結果、 3 月30日までに全ての組合が妥結に至った。 賃金・手数料および賞与・一時金の妥結内容は以下のとおり。
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職種 |
賃金・手数料改定額 |
賞 与・一時金
(年間総額) |
妥結日時 |
北海道 |
パートナー社員 |
0円 |
564,720円 |
3/30 |
社員 |
3,380円 (定昇相当) |
1,126,000円 |
東北 |
全職 |
0円 |
737,300円 |
3/27 |
北陸 |
検針 |
0円 |
563,500円 |
3/26 |
集金 |
0円 |
1,006,400円 |
東京 |
検針 |
1,040円 (定昇相当) |
803,000円 |
3/18 |
集金 |
480円 (定昇相当) |
1,467,600円 |
中部 |
検針 |
0円 |
794,000円 |
3/18 |
集金 |
0円 |
1,417,600円 |
中国 |
検針 |
0円 |
849,800円 |
3/26 |
集金 |
0円 |
1,014,000円 |
四国 |
検針 |
−2,369円 |
872,500円 |
3/26 |
集金 |
−2,569円 |
1,125,200円 |
九州 |
全職 |
0円 |
1,279,750円 |
3/25 |
〜「電保部会」全10組合が妥結(2010.3.25)〜 |
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電力総連 2010春季生活闘争における電保部会の交渉は、 2月22 日の一斉要求以降、各組合が粘り強く精力的な交渉を展開してきた結果、 3月25日、全ての組合が妥結に至った。 賃金・賞与の妥結内容は以下のとおり。
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妥結結果 |
妥結日 |
賃金改定(組合員平均方式) |
賞与(夏季支給額) |
北海道 |
0円 |
785,400円 |
3/25 |
東北 |
0円 |
774,000円 |
3/25 |
関東 |
0円 |
800,700円 |
3/25 |
中部 |
140円 |
805,200円 |
3/25 |
北陸 |
238円 |
704,700円 |
3/25 |
関西 |
0円 |
781,000円 |
3/25 |
中国 |
0円 |
722,600円 |
3/25 |
四国 |
0円 |
768,500円 |
3/25 |
九州 |
0円 |
785,000円 |
3/25 |
沖縄 |
0円 |
549,132円 |
3/25 |
〜「電工部会」全10組合が妥結(2010.3.25)〜 |
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電力総連 2010 春季生活闘争における電工部会の交渉は、 2 月 22 日の一斉要求以降、各組合が粘り強く精力的な交渉を展開してきた結果、 3 月25日、全ての組合が妥結に至った。 賃金・一時金の妥結内容は以下のとおり。
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妥結結果 |
妥結日 |
賃金改定(組合員平均方式) |
一時金 (年間) |
北海電工 |
0円 |
1,180,000円 |
3/25 |
ユアテック |
― |
1,212,000円 |
3/25 |
関電工 |
0円 |
1,270,000円 |
3/25 |
北陸電工 |
0円 |
業績連動方式 |
3/25 |
トーエネック |
0円 |
1,320,000円 |
3/25 |
シーテック |
0円 |
1,270,000円 |
3/25 |
きんでん |
0円 |
業績連動方式 |
3/25 |
中電工 |
0円 |
1,230,000円 |
3/25 |
四電工 |
0円 |
業績連動方式 |
3/25 |
九電工 |
賃金改善分 700円 |
1,300,000円 |
3/25 |
〜「電力部会」全13組合が妥結(2010.3.19)〜 |
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電力総連2010春季生活闘争における電力部会の交渉は、2月22日の一斉要求以降、各組合が粘り強く精力的な交渉を展開してきた結果、3月18日から19日にかけて、全ての組合が妥結に至った。賞与の妥結内容は以下のとおり。
(単位:円)
単 組 名 |
賞与(年間総額) |
妥結日 |
北海道電労 |
1,685,000 |
3月18日 |
東北電労 |
1,680,000 |
3月18日 |
東京電労 |
1,680,000 |
3月18日 |
中部電労 |
1,750,000 |
3月19日 |
北陸電労 |
1,700,000 |
3月19日 |
関西電労 |
1,725,000 |
3月18日 |
中国電労 |
1,720,000 |
3月18日 |
四国電労 |
1,760,000 |
3月18日 |
九州電労 |
1,723,000 |
3月18日 |
沖縄電労 |
1,543,000 |
3月18日 |
日本原子力発電労組 |
1,424,000 |
3月18日 |
電源開発労組 |
H20〜H22の3年間、年間4ヶ月をベースとして、業績連動型賞与により支給月数を決定 |
日本原燃労組 |
1,163,000 |
3月18日 |

○ 電力総連2010春季生活闘争 進め方(その2)を確認! |
〜第2回中央交渉推進委員会を開催(2010.3.9)〜 |
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電力総連2010春季生活闘争は、第1回中央交渉推進委員会で確認した進め方(その1)を踏まえ、加盟組合は2月22日に一斉要求を行い、構成総連と連携を図りながら精力的な交渉を展開している。
全体情勢については、雇用情勢が依然として厳しい状況にあるものの、企業収益は回復傾向にあり、上場企業の2010年3月期の経常利益は前期比で増益を確保する見通しである。しかしながら、経営側は国際競争力維持の観点から、賃金よりも雇用の維持が重要であり、賃金カーブ維持についても慎重に判断すべきとして、総額人件費抑制の姿勢を強めている。
