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 2012 春季生活闘争
電力総連2012春季生活闘争方針を決定!

■ 電力総連2012春季生活闘争方針を決定!(2012.2.15)
〜電力総連−構成総連−部会−加盟組合の連携を強化し、強力に交渉を展開〜
 電力総連は、2月15日(水)に東京都内において、「2011年度第1回中央委員会を開催し、電力総連2012春季生活闘争の方針を決定した。これに基づき、各構成総連および各加盟組合は、人材の育成、技能・技術の維持継承に必要な基本的労働条件を維持していくことを基本とし、電力総連統一要求日(2012年2月20日)に向け、要求準備を進めていくこととする。また、同日、第3回三役会議にて中央交渉推進委員会の設置を確認し、引き続き第1回中央交渉推進委員会において、「電力総連2012春季生活闘争 進め方(その1)」を確認した。
全体写真
種岡会長あいさつ
種岡会長あいさつ
2012春季生活闘争方針について提起する左雨局長
2012春季生活闘争方針について提起する左雨局長
議長の沖縄総連 知念中央委員
議長の沖縄総連 知念中央委員
満場一致で確認
満場一致で確認


平成24年2月15日
第1回中央委員会
電力総連2012春季生活闘争方針
T.はじめに
昨年3月11日の東日本大震災により、発電設備や送配電設備が甚大な被害を受け、とりわけ福島第一原子力発電所の被災は、放射性物質の放出という事態となったが、現地では一刻も早い収束に向け、各方面からの支援と協力のもと、放射線管理をはじめとする作業安全や健康管理について対策を行いつつ、懸命な努力を続けている。今回の震災では東北地方で最大約460万戸、関東地方で最大約405万戸が停電することとなり、震災発生直後はもとよりその後の電力供給力の不足に伴い、やむを得ず計画停電をお願いすることとなった。また電力供給力が大幅に低下したため、電気事業法に基づく電力使用制限令が東北および東京電力管内において発動されることとなった。定期検査完了後の原子力発電所についても、緊急安全対策等を実施したものの再稼動には至らず、昨夏の電力需給は全国的に逼迫することとなり、今冬から今夏に向けた電力供給に対する不安は未だ払拭されていない状況にある。
この間、被災した電力供給設備の復旧にあたっては、東北電力総連・関東電力総連はもとより、全国各地からの仲間の懸命な応援体制により、復旧可能な地域の電力供給を早期に確保することができ、その後も設備の復旧や長期計画停止中の発電所の再稼動、新たな電源の確保等に懸命な努力を重ねている。また、火力発電所による供給力確保に伴い燃料費用が増加する中、効率化努力にも職場が一体となって取り組むとともに、お客さまへの節電のお願いについても、かかる状況を丁寧にご説明しご協力をいただいてきた。さらに台風などの度重なる自然災害の対応にあたっても、ライフラインを支える者として強い使命感を持ち、早期復旧に努めてきた。引き続き私たちは、被災地の復旧・復興、人々の安心した暮らし、企業活動の再開など国民生活と経済活動に欠かせない電力の安全・安定供給に向け、電力関連産業が一体となって取り組んでいく決意であり、そのことが社会からの信頼を取り戻すことにも繋がっていくものと考える。

電力の安全・安定供給を支えるのは、現場第一線をはじめ、さまざまな職場で働く組合員の強い使命感と誇りであり、その担い手である組合員の雇用安定や人材の育成、技能・技術の維持継承などが何よりも重要である。したがって今次春季生活闘争においては、諸情勢が急激に変化しているものの、人材の育成、技能・技術の維持継承に必要な基本的労働条件を維持していくことを基本とし、電力総連−構成総連−加盟組合が連携のうえ進めていくこととする。

II. 取り巻く情勢
1. 経済社会情勢
日本経済は「構造的な危機」と「東日本大震災からの復旧・復興」という大きな課題に直面している。長期低成長とデフレから脱却ができず、非正規労働者の増加、所得格差の拡大、財政難と社会保障の負担増など先行きの不透明感が強まっている。2011年7〜9月期の実質GDPは前期比1.4%(年率換算5.6%)と4四半期ぶりのプラス成長となったものの、欧州の財政不安からくる世界経済の成長鈍化と高水準の円高、歳出削減圧力などから、2012年以降の成長については楽観視できない状況にある。震災からまもなく1年が経過しようとしているが、現場における多くの人々の努力によって、復旧・復興は海外から驚異的とも言われるほどのスピードで進んできているとはいえ、家計や企業の経済活動に対し、今も大きな影響を与えている。
企業業績の動向は、日銀短観によれば、大企業・製造業の業況判断DIは改善傾向にあり、震災後の生産、消費を中心とする日本経済の急激な落ち込みは、すでに震災前の水準にまで回復しているものの、直近では、急速な円高やタイの洪水の影響などから減益となる公算が大きいとされている。先行きについても、欧州を起点とする経済や金融の混乱が、世界の企業業績に影響を及ぼし始め、一段と不透明になっている。