電力関連産業においては、販売電力量の落ち込みによる売上高の減少や低炭素社会への対応も含め、先行き不透明感が増していることから、加盟組合の主張に対する経営側の姿勢は慎重であり、難しい交渉となっている。
このような情勢下での今次春闘は、賃金の低下傾向に歯止めをかける観点から、すべての組合で賃金カーブ維持分の確保に徹底的にこだわり、その上で、加盟組合の実態に応じて賃金の底上げをめざした賃金改定に取り組むこととしており、組合員の期待は大きい。
以上の認識に立って、連合の闘い方を踏まえながら、下記の考え方により今後の交渉を進めていく。
<<進め方(その2)>>
I 要求書提出について
要求書提出に至っていない組合は、構成総連と連携を図り、「電力総連2010春季生活闘争方針」を踏まえ、早期交渉を念頭に遅くとも3月末までに実施する。
II 具体的な取り組みについて
1 賃金引き上げ
賃金については、低下傾向に歯止めをかけるため、すべての組合において賃金カーブ維持分を確実に確保することとする。さらに、賃金改定に取り組む組合は、企業活動の源泉である「人」への投資が、人材確保と技能・技術の継承につながり、生産性を高め、企業の持続的な発展につながっていくとの考えに基づき、交渉を強化する。
2 賞与・一時金
賞与・一時金については、要求の趣旨を踏まえながら、生活給部分である年間4.0ヵ月を最低限確保することにこだわり、粘り強く交渉を展開する。
その上で、組合員の経営諸施策への懸命な努力に報いるため、適正な成果配分の観点に立って、さらに上積みを図るべく交渉を強化する。
3 仕事と私生活の調和が図れる環境の整備
改正労基法(時間外割増率の引き上げ等)への対応については、方針に則り「1ヵ月60時間超過50%割増」について、企業規模に関わらず、すべての職場に適用させるなど、交渉を強化する。
また、改正育児・介護休業法への対応についても、改正内容を踏まえた労働協約や就業規則の改訂・整備に取り組む。
4 将来にわたって安心できる労働条件の確保
組合員とその家族も含めて、将来にわたって安心でき働きがいや職場活力に繋げられる継続雇用、退職一時金および災害補償制度の整備・充実に向けて、具体的成果が得られるよう交渉を展開する。
5 パートタイム労働者等の待遇改善
パートタイム労働者等については、要求の有無に関わらず、まずは労働条件等について実態把握を行い、当該者および労使三者での共通認識を図る。その上で要求・要請を行っている組合は、待遇改善に向けて一歩でも前進が図られるよう取り組む。
III 交渉の進め方について
1 電力総連
電力総連は、中小加盟組合の交渉が有利に進められるよう、賃金実態未把握の組合に対し、賃金実態把握・分析の支援を行うとともに、加盟組合の要請に基づき経営分析の支援を行う。
また、連合大や部会などの春闘を巡る情勢について、引き続き適時に情報提供を行っていく。
2 構成総連
構成総連は、統一交渉ゾーンの設定ならびに交渉推進委員会を適宜開催するなどして、加盟組合の有利解決に向けて交渉促進を図っていく。
また、交渉が難航している加盟組合に対しては、個別対応も含め支援を強化する。
3 加盟組合
加盟組合は、構成総連と連携を図り、統一交渉ゾーンを活かしながら、要求の趣旨に沿った解決が図られるよう精力的に交渉を展開する。
なお、賃金および賞与・一時金について、他の動向を見極めなければ具体的な交渉が難しいと判断される場合は、その前段として、賃金および賞与・一時金以外の要求項目の実現に向けて、経営側の理解・認識を深めるなどの交渉を展開する。
IV 日程について
1 解決時期
3月中の解決を目指して最大限の取り組みを行う。これによりがたい場合は、遅くとも4月中の解決へ向けて鋭意交渉を強化する。
2 会議開催
(1) 第1回交渉連絡責任者会議を3月31日(水)に開催する。
(2) 第3回中央交渉推進委員会を4月8日(木)に開催する。

○ 2010春季生活闘争がスタート 2月22日統一要求日 |
電力総連2010春季生活闘争は、2月22日(月)、加盟組合が要求書を一斉に提出し、交渉がスタートした。今後、精力的な交渉と早期かつ有利解決がはかれるよう、加盟組合への支援を強化し、構成総連ごとに「統一交渉ゾーン」を設定するなど、電力総連が一体となって取り組むこととしている。
同日、種岡会長は、電気事業連合会に対し、雇用安定などに関する要請を以下のとおり表明した。
我が国の経済は、世界経済の改善や緊急経済対策の効果などを背景に持ち直しが進んでいますが、先行きについては内需の回復力が弱く、雇用情勢の一層の悪化やデフレの影響などにより、景気の「二番底」が懸念されるという予断を許さない状況にあります。
一方、労働者の生活実態は、企業部門と家計部門の配分の歪みから賃金の低下傾向に歯止めがかかっておらず、所得格差の拡大や低所得層の増加が進んでおり、個人消費も低迷した状態で、雇用不安と合わせて暮らしを取り巻く環境は極めて厳しいものとなっております。
電力関連産業を取り巻く環境は、販売電力量や一般工事部門も含めた受注工事量の減少さらには低炭素社会実現に向けての想定される課題への対応などにより、先行き不透明感が増しており、グループ企業のみならず協力会社も含めた総合力の発揮と収益力の強化が求められる状況にあります。
電力総連はこのような状況を踏まえ、雇用の維持・拡大、労使の協力と協議、成果の公正な分配を柱とした「生産性3原則」の意義と、中長期的観点に立った「人への投資」の重要性を今一度労使で共有化していくことが肝要であると考えております。その上で中小加盟組合を中心に、個別賃金水準が近年低下傾向にあり、社会水準を下回る実態があることから、労働意欲の向上、職場活力の醸成、人材確保・育成ならびに内需拡大の観点から低下傾向に歯止めをかけ、賃金を含む労働条件の底上げをめざします。
つきましては、電力総連の加盟組合は、本日2月22日を統一要求日として、賃金引上げやパートタイム労働者等の非正規労働者の待遇改善さらにはワーク・ライフ・バランスの実現に資する時間外割増率の引き上げなどの要求書を一斉に提出いたします。貴連合会におかれましては、雇用の維持と拡大、そして労働条件の向上に資する最大限のご配慮をお願いいたします。
また、構成総連大においては、グループ労使懇談会などを通じ、諸課題について議論していくこととしておりますので、合わせてご理解いただきますようお願いいたします。
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○ 電力総連2010春季生活闘争 進め方(その1) (2010.2.17) |
我が国の経済は、世界経済の改善や緊急経済対策の効果などを背景に持ち直しが進んでいるが、先行きについては内需の回復力が弱く、雇用情勢の一層の悪化やデフレの影響などにより、景気の「二番底」が懸念されるという予断を許さない状況にある。
このような情勢の中、電力関連産業を取り巻く環境は、低炭素社会への対応も含め先行き不透明感が増しているものの、電力総連は、連合の方針である「賃金水準の低下を阻止し、全労働者の生活を維持・防衛する観点から取り組みを強力に展開する」ことなどを受け、中核産別としての役割と責任を全うすべく、「電力総連2010春季生活闘争方針」に基づき、構成総連、部会及び加盟組合の連携を強化し、次により交渉を推進していくこととする。
1 事前準備
構成総連、部会及び加盟組合は、電力総連2010春季生活闘争方針に基づき、要求書の提出および雇用安定に関する申し入れならびに本格的交渉に向けた事前準備に万全を期す。
また、早期かつ有利な解決を目指して精力的な交渉が展開できるよう交渉体制の確立を行う。
2 要求書提出・雇用安定に関する申し入れ
要求書の提出、雇用安定に関する申し入れについては、平成22年2月22日(月)に一斉実施する。
ただし、事情により一斉要求への対応が難しい加盟組合は、早期交渉を念頭に遅くとも3月末までに実施する。
3 スト権の確立
労働関係調整法第37条第1項の規定に基づく公益事業に関する争議行為の予告については、3月1日(月)に電力部会および検集部会の構成組合分を一括して電力総連が行い、3月12日(金)にスト権を確立する。
4 交渉推進
(1) |
電力総連内の連携や情報共有化ならびに交渉推進の強化を図るため、交渉推進体制を確立し、加盟組合の交渉を支援していく。 |
(2) |
電力総連は、中小加盟組合の交渉が有利に進められるよう、継続的な賃金実態把握・分析および経営分析の支援を行うとともに、交渉の主張点などの情報を発信していく。 |
(3) |
構成総連は、全体情勢の共有化など時機をとらえて効果的なオルグを実施するなどして、加盟組合の早期かつ有利な解決を支援する。 |
(4) |
加盟組合は、構成総連が設定する統一交渉ゾーンを念頭に交渉日程を組み立て、有利解決に向けて交渉の促進を図っていく。 |
5 当面の日程
第2回中央交渉推進委員会を3月9日(火)に開催することとし、それ以降の日程については、加盟組合の交渉状況、連合や他産別の動向などを総合勘案して決定する。
6 その他
(1) |
春季生活闘争に関する情報については、適宜適切に「2010春季生活闘争情報」により発信する。 |
(2) |
連合のインフラ・公益共闘連絡会議や中小共闘、パート共闘との連携を図り、連合の中核産別としての役割を踏まえ、加盟組合の底上げに資する取り組みを進める。 |
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○ 電力総連2010春季生活闘争方針を決定!(2010.2.17) |
〜電力総連−構成総連−部会−加盟組合の連携を強化し、強力に交渉を展開〜 |
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電力総連は、2月17日(水)に東京都内において、第1回中央委員会を開催し、電力総連2010春季生活闘争の方針を決定した。これに基づき、各構成総連および各加盟組合は、自らの賃金実態などを踏まえ、電力総連統一要求日(2010年2月22日)に向け、要求準備を進めていくこととする。また、同日、第3回三役会議にて中央交渉推進委員会の設置を確認し、引き続き第1回中央交渉推進委員会において、「電力総連2010春季生活闘争 進め方(その1)を確認した。 |
I. 経済社会の情勢
○ |
GDPはマイナス成長 |
実質GDPは、2009年1〜3月期まで4期続けてマイナス成長となった後、4〜6月期(年換算+2.3%)に続き、7〜9月期(年換算+1.3%)もプラス成長となった。しかし、我々の生活実感に近い名目GDPで見ればマイナス成長(同▲3.4%)となっており、日銀展望リポートでも今年度の見通しは実質GDP▲3.2%と予測されている。
2008年の年末以降急激な減産と、在庫調整は経済成長のマイナス要因となるが、その在庫調整が一巡し生産も回復基調にあるため、今後の景気の回復にはプラス要因となる。しかし、生産の水準は昨年の夏に比べればその水準は低いことに加え、消費、住宅、設備投資の動きも弱い。 |
○ |
減益が続く企業収益 |
2009年度の企業収益は、前年度に続き大幅な減益が予想されている。日銀短観によれば、全産業・規模計の2009年度の経常利益は19.3%の減益、うち製造業は39.1%の減益、非製造業は9.8%の減益見込みであり、景気回復過程で大きな利益をあげた製造業を中心に大きく落ち込んでいる。製造業の中でも中小企業は46.2%の減益と厳しい見通しとなっている。2009年9月期の中間決算は、大手製造業を中心に3月期の大幅赤字から黒字へと改善されたものの、先行きに対しては慎重な見通しとなっている。 |
○ |
厳しさが続く中小企業 |
給付金やエコ減税をはじめとする経済対策の効果もあって、大企業の製造業を中心に企業の景況感が改善し上向きとなっている。しかし、中小企業の景況感は下降とみる企業が依然として多い。また、国内の景況についても、大手企業は先行きに明るさが見られるものの、対照的に中小企業は、厳しい見通しとなっており、取り巻く環境は依然として厳しさが続くと見られる。なかでも、国内需要の依存度が高い非製造業で厳しく見ている。 |
○ |
低下が続く賃金水準 |
一時金、残業込みの「現金給与総額(毎勤統計・5人以上事業所)」は、昨年の年末1%台のマイナスであったものが、2009年に入ると2〜3%にマイナス幅が拡大した。夏の一時金の支給時期である6月は▲7.0%、7月は▲5.6%となり、9月はマイナス幅が縮小しているものの▲1.6%となっている。