労働者の雇用と生活は危機的な状況にある。経済の低迷が20年続きデフレからの脱却ができない中で、格差社会は深刻化し貧困層は増大、ワーキングプアともよばれる年収200万円以下の者も1,000万人を超えている。生活保護世帯・受給者は増加を続けており、2011年7月時点で148万世帯、205万人となるなど、貧困・格差問題は解消されていない。賃金も低下しており、平均給与総額は1997年の467万3千円をピークに減少し、直近の2010年では412万円となり、3.2%と世界最低水準にある貯蓄率からも中長期で見た公正配分の必要性は明らかである。雇用情勢については、2011年11月の完全失業率(季節調整値)は4.5%、有効求人倍率は0.69倍と依然として厳しい水準であり、新卒者の就職内定率についても、回復の兆しはあるとされるものの厳しい状況が続いている。

2. 経営環境
政府は、東日本大震災や福島第一原子力発電所事故を踏まえたわが国の新たなエネルギー・環境政策として、今夏に「革新的エネルギー・環境戦略」を策定するとともに、全国的に電力需給が逼迫する中での需給安定策を検討するため、昨夏以降、「新成長戦略実現会議」のもとに「エネルギー・環境会議」を設置し、検討を進めてきた。昨年10月に「国家戦略会議」のもとに移行された「エネルギー・環境会議」は、12月にとりまとめた「基本方針」に基づき、原子力政策やエネルギーミックス、地球温暖化対策に関する選択肢を今春に提示し、国民的議論を展開すべく、これまで以上に検討を加速させている。また、昨年10月、福島第一原子力発電所事故の収束や原子力安全対策の見直し、核燃料サイクルを含む原子力システム改革や東京電力による原子力損害賠償の進捗管理、電気事業制度改革等を政府として一体的に推進するため、「電力改革及び東京電力に関する閣僚会合」が設置されたが、昨年末には、閣僚会合における検討項目の1つである電力システム改革に関して、経済産業省の「電力システム改革に関するタスクフォース」の論点整理が公表されるとともに、同閣僚会合で承認された。論点整理では、競争促進と市場の広域化の観点から、法的分離や所有分離、機能分離など現行の発送配電一貫体制の見直しにまで言及されており、本論点整理をもとに、新たに設置される「電力システム改革専門委員会」等の場において、具体的論議が進められることとなる。さらに、今春に予定される東京電力と原子力損害賠償支援機構による「総合特別事業計画」の策定に向けては、東京電力の経営のあり方について中長期視点からの抜本的改革に向けた見直しが求められている。
電力各社の第3四半期決算は、震災の影響による原子力発電所の停止や定期検査中の原子力発電所の再稼動が見通せない中、火力発電所の焚き増しにより燃料費がかさむなど収支が悪化している。販売電力量についても、前年の猛暑の反動および電力需給逼迫から節電が広がったことなどから対前年同期比で減少している。通期の見通しについては、原子力発電所再稼動の時期が不透明なことから、経常利益・当期純利益を未定としている会社が相次いでいる。