長期的に見た賃金も低下している。賃金構造基本統計調査で平均所定内賃金の推移をみると、2001年の305,800円をピークに2008年は299,100円に下がった。このことは、いざなぎ越えといわれた景気回復過程においても、労働者へ分配がされなかったことを表している。 |
○ |
物価下落の中でも、弱い消費行動 |
GDPの5割強を占める個人消費関係については、政府の経済対策効果が出ている面もあるが、賃金の低下や残業の減少、一時金削減の影響で、百貨店やスーパーなどの小売業は売上の減少が続くなど、全体としては低迷している。
消費者物価(生鮮を除く総合)は8月に▲2.4%と過去最大の下落を記録したあと、10月にも▲2.2%の下落となっている。このように物価が下落しているのは、昨年高騰した石油関連製品などの価格が下がったことに加え、外的要因の影響が少ない商品も、消費への刺激とコスト競争の激化により価格が下がっているためである。
価格下落の背景としては、賃金が長期的に下落するなかで低所得者層が増加し、さらには、不況の影響から一時金などが大幅に減少したことによる消費減退に対する刺激策として、低価格化に拍車がかかったためと考えられる。低価格化のためには、コスト削減が必要であることから、労働条件への引き下げ圧力となっており、この悪循環を断ち切り生活を守ることが必要となっているため、政労使すべての関係者がそれぞれの役割を発揮することが求められている。
なお、内閣府が発表した11月の月例経済報告では、「物価の動向を総合してみると、緩やかなデフレ状況にある」として、景気を下押しするリスクが存在することに留意する必要があるとした。 |
○ |
過去最悪の雇用情勢 |
完全失業率は、7月が5.7%と過去最悪を記録し、9月5.3%、10月5.1%と改善してきており、リーマン・ショック以降の急激な雇用の悪化に歯止めがかかった格好だが、過去最悪の状況が続いていることに変わりはない。また、10月の有効求人倍率は0.44倍と9月に比べ0.01ポイント上昇したが、過去最低の水準で推移している。正社員の有効求人倍率は0.26倍で、昨年の半分以下の水準に落ちている。また、高校生の就職市場が深刻さを増しており、厚生労働省によれば、来春の高校卒業予定者に対する7月末の求人数は約13.5万人で、前年同期比の半分近くにまで落ち込んでいる。
今後の雇用情勢について先行きは、厳しくなると指摘する声も多いが、連合は引き続き、雇用の安定・創出に向けた取り組みに全力を傾注しなければならない。 |
○ |
減少した労働時間 |
2008年秋以降の世界的な不況の中で、輸出関連産業を中心に大幅な減産をした結果労働時間も残業を中心に大幅に減少した。毎勤統計で見た製造業の所定外労働時間は2009年1〜3月期は▲45.6%(前年同期比)、4〜6月期も▲43.1%(同)となったあと、7〜9月期は▲29.1%(同)と、生産の持ち直し等で減少幅が縮小した。全産業で見た所定外労働時間も2月、3月に▲20%超となったあと、徐々に減少幅が縮小し9月は▲14.1%となった。
雇用の確保やワーク・ライフ・バランスの実現の観点からも、このように減少した労働時間をもとの長時間労働に戻させない取り組みが必要である。 |
II. 電力関連産業を取り巻く情勢
1. 経営環境
○ |
電力関連産業の経営環境は、電力会社を中心として、景気低迷や冷夏による販売電力量の大幅な落ち込みはあるものの、原油などの価格低下により燃料費が大幅に減少し、これに為替水準が円高に振れていることや原子力発電所の設備利用率も改善するなど業績の回復が見られる。しかしながら、連結での売上高は通期で▲10.1%の見込みであり、先行きに対する不安は払拭できていない。 |
○ |
一方、各企業は、民間設備投資の大幅な減少による受注競争の激化、低予算工事の増加、工期短縮の強い要請、さらには今後の公共事業の行方が不透明な状況となっていることから、厳しさを増している。 |
○ |
民主党を中心とした新政府は、温室効果ガス排出削減の中期目標を「90年比25%削減」をめざすとして、国内排出量取引制度や再生可能エネルギーの固定価格買取制度の導入、温暖化対策税の検討など、あらゆる政策を総動員するとしており、電力関連産業への影響は必至であり、先行き不透明感が増している。 |
○ |
エネルギーセキュリティの確保および低炭素社会の実現に向けて、ゼロ・エミッション電源の中心を担う原子力の開発推進と安全性を最優先した設備利用率の向上が求められている。加えて、地域とのゆるぎない信頼関係の構築も求められている。 |
○ |
このような状況下において、各企業の経営基盤強化を目的とした経営効率化は依然として重要な課題であり、グループ企業のみならず協力会社も含めた総合力発揮と収益力強化が求められている一方で、労働条件の引き下げや今後の雇用不安も懸念される。 |
○ |
近年の団塊世代の大量退職、若年層の中途退職、採用計画の未達成などにより、要員事情は厳しく、一部には人材不足が課題となっている企業もあり、将来にわたる健全な発展をめざすためには、労働条件の向上による人材の確保、技術・技能の継承、職場活力の醸成が極めて重要な課題となっている。 |
2. 職場の状況
○ |
要員事情が厳しく、業務の高度化・多様化により質・量ともに業務負担が増し、労働時間が増加傾向にある中、組合員は取り巻く状況を十分認識し、各種経営施策の達成による事業基盤の強化、企業倫理や法令遵守の徹底など、関連産業が一体となって取り組んでいる。 |
○ |
安全に関しては、平成20年度の労働災害は協力会社も含め552件(前年比▲31件)で高止まりの状況にあり、グループ企業のみならず、協力会社も含めた第一線職場までのコミュニケーションを一層充実させ、安全最優先とルール遵守の意識を浸透させると共に、災害原因の深堀りと対策の確実な実施により、災害防止の徹底に努めている。 |
○ |
業務量と要員の不整合や過度な業績管理型の業務運営などにより、長時間労働を強いられる組合員が増加しており、メンタルヘルス不調者の増加など心身の健康への影響が懸念されることから、ワーク・ライフ・バランスの実現に向けた取り組みが求められている。 |
○ |