各企業においては、震災の影響等によりバラツキがあるものの、総じて電力の設備投資が抑制基調にあることや、民間・公共設備投資も依然として低水準であることから、受注価格の厳しさや受注競争が激化しており、更なる原価・経費の低減が求められている。また、施主からの短納期の強い要請もいまだ続いていることから、労働環境も含め依然として厳しい状況にある。各企業の経営基盤強化を目的とした経営効率化は依然として重要な課題であり、そのためには、グループ企業のみならず協力会社も含めた総合力発揮と収益力強化が求められている。
III. 連合の方針(抜粋)
1.2012春季生活闘争のポイント
 2012春季生活闘争は、世界経済が大転換期とも言える状況にあり、取り巻く環境が昨年以上に厳しい中で、「市場と効率」に傾斜した経済運営や企業経営のあり方を根本から問い直し、健全な危機感を共有化しつつ厳しさに流されることなく成長の源泉である「人財」を育てあげる観点を含め、昨年と変わらない要求を掲げ交渉し、成果を引き出す取り組みをすすめていく。
 すべての労働者を視野に入れ、格差是正、底上げ・底支えの取り組みをすすめるとともに、適正な成果配分を追求する闘争を強化し、内需を拡大し、日本経済を縮小均衡、デフレから早期に脱却させ、持続可能な成長をめざす。
 そのために、マクロ的な観点から、すべての労働者のために1%を目安に配分を求め、労働条件の復元・格差是正に向けた取り組みをすすめる。同時に、「2012年度 連合の重点政策」を踏まえて設定した、@震災からの復興・再生、A日本経済の持続的・安定的成長軌道への復帰と雇用創出、人材育成、Bディーセントワーク、ワーク・ライフ・バランスの実現、C社会保障・税一体改革の実現、の4つの柱の実現を中心に政策・制度の実現の取り組みと一体となった運動を推進し、「働くことを軸とする安心社会」の構築に着実につなげていかなければならない。
2.すべての組合が取り組む課題(ミニマム運動課題)
 すべての組合が共闘して取り組む課題として、以下4つの項目を「ミニマム運動課題」として設定し、労働組合運動の求心力を高めるとともに、交渉結果の社会的波及をめざす。
(1) 賃金制度の確立・整備と賃金カーブ維持分の明示・確保
(2) 非正規労働者を含めたすべての労働者を対象とした処遇改善
(3) 企業内最低賃金協定の締結拡大と水準の引き上げ
(4) 産業実態をふまえた総実労働時間の短縮、時間外・休日労働の割増率の引き上げ
3.2012春季生活闘争の展開
 2012春季生活闘争の展開については、すべての労働者の処遇改善に向けて昨年同様、マクロ的観点から、すべての労働組合が1%を目安に賃金を含め、適正な配分を求めていく。なお、産業・企業によってそれぞれおかれた環境には違いがあることについて相互に理解し合う。
(1)賃上げ要求について
   格差是正、底上げ・底支えの観点から、すべての労働者を視野に入れ、すべての構成組織、企業別組合がおかれた状況のもとで、適正な成果配分を追求する闘争を展開する。低下した賃金水準の中期的な復元・格差是正に向けた取り組みを徹底し、すべての労働者のために、あらゆる労働条件を点検し、体系の歪みを是正するとともに、労働者の生活実感に沿う多様な取り組みを展開する。震災からの復旧・復興等労働者の頑張りに応えることも含め、適正な配分を追求し、デフレから脱却し、活力ある社会への転換をはかる。なお、賃金制度が未整備な組合は、構成組織の指導のもとで制度の確立・整備に向けた取り組みを強化する。連合が示す1歳・1年間差の社会的水準である5,000円を目安に賃金水準の維持をはかる。
 