多発する豪雨などの自然災害における早期復旧、既設電源の安定運転、高経年化している流通設備の保安対策強化など、国民経済に不可欠なインフラとしての重要性を十分認識して、各企業がそれぞれの人と技術を結集し、一体となって日夜懸命に安定供給に努めている。 |
III. 連合大の情勢
2010春季生活闘争では、日本経済・社会の底割れに歯止めをかけ、賃金水準の低下を阻止し、全労働者の生活を維持、防衛する観点から取り組みを強力に展開する。そのためには、@内外需バランスのとれた経済の実現、A企業部門と家計部門の配分のアンバランスの是正、B雇用の安定・創出と処遇バランスを図っていくことが不可欠である。
こうした観点から、職場で働くすべての労働者を対象に、処遇の維持・改善に取り組む。このため、賃金水準を維持するとともに、必要な場合は格差是正に取り組む。さらに、均等・均衡に向けた処遇改善を図るとともに、最低賃金等の引き上げによって底上げを図る。そして、こうした結果を社会全体に波及させるため、共闘連絡会議の機能強化を図るとともに、法定最低賃金を引き上げるため取り組みを強化し、社会全体の底上げを図っていく。また、あらゆる方策で総実労働時間の縮減を図り、雇用の安定・創出につなげていくとともに、雇用確保に向けた労使協議を徹底する。
さらに、今次闘争では、景気回復、雇用の安定・創出、生活防衛を図るため、車の両輪として政策制度取り組みを位置づけ、総合生活改善のための取り組みとして闘争を強力に推進していく。
1. 取り組みの柱と体制強化
(1) |
全労働者を対象に春季生活闘争を推進
非正規労働者も含めすべての労働者を対象に賃金、労働時間等を含めた労働諸条件の改善に取り組む。このため、組合員の労働条件の改善や格差是正の取り組みとともに、組合員ではない労働者に対しても、処遇改善をはじめ様々な課題に取り組む。そして、企業内最低賃金協定の締結拡大、水準の引き上げによって底上げの取り組みを展開する。 |
(2) |
賃金水準維持の取り組みの徹底
賃金水準の低下に歯止めをかけ、その水準を維持するためには、賃金制度を整備し、個別ポイントにおける絶対水準を重視していく必要がある。連合は、こうした取り組みも含め、すべての組合で賃金カーブを維持する取り組みを産別の指導の下で徹底する。また、大手と中小の賃金格差は拡大傾向にあるため、今次闘争においても格差是正の取り組みを推進する。 |
(3) |
総実労働時間の徹底縮減による雇用の安定・創出
連合は、180万人の雇用創出をはじめ、雇用の安定・創出に関わる政策制度の実現に向けた取り組みを強化するとともに、総実労働時間の徹底縮減による雇用の安定・創出を図っていく。
このため、仕事量の減少により、この間に減少した労働時間をもとの長時間労働に戻させないことを含め、産業の実態に応じたあらゆる方策による総実労働時間の縮減
、労働時間の上限規制の徹底、過重労働をさせない取り組み等により、ワーク・ライフ・バランスの実現と非正規労働者も含めた雇用の安定・創出を図る。また、中期時短方針に基づく最低到達目標の達成への取り組み強化や、労基法改正に伴う労働協約の整備(時間外・休日割増率50%の実現等)を行う。 |
(4) |
共闘連絡会議の体制強化
2010春季生活闘争を推進し賃金の社会的横断化を図るため、回答ゾーンの設定、中核組合の登録拡大と、共闘連絡会議の機能強化のため代表銘柄(労働者の職種、年齢、賃金水準など)を設定する。そのうえで、中核組合を中心に賃金引き上げ結果などについて開示し、中小労働者、未組織労働者へと相場の波及を図っていく。 |
(5) |
政策・制度との連携強化
内需を中心とした景気の回復と雇用の安定・創出で生活防衛を図っていくため、政権交代後の2010春季生活闘争では、これまで以上に政策・制度実現に向けた取り組みとの連携を強化していく。 |
2. すべての組合が取り組むべき課題(ミニマム運動課題)
(1) |
賃金カーブ維持分を必ず確保する。 |
(2) |
非正規労働者を含めた全労働者を対象に、賃金をはじめとする待遇改善に取り組む。 |
(3) |
賃金の底上げを図るため企業内最低賃金協定の締結拡大と、その水準を引き上げる。 |
(4) |
減少した労働時間をもとの長時間労働に戻させないよう、産業実態を踏まえた総実労働時間の短縮や、時間外・休日労働の割増率の引き上げ等によって、雇用の安定・創出を図る。 |
|
IV. 電力総連としての基本方針
電力総連2010春季生活闘争は、低炭素社会への挑戦も含めて電力関連産業を将来に亘って発展させていくために、雇用の維持拡大、労使の協力と協議、成果の公正な分配を柱とした「生産性3原則」の意義を労使で共有化し、「人への投資」の重要性を訴え、明日への活力に繋げていく取り組みと位置付け、連合春季生活闘争の持つ社会的な役割と、電力総連としての統一的対応の重要性を認識し、次の基本方針により取り組む。
特に、中小加盟組合を中心に、個別賃金水準が近年低下傾向にあり、電力総連ミニマム水準や社会水準(厚生労働省:賃金構造基本統計調査)を下回る実態があることから、労働意欲の向上、職場活力の醸成、人材確保・育成の観点から低下傾向に歯止めをかけ、賃金を含む労働条件の底上げをめざすことが極めて重要である。
電力総連・構成総連は従来以上に連携を密にし、交渉強化のための具体的な支援を行うこととする。
(1) |
賃金引き上げについては、賃金カーブ維持分の確保に徹底的にこだわり、その上で加盟組合の実態に応じて、賃金の底上げをめざした賃金改定に取り組む。 |
(2) |
賞与・一時金は年間賃金の一部であり、安定的な生活給部分として年間4ヵ月を確保する。 |
(3) |
改正労基法(時間外割増率の引き上げ等)への対応を含む年間総実労働時間短縮をはじめとした「仕事と私生活との調和」が図れる働き方への改革に取り組む。 |
(4) |
電力関連産業に働く者全体の底上げを図るため、パートタイム労働者等の待遇改善に向けた取り組みを行う。 |
|
V. 具体的取り組み
1. 雇用安定・労働条件確保の取り組み
国内における失業率が一時的に過去最悪を更新するなど雇用情勢は深刻な情勢にあり、電力関連産業においても今後の雇用不安も懸念されることから、電力総連、構成総連及び部会は、対応する経営側に雇用安定に関する申し入れを行うこととし、各組合は組合員の不安や想定される状況に対応するため、労使協議会等における協議と情報共有や、労働協約における労働者の権利の確保などについて、以下のとおり取り組む。