(2)企業内最低賃金の取り組みの抜本強化
   「公正競争の確保」をはかり、特定(産業別)最低賃金の拡充の取り組みとの連携によりすべての労働者の処遇改善のため、企業内最低賃金の協定の締結拡大、水準の引き上げをはかる。企業内最低賃金は、その産業に相応しい水準で協定し、その協定をもとに特定最低賃金の水準引き上げに結び付けていくことが必要である。同時に、介護やサービス産業など第三次産業分野の新設をはかっていく。
 
(3)初任給について
   18歳高卒初任給の参考目標値 …… 163,000円
 産別方針をふまえ、初任給の決定に対して積極的に関与していく。
 
(4)一時金水準の向上・確保
   一時金の取り組みについては、生活防衛の観点も含め、一時金水準の向上・確保をはかることとする。
W.電力総連の基本方針
 電力関連産業で働く私たちは、国民生活と経済活動に欠かせない電力の安全・安定供給に向け、引き続き一体となって取り組んでいくものであり、その原動力となる働く者の使命感と誇りを守るため、人材の育成、技能・技術の維持継承に必要な基本的労働条件を維持していくこととする。その上で、社会水準との格差是正、自社水準の復元といった考え方は、労働組合としての基本的姿勢であり、その追求は引き続き堅持していく。なお、以下の5点については電力総連の基本方針として位置づける。
1. 賃金については、賃金カーブ維持分の確保に徹底的にこだわり、その上で加盟組合の実態に応じて、社会水準との格差是正、自社賃金の復元を目指した賃金改定に取り組む。
2. 賞与・一時金については、年間賃金の一部であり、安定的な生活給部分として年間4ヵ月を確保する。
3. 時間外割増率引き上げなどの法改正や法が定める努力義務への対応については、企業としての社会的責任でもあり、労使による真摯な取り組みを進めていく。
4. 電力関連産業に働く者全体の底上げを図るため、非正規労働者の労働条件全体に亘る待遇改善の取り組みを進める。
5. 自社の労働条件実態や経営状況を労働組合自らが把握し、その実態を踏まえた交渉を展開していく。特に、賃金水準が経年的に低下してきている組合は、その要因について労使による十分な検証を行うこととする。
X.具体的な取り組み
1.労使交渉・協議の充実への取り組み
 電力関連産業の健全な発展に向けては、労使交渉・協議の充実が欠かせないものであり、労使の信頼関係を前提として、団体交渉・労使協議のルールを労働協約として条文化するなど、充実に向けて取り組んでいく。また、構成総連は電力関連産業で働く者の雇用安定、安全・健康の確保、労働条件の底上げ、仕事と私生活の調和が図られる環境の整備などをテーマに、構成総連大の労使懇談会の充実に取り組む。
  電力総連「労使交渉・協議に関する指針」を基本とした労使協議会の充実。
  労使懇談会の充実
2.賃金の取り組み
  すべての加盟組合は事前準備として、自社の賃金実態把握を確実に行い、賃金カーブ維持分については、勤続年数に伴った技術・技能の習熟に対応した賃金の上昇分であり、「職場秩序を保つ(1年先輩の賃金に追いつく)」という考えの下、その確保に徹底的にこだわり、その上で加盟組合の実態に応じて、賃金水準の格差是正・復元をめざした賃金改定に取り組む。
(1)賃金カーブ維持分の確保
  賃金制度(昇給ルールが制度化されている)が確立している加盟組合はその賃金表を維持する。
  賃金制度(昇給ルールが制度化されている)が確立していない加盟組合は、賃金カーブ維持分を要求する。
  雇用安定を優先して、定期昇給相当分の凍結や削減などを行わざるを得なかった加盟組合は、それを回復する。

(2)賃金の「格差是正・復元」への取組み
  自社の賃金実態を把握し、電力総連ミニマム水準より低位にある実態や経年的に賃金水準が低下してきている加盟組合は、以下に掲げる指標を参考に、要求水準を決定し、賃金水準の格差是正・復元に積極的に取り組む。

@ 個別賃金水準が「電力総連ミニマム水準」を下回る加盟組合は、最低限必要な生計費を確保する観点から、まずはその格差是正に取り組む。

【電力総連ミニマム水準】
年齢 18歳 20歳 25歳 30歳 35歳 40歳 45歳 50歳
扶養 単身 単身 単身 配偶者+
子1
配偶者+
子2
配偶者+
子2
配偶者+
子2
配偶者+
子2
水準
(円)
153,800 162,300 183,600 219,500 277,500 310,700 337,000 357,600

A 経年的に賃金水準が低下してきている加盟組合は、その実態を把握し、社会水準(厚生労働省:賃金構造基本統計調査・規模計)をめざすという考え方に基づき、格差是正および復元に取り組む。なお、電力総連加盟組合300名以下の個別賃金30歳ポイント(単純平均)での指標を示すと次のとおりとなる。(参考)
 
指標1 ○社会水準との格差是正
  個別賃金が直近の社会水準と比較し低位にある場合は、中期的にその格差是正に取り組む。【1,500円】
指標2 ○自社賃金水準ピークへの復元
  自社賃金水準ピークへの復元をめざし、職場実態を踏まえ、中長期的にその復元に取り組む。【1,800円】
指標3 ○社会水準ピークとの格差是正
  連合全体としてめざす水準であり、職場実態を踏まえ、中長期的にその格差是正に取り組む。【2,000円】

(3)個別賃金水準の引き上げ
 自社の賃金実態や個別の事情等を勘案し、個別賃金水準の引き上げが必要と判断される加盟組合は、以下に掲げる指標等を踏まえ取り組む。

@ 社会水準をめざす加盟組合は、下表の目標水準を参考に、その獲得に取り組む。

【目標水準】
  目標水準T 目標水準U
高卒18歳(初任給) 163,000円
高卒20歳・勤続2年 170,000円 177,000円
高卒25歳・勤続7年 214,000円 238,000円
高卒30歳・勤続12年
(主要指標)
260,000円 289,000円
高卒35歳・勤続17年
(主要指標)
303,000円 343,000円
高卒40歳・勤続22年 348,000円 400,000円
高卒45歳・勤続27年 396,000円 461,000円
※電力総連賃金実態調査ならびに厚生労働省賃金構造基本統計調査の過去5年平均額を勘案し算出。
  目標水準Tは中位、目標水準Uは第3四分位。
※高卒18歳(初任給)については連合加盟組合における平均水準であり、初任給の労働市場性を考慮して設定。

A 賃金制度改定による影響の検証と回復
   過去において労使合意した賃金制度について、定期昇給原資等を減額改定した場合、その後の個別賃金水準の実態を把握し、自社の社会的位置取りや組合員の労働意欲向上を勘案し要求を行う。

B 賃金カーブの歪みや賃金分布の偏りの是正
 

 自社の賃金実態を把握し、歪みや偏りがあり、是正が必要と判断される場合は、その改善に取り組む。

賃金の取り組みの概念図
(4)配分交渉の充実
  生活の安定を確保し、公平公正でやり甲斐・働きがいにつながる配分を目指し、要求策定段階から配分交渉を重視した取り組みを行う。

(5)賃金制度の確立
  賃金制度・体系が確立されていない加盟組合は、賃金実態を把握し、自社の課題を明らかにした上で、労使による検討・協議の場を設置し、賃金制度・体系の確立に向け取り組む。特に、安定的な賃金水準を確保する観点から、定期昇給のルール化を図っていく。

(6)最低賃金協定の取り組み
  パートタイム労働者等も含めた電力関連産業に働くすべての労働者の企業内最低賃金として、以下の要求水準を踏まえて、組合ごとの最低賃金協定を締結する。
【最低賃金締結基準:電力総連ミニマム水準の18歳相当額として月額「153,800円以上」または時間額「890円以上」】
※電力総連ミニマム水準18歳相当額(153,800円)÷法定労働時間(174時間)≒890円

(7)初任給の引き上げ
  技術・技能の継承を図るうえで安定的な新規採用は必要であり、労働需給の情勢や同業他社との比較・分析を行い、電力関連産業が求める人材が確保できるよう各加盟組合で要求額を決定する。なお、電力総連ミニマム水準18歳相当額を下回っている加盟組合はその確保に向けて取り組む。
3.賞与・一時金の取り組み
  賞与・一時金については、年間賃金の一部として安定した生活を支える生活給部分を最低限確保することを基本として、次により要求を行う。また、夏冬型による年間要求・年間妥結を基本とする。
(1)要求水準
  「年間4ヵ月を最低水準」とし、過去の妥結実績、企業業績、生産性向上や職場実態などを勘案して、4ヵ月分に上積みを図った要求を行う。

(2)冬季分の扱い
  冬季分については、賃金引き上げ後のベースを使用し、夏季分に準じた扱いとする。

(3)支給日
  夏季分は6月上旬、冬季分は12月上旬とする。
4.仕事と私生活の調和が図れる環境の整備
(1)改正労基法(時間外割増率の引き上げ等)への対応
  2008年度第10回三役会議(2009.9.8)で確認した「法改正に伴う電力総連としての基本理念」を堅持した上で、次の内容を基本に取り組む。昨年の交渉で下記@の方針と異なる解決を図った加盟組合においても、近年の春季生活闘争における他の加盟組合の解決状況も踏まえ、法改正の趣旨を労使で共有化を図るなど、次年度以降の取り組みに繋げていくこととする。

@ 時間外割増率の引き上げについて
  改正法の内容である「1ヵ月60時間超過50%割増」について、企業規模や働き方に関わらず、すべての職場に適用させるため、適用が猶予される組合については要求を行う。

 改正法で努力義務とされた「限度基準告示(一定期間が1ヵ月の場合は45時間)を超える時間外労働は法定割増率を超える率とするよう努めること」に基づき、法定に張り付いている組合は、割増率30%以上の要求を行う。
 また、法定を超える率となっている組合においても30%以上となるよう取り組む。

  長時間におよぶ労働は、労働者の健康に影響を与えると考えられることから、時間外労働は所定労働時間を超過したものとし、時間外労働の積算方法については、平日・休日の区別なく合算することとする。

A 代替休暇について
 労働の対価は本来賃金で支払うことが原則であるとの考え方等を踏まえ、加盟組合は個別に判断することとする。

B 年次有給休暇の時間単位付与について

 有給休暇は本来一労働日を単位として取得するものとの考え方等を踏まえ、加盟組合は個別に判断することとする。ただし、職場ニーズ等により制度を導入する場合には、制度の運用状況や取得実績を確認しながら日数の拡大をする等、慎重に対応を行うこととする。

(2)年間総実労働時間の短縮
 労働者の心身の健康はもとより、ワーク・ライフ・バランスの実現に向けても、長時間労働を解消し、メリハリをつけた働き方ができる環境づくりが必要である。各加盟組合は、電力総連時短指針2008を踏まえ、年間総実労働時間1800時間達成をめざし、企業の対応を求めるとともに、労使一体となった取り組みを行うこととする。