また、電力関連産業で働く者の雇用安定、安全・健康の確保、仕事と私生活の調和が図れる環境の整備などの視点に立って、構成総連大の労使懇談会の充実に取り組む。
○ |
雇用安定に関する申入れ。 |
○ |
人事条項クリア水準を最低限確保した労働協約の整備・充実。 |
○ |
電力総連「労使交渉・協議に関する指針」を基本とした労使協議会の充実。
(最低四半期1回以上、定期開催のルール化) |
2. 賃金引き上げの取り組み
2005年度から展開してきた「労働環境点検活動」の成果を踏まえ、すべての加盟組合は事前準備として、賃金実態把握を確実に行い、賃金カーブ維持分の確保に徹底的にこだわり、その上で加盟組合の実態に応じて、賃金の底上げをめざした賃金改定に取り組む。
(1)賃金実態の把握
交渉の事前準備として、すべての加盟組合は自社の賃金実態を把握し、賃金カーブ維持分に必要な原資の算出を行うとともに、賃金カーブの歪みや賃金分布の偏りなどの課題把握を行う。また、過去の賃金カーブと比較してどのように変化しているかの確認も行う。
(2)賃金引上げ
@ 賃金カーブ維持分の確保
賃金水準の低下を阻止し、職場内秩序を維持するためにも、賃金カーブ維持分の確保や回復を第一義として取り組む。
○ |
賃金制度(昇給ルールが制度化されている)を確立している加盟組合はその賃金表を維持する。 |
○ |
賃金制度(昇給ルールが制度化されている)が確立していない加盟組合は、賃金カーブ維持分を要求する。
なお、賃金カーブ維持分の算出が困難な加盟組合は、賃金カーブ維持分として、連合が示した目安額を要求する。 |
○ |
賃金カーブ維持分の算出が困難な加盟組合は、賃金カーブ維持分として目安額もしくは目安率を要求する。 |
※目安額「4,500円」
連合中小共闘における実態賃金カーブ維持分の相当額。2008年度の地域ミニマム年齢別賃金(全産業・男女計)中位数の18歳から45歳の1歳1年間差の平均額。 |
○ |
雇用安定を優先して、定期昇給相当分の凍結や削減などを行わざるを得なかった加盟組合は、それを回復する。 |
○ |
電力総連は業種別部会毎の賃金カーブ維持分の一部として定期昇給相当分の情報開示を加盟組合の要求策定前に行い、電力総連内の相場形成に努める。なお、その他の加盟組合においても、構成総連内に対して情報開示に努める。 |
A 賃金改定分の獲得
近年の電力総連と社会水準(賃金構造基本統計調査)の低下幅の格差を考慮するとともに、特に規模が小さい加盟組合においては社会水準を大きく下回る実態にあること、さらには連合中小共闘方針の「賃金改善分500円以上※」を踏まえ、加盟組合の実態に応じて、以下に示す項目を指標として、賃金改定分「500円以上」の要求を行う。
※賃金改善分「500円以上」
社会水準の1歳1年間差の平均額5,000円と中小目安額4,500円の差。
I:個別賃金水準が「電力総連ミニマム水準」を下回る加盟組合は、最低限必要な生計費を確保する観点から、個別賃金水準の引上げに取り組む。
【電力総連ミニマム水準】
年齢 |
18歳 |
20歳 |
25歳 |
30歳 |
35歳 |
40歳 |
扶養 |
単身 |
単身 |
単身 |
配偶者+子1 |
配偶者+子2 |
配偶者+子2 |
水準(円) |
153,800 |
162,300 |
183,600 |
219,500 |
277,500 |
310,700 |
II:「電力総連ミニマム水準」を確保した上で、社会水準を踏まえた個別賃金水準の引き上げが必要と判断される加盟組合は、下表の目標水準を参考に、その獲得をめざす。
【目標水準】
|
目標水準I |
目標水準II |
高卒 30歳・勤続12年 |
262,000円 |
289,000円 |
高卒 35歳・勤続17年 |
305,000円 |
348,000円 |
* 電力総連賃金実態調査ならびに厚生労働省賃金構造基本統計調査の過去5年平均額を勘案し算出。目標水準Tは中位、目標水準Uは第3四分位。
III:賃金制度改定による影響の検証と回復
過去において労使合意した賃金制度について、定期昇給原資等を減額改定した場合、その後の個別賃金水準の実態を把握し、自社の社会的位置取りや組合員の労働意欲向上を勘案し要求を行う。
IV:賃金カーブの歪みや賃金分布の偏りの是正
自社の賃金実態を把握し、歪みや偏りがあり、是正が必要と判断される場合は、その改善に取り組む。
(3) 配分交渉の充実
生活の安定を確保し、公平公正でやり甲斐・働きがいにつながる配分を目指し、要求策定段階から配分交渉を重視した取り組みを行う。
(4) 賃金制度の確立
賃金制度・体系が確立されていない加盟組合は、賃金実態を把握し、自社の課題を明らかにした上で、労使による検討・協議の場を設置し、賃金制度・体系の確立に向け取り組む。特に、安定的な賃金水準を確保する観点から、定期昇給のルール化を図っていく。
(5) 最低賃金協定の取り組み
パートタイム労働者等も含めた電力関連産業に働くすべての労働者の企業内最低賃金として、以下の要求水準を踏まえて、組合ごとの最低賃金協定を締結する。
【最低賃金締結基準:電力総連ミニマム水準の18歳相当額として月額「153,800円以上」または時間額「890円以上」】
※電力総連ミニマム水準18歳相当額(153,800円)÷法定労働時間(174時間)≒890円
(6) 初任給の引き上げ
技術・技能の継承を図るうえで安定的な新規採用は必要であり、労働需給の情勢や同業他社との比較・分析を行い、電力関連産業が求める人材が確保できるよう各加盟組合で要求額を決定する。
なお、電力総連ミニマム水準18歳相当額を下回っている加盟組合はその確保に向けて取り組む。
3. 賞与・一時金の取り組み
賞与・一時金については、年間賃金の一部として安定した生活を支える生活給部分を最低限確保することを基本として、次により要求を行う。
また、夏冬型による年間要求・年間妥結を基本とする。
(1) |
要求水準
「年間4ヵ月を最低水準」とし、過去の妥結実績、企業業績、生産性向上や職場実態などを勘案して、4ヵ月分に上積みを図った要求を行う。 |
(2) |
冬季分の扱い
冬季分については、賃金引き上げ後のベースを使用し、夏季分に準じた扱いとする。 |
(3) |