@ 労働時間に関する労使協議の充実
 年間を通した労働時間に関する取り組みのフォローや、改善すべき事項について、労使の協議や話し合いを行い、協定化(議事録、覚書、確認メモを含む)を図るとともに、長時間労働解消に向けた労使行動計画の策定などに努める。なお、すべての加盟組合は、所定外労働時間や年次有給休暇取得率など、個人別の労働時間実績についてデータの開示を求め、半期ごとに労使確認を行うこととする。

A 年間所定労働時間短縮の取り組み
 年間の所定労働時間が2000時間を超えている加盟組合は、「電力総連時短指針2008」で確認した平成24年度末までに2000時間を上回る組合をなくすという目標に基づき、休日日数を増やすなど年間所定労働時間を2000時間以下にできるよう要求を行う。

B 所定外労働時間の削減等の取り組み
  36協定の特別条項について、長時間労働防止や労働者の健康障害防止の観点に立った締結を行う。その上で、36協定遵守のための時間外労働の基本ルールについて労使確認を行い、同時に職場内の周知徹底を図る。

 すべての組合員の休日労働時間を含む時間外労働を、1ヵ月45時間以下に抑えることを基本とし、少なくとも過労死につながるとされる1ヵ月100時間、ならびに2ヵ月連続80時間を超える過重労働につながらない業務運営を求める。

  過重労働に係わる医師の面談指導については、月間80時間を超過した者全員に実施することを基本に、月45時間超過者で健康への配慮が必要な者についても、その対象とすることを求める。

C 年次有給休暇の取得向上の取り組み
 労働者の心身の健康を確保する観点から、年次有給休暇の取得目標を、電力総連時短指針2008の「年間10日以上」とし、特に、取得日数が5日未満の組合員をなくすことをめざし、計画取得や連続取得など、実態に応じた制度や対策を求める。

 年次有給休暇の完全取得が概ねできている組合は、初年度付与日数15日以上や年間20日付与となるまでの勤続年数の短縮を要求する。


(3)次世代育成支援対策
  2005年から従業員301名以上の企業に策定・届出が義務付けられている一般事業主行動計画は、300名以下の企業でも同様の努力義務が課せられており、且つ101名以上の企業は2011年4月から義務化された。よって、義務化された当該組合は、都道府県労働局へ提出する行動計画について、法の趣旨に沿って会社と協議を行うこととする。

(4)家族的責任が果たせる制度の整備・充実
@ 改正育児・介護休業法への対応
  仕事と子育ての両立支援等を一層推進するため、男女ともに子育て等をしながら働き続けることができる雇用環境を整備するため、改正法が2010年6月30日に施行された。100名以下の企業においても、一部の改正内容に猶予措置がとられていたが、2012年7月1日から適用されることを踏まえ、2006年度第5回三役会議(2007.8.3)で確認した「電力総連 仕事と私生活の調和」の考え方を基本として、当該組合は対応を行うこととする。

A その他
  出産、子育てや介助・介護をはじめ、単身赴任者支援等、家庭内や地域社会での家族的責任を果たすための制度について、整備・充実を図るとともに、制度利用の促進に向けて、労使の協議や話し合いを行い、制度取得を阻害する要因の解消に取り組む。特に、介護に関する制度については、制度利用者の増加がみられることから、職場ニーズを把握し、充実に向けた取り組みを行う。併せて、休業者の職場復帰後の支援方策、欠員時の職場対応ルールの確立に向けて取り組む。
5.将来にわたって安心できる労働条件の確保
(1)高年齢者雇用安定法見直しへの取り組み
@ 希望者全員を対象とした65歳までの雇用確保
 雇用と年金を確実に接続させるため、高年齢者雇用安定法で定める3つの雇用確保措置(65歳までの定年の引き上げ、継続雇用制度の導入、定年の定めの廃止)のいずれかを導入する。このうち継続雇用制度を導入し、その対象者の基準を労使協定で設定している場合は、労使協定を改定して希望者全員を対象とした65歳までの継続雇用とする労働協約の締結に向けた労使協議を行う。

A 賃金制度の再設計
 2013年から開始される老齢厚生年金の報酬比例部分の支給開始年齢引き上げにより、年金を全く受給できない期間が生じるため、もうひとつの公的給付である雇用保険の高年齢者雇用継続給付と合わせた収入水準の維持に向けた賃金制度の再設計について労使協議を行う。

B 高齢者に適した職務・仕事、労働時間の確保
 高齢者の就業の場を確保するため、高齢者のニーズに対応する賃金、労働時間などの労働条件、高齢者が働きやすい職場の創出や、作業環境、能力開発、健康管理などについて、労使協議を行う。

(2)退職一時金制度の確立・整備の取り組み
  退職一時金制度が確立されていない加盟組合は、中小企業退職共済制度などを活用して、退職一時金制度の確立をめざした取り組みを進める。また、制度が確立されている加盟組合は、電力総連のクリア水準である1550万円以上の確保をめざす。

(3)災害補償制度の充実の取り組み
  電力関連産業の社会的使命を果たす重責において、犠牲となった組合員の業務上災害補償制度は、人命という何ものにも変えがたい価値への補償という労使共通の理念をもって、すべての加盟組合で電力総連のクリア水準3500万円以上(業務上死亡・有扶者)の補償額をめざす。
6.非正規労働者の待遇改善の取り組み
  働き方の二極化やワーキングプアが社会的な課題となっている中、パートタイム労働者等の待遇改善は、電力関連産業で働く者全体の底上げを図るものと位置付け、「電力総連 パートタイム労働者等の均衡待遇にむけた取り組み指針」に基づき、同じ労働者の視点から、パートタイム労働者等の労働条件全般に亘る待遇改善の取り組みを進める。
(1)パートタイム労働者等の待遇改善の取り組み
 各企業が雇用しているパートタイム労働者等について、労働条件等の実態把握や、ニーズを把握するためのアンケートや対話活動を実施し、当該者および労使の三者で共通認識を図り、今後の労働条件向上と組織化に向けた取り組みにつなげる。
 正社員と同視すべきパートタイム労働者等の正社員化または正社員化に向けたルール作りを行う。
 正社員とは異なる働き方をしているパートタイム労働者等についても、職務内容や労働時間等を勘案し、昇給ルールの明確化、一時金の支給、通勤費の支給、慶弔休暇等の整備、その他福利厚生制度等について、正社員との均衡待遇に向けた取り組みを行う。
  時給引き上げについては、最低賃金協定額の890円をめざし、職務内容および責任、契約期間の実態、今年度の地域別最低賃金引き上げ額(平均7円)等を踏まえた要求または要請を行う。なお、890円を超えている場合においても、同様の考え方に基づいた取り組みを行う。

(2)派遣労働者の取り組み
  同じ職場で働く派遣労働者等についてCSRの観点から、業務内容、受入規模、契約期間、就業場所、契約条件、契約会社名を対象に情報開示を求めるなど、実態把握の取り組みを行う。
7.社会的な課題への対応
(1)裁判員制度に関わる取扱いへの対応
   裁判員法により出廷等を求められた場合の取扱いについて、引き続き有給扱いを求めるとともに、その他の公民権の取り扱いに関する労働協約の締結に取り組む。なお、公民権行使に関して労働協約を締結している組合についても、裁判員法の適用について、労使確認を行う。
 
(2)政策制度要求への取り組み
   連合は「運動の両輪」として、勤労者全体の雇用・生活条件の課題解決に向け、政策制度の取り組みを推進するとしていることから、連合の中核産別としての責任と役割を果たすため、積極的に参画していく。