支給日
夏季分は6月上旬、冬季分は12月上旬とする。 |
4.仕事と私生活の調和が図れる環境の整備
(1) 改正労基法(時間外割増率の引き上げ等)への対応
2008年度第10回三役会議(H21.9.8)で確認した「法改正に伴う電力総連としての基本理念」を堅持した上で、次の内容を基本に取り組む。
@ 時間外割増率の引き上げについて
○ |
改正法の内容である「1ヵ月60時間超過50%割増」について、企業規模や働き方に関わらず、すべての職場に適用させるため、適用が猶予される組合については要求を行う。 |
○ |
長時間におよぶ労働は、労働者の健康に影響を与えると考えられることから、時間外労働は所定労働時間を超過したものとし、時間外労働の積算方法については、平日・休日の区別なく合算することとする。 |
A 限度基準を超える時間外労働について
○ |
改正法で努力義務とされた「限度基準告示(一定期間が1ヵ月の場合は45時間)を超える時間外労働は法定割増率を超える率とするよう努めること」に基づき、法定に張り付いている組合は、割増率30%の要求を行う。 |
B 代替休暇について
○ |
労働の対価は本来賃金で支払うことが原則であるとの考え方などを踏まえ、加盟組合は個別に判断することとし、統一的な対応は求めないこととする。 |
C 年次有給休暇の時間単位付与について
○ |
有給休暇は本来一労働日を単位として取得するものとの考え方などを踏まえ、加盟組合は個別に判断することとし、統一的な対応は求めないこととする。
ただし、職場ニーズなどにより制度を導入する場合には、制度の運用状況や取得実績などを確認しながら日数の拡大をするなど、慎重に対応を行うこととする。 |
(2) 年間総実労働時間の短縮
労働者の心身の健康はもとより、ワーク・ライフ・バランスの実現に向けても、長時間労働を解消し、メリハリをつけた働き方ができる環境づくりが必要である。各加盟組合は、電力総連時短指針を踏まえ、年間総実労働時間1800時間達成をめざし、企業の対応を求めるとともに、労使一体となった取り組みを行うこととする。
@ 労働時間に関する労使協議の充実
○ |
年間を通した労働時間に関する取り組みのフォローや、改善すべき事項について、労使の協議や話し合いを行い、協定化(議事録、覚書、確認メモを含む)を図るとともに、長時間労働解消に向けた労使行動計画の策定などに努めることとする。なお、すべての加盟組合は、所定外労働時間や年次有給休暇取得率など、個人別の労働時間実績についてデータの開示を求め、半期ごとに労使確認を行うこととする。 |
A 年間所定労働時間短縮の取り組み
○ |
年間の所定労働時間が2000時間を超えている加盟組合は、連合時短方針で掲げられている最低到達目標(2009年度末)を踏まえ、休日日数を増やすなどして年間所定内労働時間を2,000時間以下にできるよう要求を行う。 |
B 所定外労働時間の削減等の取り組み
○ |
36協定の特別条項について、長時間労働防止や労働者の健康障害防止の観点に立った締結を行う。その上で、36協定遵守のための時間外労働の基本ルールについて労使確認を行い、同時に職場内の周知徹底を図る。 |
○ |
すべての組合員の休日労働時間を含む時間外労働を、1ヵ月45時間以下に抑えることを基本とし、少なくとも過労死につながるとされる1ヵ月100時間、ならびに2ヶ月連続80時間を超える過重労働につながらない業務運営を求める。 |
○ |
過重労働に係わる医師の面談指導については、月間80時間を超過した者全員に実施することを基本に、月45時間超過者で健康への配慮が必要な者についても、その対象とすることを求める。 |
|
月80時間超 |
月45時間超過者で、健康への配慮が必要な者 |
法定上の対象者 |
月100時間超で疲労の蓄積あり
(申出あり) |
月80時間超100時間以下で、疲労の蓄積または健康上の不安あり
(申出あり) |
月100時間超の者または2ヶ月〜6ヶ月の平均が月80時間を超える者
(申出なし) |
法定上求められる対応 |
面接指導を確実に実施
(義務) |
面接指導等の実施に努める
(努力義務) |
対象者に含めることが望ましい |
電力総連の要求 |
医師による面談指導を求める |
C 年次有給休暇の取得向上の取り組み
○ |
労働者の心身の健康を確保する観点から、年次有給休暇の取得目標を、電力総連時短指針の「年間10日以上」とし、特に、取得日数が5日未満の組合員をなくすことをめざし、計画取得や連続取得など、実態に応じた制度や対策を求める。 |
○ |
年次有給休暇の完全取得が概ねできている組合は、初年度付与日数15日以上や年間20日付与となるまでの勤続年数の短縮を要求する。 |
(3) 次世代育成支援対策
○ |
平成17年から従業員301名以上の企業に策定・届出が義務付けられている一般事業主行動計画は、次世代育成支援対策推進法が失効する平成27年度末までは、1つの計画期間が終わっても、また次の行動計画を策定し届出をする必要がある。そのため、実施状況のフォローを行うとともに、次の行動計画策定に向けた取り組みを行う。 |
○ |
300名以下の企業でも同様の努力義務が課せられており、且つ101名以上の企業は平成23年4月から義務化されることになったことから、法の趣旨に沿って都道府県労働局へ行動計画を提出するよう求めていく。 |
@ 改正育児・介護休業法への対応
少子化対策の観点から、喫緊の課題となっている仕事と子育ての両立支援等を一層推進するため、男女ともに子育て等をしながら働き続けることができる雇用環境を整備するため、改正法が平成21年7月1日に公布され、平成22年6月30日に施行される。
よって、2006年度第5回三役会議(H19.8.3)で確認した「電力総連 仕事と私生活の調和」の考え方を基本として、改正内容を踏まえた労働協約や就業規則の改訂・整備に取り組む。
なお、100名以下の企業においては、一部の改正内容が公布日から3年以内の政令で定める日に施行されるという猶予措置がとられているが、職場実態やニーズを把握し、必要に応じて当該組合は要求を行うこととする。
A その他
○ |