8.加盟組合の交渉推進強化の取り組み
 加盟組合の賃金水準や労働条件の維持向上を図るため、電力総連・構成総連は、加盟組合の要求案策定の段階から、次の考え方に基づいて取り組みを強化する。
 賃金実態把握が未実施、電力総連ミニマム水準に未達、賃金カーブ維持分が確保できていない等の加盟組合を絞り込み、重点指向で適切な支援を行う。
 賃金引上げモデルプランを参考に、加盟組合の実態も踏まえて具体的な展開を図る。
 自社の経営実態を適切に把握するため、分析ツールを活用しながら支援を行なう。
 業種別部会毎の賃金カーブ維持分の一部として、定期昇給相当分の情報開示を加盟組合の要求策定前に行い、電力総連内の相場形成に努める。なお、その他の加盟組合においても、構成総連内に対して情報開示に努める。
 企業間の親子関係や工事等の受注・発注間に存在する取引関係が、春闘交渉に悪影響を与えることがないよう、各構成総連で開催される労使懇談会や個別オルグなどを活用して、交渉環境を整えていく。
Y.進め方
  連合2012春季生活闘争の進め方を踏まえた上で、電力総連・構成総連・部会・加盟組合の連携を十分に図りながら電力総連の総力を結集して取り組むこととする。
 また、連合の各種共闘と連携を図りながら、有利解決に向けて取り組む。
1.要求書の提出
 要求書の提出については、平成24年2月20日を統一要求日として、一斉に実施する。ただし、事情により一斉要求への対応が難しい加盟組合は、遅くとも3月末までに要求する。
2.交渉推進体制
(1)交渉体制
 電力総連は、中央交渉推進委員会を設置し、構成総連・加盟組合の交渉推進に向けて積極的に支援・調整を行う。
 構成総連および部会は、交渉推進委員会を設置して各々の責任体制を確立し、加盟組合の早期かつ有利な解決に向けて積極的に支援・調整を行う。
 加盟組合は、構成総連や部会と連携を図り、自力・自決を基本に精力的に交渉を展開する。
(2)交渉の促進
 中央交渉推進委員会は、交渉状況を踏まえ加盟組合の交渉を有利に展開するため、「闘争の進め方」を発信する。加えて、連合中小共闘が発信する方針について、電力総連内の実態も踏まえたうえで、中小組合の賃金引き上げ交渉が有利に進められるよう同様に発信する。
 構成総連は、加盟組合の交渉推進を図るため、統一交渉ゾーンを設け、構成総連と加盟組合が一体となった交渉を展開する。特に、中小組合の交渉推進に向けて支援を強化する。
 春季生活闘争に係わる情報は、交渉を促進するため適宜発信していく。
3.解決時期
  交渉のヤマ場は、連合の解決促進ゾーンを踏まえ、遅くとも4月末までの解決をめざす。
以上

平成24年2月15日
第1回中央交渉推進委員会
電力総連2012春季生活闘争 進め方(その1)
 我が国の経済は、東日本大震災の影響により依然として厳しい状況にあるものの、緩やかに持ち直しており、先行きにつきましても、各種の政策効果などを背景に、緩やかな持ち直し傾向が続くと見られています。
 一方、電力関連産業を取り巻く環境は、原子力発電所の再稼動が見通せない中、火力燃料費が増加し、販売電力量についても、一昨年夏の猛暑の反動および電力需給逼迫から節電が広がったことから対前年比で減少するなど、収支が悪化しています。また、政府においては、原子力政策やエネルギーミックス、地球温暖化対策などについて、これまで以上に検討を加速させています。
 電力総連は、電力の安全・安定供給に向け、引き続き一体となって取り組んでいくためには、その原動力となる働く者の使命感と誇りを守ることが必要であり、人材の育成、技能・技術の維持継承に必要な基本的労働条件を維持していくこととする。その上で、低下傾向にある加盟組合の賃金水準について、社会水準との格差是正、自社水準の復元といった、「電力総連2012春季生活闘争方針」に基づき、構成総連、部会および加盟組合の連携を強化し、以下のとおり交渉を推進していくこととする。

1.事前準備
 構成総連、部会および加盟組合は、電力総連2012春季生活闘争方針に基づき、申入れや要求書の提出および本格的交渉に向けた事前準備に万全を期す。
 また、早期かつ有利な解決をめざして精力的な交渉が展開できるよう交渉体制を確立する。

2.要求書提出および申入れ
 要求書の提出および申入れについては、平成24年2月20日(月)に一斉実施する。
 ただし、事情により一斉要求への対応が難しい加盟組合は、早期交渉を念頭に遅くとも3月末までに実施する。

3.交渉推進

(1)

 電力総連内の連携や情報共有化ならびに交渉推進の強化を図るため、交渉推進体制を【別紙】のとおり確立し、加盟組合の交渉を支援する。
(2)  電力総連は、中小加盟組合の交渉が有利に進められるよう、継続的な賃金実態把握・分析および経営分析の支援を行うとともに、交渉の主張点などの情報を発信していく。
(3)  構成総連は、全体情勢の共有化など時機をとらえて効果的なオルグを実施するなど、加盟組合の早期かつ有利な解決を支援する。
(4)  加盟組合は、構成総連が設定する統一交渉ゾーンを念頭に交渉日程を組み立て、有利解決に向けて交渉の促進を図る。




4.当面の日程
 第2回中央交渉推進委員会を3月6日(火)に開催することとし、それ以降の日程については、加盟組合の交渉状況、連合や他産別の動向などを総合勘案して決定する。

5.その他

(1)

 春季生活闘争に関する情報については、適宜適切に「2012春季生活闘争情報」により発信する。
(2)  連合のインフラ・公益共闘連絡会議や中小共闘、パート・有期契約共闘との連携を図り、連合の中核産別としての役割を踏まえ、加盟組合の底上げに資する取り組みを進める。

以上
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