出産、子育てや介助・介護をはじめ、単身赴任者支援など、家庭内や地域社会での家族的責任を果たすための制度について、整備・充実を図るとともに、制度利用の促進に向けて、労使の協議や話し合いを行い、制度取得を阻害する要因の解消に取り組む。特に、介護に関する制度については、制度利用者の増加がみられることから、職場ニーズを把握し、充実に向けた取り組みを行う。 |
○ |
併せて、休業者の職場復帰後の支援方策、欠員時の職場対応ルールの確立に向けて取り組む。 |
5. 将来にわたって安心できる労働条件の確保
(1) 定年退職者継続雇用制度の整備・充実の取り組み
改正高齢者雇用安定法への対応を徹底し、希望者全員が65歳までの就労が可能となる制度の実現に向け、制度の点検・整備を行い、制度利用者の働きがいにつながるとともに、職場全体の活力向上となる制度構築に取り組む。
※平成22年4月から高年齢者雇用確保措置の義務対象年齢が64歳に引き上げられる。
(2) 退職一時金制度の確立・整備の取り組み
退職一時金制度が確立されていない加盟組合は、中小企業退職共済制度などを活用して、退職一時金制度の確立をめざした取り組みを進める。
また、制度が確立されている加盟組合は、電力総連のクリア水準である1,550万円以上の確保をめざす。
(3) 災害補償制度の充実の取り組み
電力関連産業の社会的使命を果たす重責において、犠牲となった組合員の業務上災害補償制度は、人命という何にも変えがたい価値への補償という労使共通の理念をもって、すべての加盟組合で電力総連のクリア水準3,500万円以上(業務上死亡・有扶者)の補償額をめざす。
7. パートタイム労働者等の待遇改善の取り組み
働き方の二極化やワーキングプアが社会的な課題となっている中、パートタイム労働者等の待遇改善は、電力関連産業で働く者全体の底上げを図るものと位置付け、「電力総連 パートタイム労働者等の均衡待遇にむけた取り組み指針」に基づき、同じ労働者の視点から、パートタイム労働者等の労働条件全般に亘る待遇改善の取り組みを進める。
○ |
各企業が雇用しているパートタイム労働者等の労働条件等について、実態把握を行ったうえで、当該者および労使の三者で共通認識を図り、今後の労働条件向上と組織化に向けた取り組みにつなげる。 |
○ |
正社員と同視すべきパートタイム労働者等の正社員化または正社員化に向けたルール作りを行う。 |
○ |
時給引き上げについては、最低賃金要求基準の890円を目指した要求または要請を行う。なお890円を超えている場合においても、10円以上の引き上げを要求または要請を行う。 |
正社員と同視すべきパートタイム労働者 = 業務内容および責任、人材活用の仕組みや
運用が正社員と同じで、正社員と同じ所定労働時間で働き、契約期間が無期または反復更新
の者。 |
○ |
正社員とは異なる働き方をしているパートタイム労働者等についても、業務内容や労働時間等を勘案し、時給の引き上げ、一時金の支給、通勤費の支給、慶弔休暇等の整備、その他福利厚生制度等について正社員との均衡待遇に向けた取り組みを行う。 |
○ |
時給引き上げについては、最低賃金協定額の890円をめざし、今年度の地域別最低賃金引き上げ額(平均10円)などを踏まえた要求または要請を行う。
なお、890円を超えている場合においても、同様の考え方に基づいた取り組みを行う。 |
7. 社会的な課題への対応
(1) |
裁判員制度に関わる取扱いの対応
裁判員法により出廷等を求められた場合の取扱いについて、引き続き有給扱いを求めるとともに、その他の取り扱いに関する労働協約の締結に取り組む。なお、公民権行使に関して労働協約を締結している組合についても、裁判員法の適用について、労使確認を行う。
(注)裁判員法は、平成21年5月から施行済。 |
(2) |
政策制度要求への取り組み
連合の政策制度要求について、労働者の安心・安定した生活の確保、公正な社会の実現をめざして、連合の中核産別としての責任と役割を果たすため、積極的に参画していく。 |
8. 中小加盟組合の交渉推進強化の取り組み
中小加盟組合の賃金水準や労働条件の底上げを図るため、電力総連・構成総連は、加盟組合の要求案策定の段階から、次の考え方に基づいて取り組みを強化する。
○ |
賃金実態把握が未実施、電力総連ミニマム水準に未達、賃金カーブ維持分が確保できていない等の加盟組合を絞り込み、重点指向で適切な支援を行う。 |
○ |
加盟組合支援モデルプランを作成し、加盟組合の実態も踏まえて具体的な展開を図る。 |
○ |
工事等の受注・発注間に存在する「取引関係」が、春闘交渉に影響を与えることがないよう、各構成総連で開催される労使懇談会などを活用して、交渉環境を整えていく。 |
|
VI. 進め方
連合2010春季生活闘争の進め方を踏まえた上で、電力総連・構成総連・部会・加盟組合の連携を十分に図りながら電力総連の総力を結集して取り組むこととする。
また、連合の各種共闘と連携を図りながら、有利解決に向けて取り組む。
1. 要求書の提出
雇用安定に関する申し入れおよび要求書の提出については、平成22年2月22日を統一要求日として、一斉に実施する。ただし、事情により一斉要求への対応が難しい組合は、遅くとも3月末までに要求する。
2. 交渉推進体制
(1)交渉体制
○ |
電力総連は、中央交渉推進委員会を設置し、構成総連・加盟組合の交渉推進に向けて積極的に支援・調整を行う。 |
○ |
構成総連および部会は、交渉推進委員会を設置して各々の責任体制を確立し、加盟組合の早期かつ有利な解決に向けて積極的に支援・調整を行う。 |
○ |
加盟組合は、構成総連や部会と連携を図り、自力・自決を基本に精力的に交渉を展開する。 |
(2)交渉の促進
○ |
中央交渉推進委員会は、交渉状況を踏まえ加盟組合の交渉を有利に展開するため、「闘争の進め方」を発信する。加えて、連合中小共闘が発信する方針について、電力総連内の実態も踏まえたうえで、中小加盟組合の賃金引き上げ交渉が有利に進められるよう、同様に発信する。 |
○ |
構成総連は、加盟組合の交渉推進を図るため、統一交渉ゾーンを設け、構成総連と加盟組合が一体となった交渉を展開する。特に、中小組合の交渉推進に向けて支援を強化する。 |
○ |
春季生活闘争に係わる情報は、交渉を促進するため適宜発信していく。 |
3. 解決時期
交渉のヤマ場は、連合の解決促進ゾーンを踏まえ、3月中旬を基本に遅くとも4月末までの解決をめざす。 |
|