電力総連
ホーム アクセス サイトマップ ENGLISH 個人情報保護方針
電力総連とは?
私たちの取り組み
私たちの考え
仲間になろう
福祉・共済制度
ふれあいプロジェクト
ふれあい広場
機関紙
関連ウェブサイト

電力総連ホーム > 私たちの取り組み > 春季生活闘争

 2014 春季生活闘争
電力総連2014春季生活闘争 進め方(その3)
検集部会 2014春季生活闘争 妥結結果
電保部会 2014春季生活闘争 妥結結果
電工部会 2014春季生活闘争 妥結結果
電力部会 2014春季生活闘争 妥結結果
電力総連2014春季生活闘争 進め方(その2)
電力総連2014春季生活闘争方針を決定!
〜2013年度第1回中央委員会を開催〜



○ 電力総連2014春季生活闘争 進め方(その3)
 電力総連2014春季生活闘争については、第2回中央交渉推進委員会で確認した進め方(その2)を踏まえ、3月31日現在で、212組合が要求書を提出し、先行する部会をはじめとした66組合が解決に至っている。
 賃金については、解決した全ての加盟組合が賃金カーブ維持分を確保している。また方針に基づき粘り強い交渉を展開した結果、一部の組合において賃金改定を獲得している。
 賞与・一時金については、取り巻く環境が厳しい中においても、安定的な支給や組合員の貢献努力などを背景とした交渉を展開し、概ね昨年の妥結水準以上での解決で推移している。
 以上を踏まえ後続する加盟組合は、今次春季生活闘争方針である「雇用確保を前提として、人材の確保・育成、技術・技能の維持継承に必要な基本的労働条件を維持した上で、電力関連産業に相応しい労働条件を追求し、組合員とその家族の生活の安定と安心や労働意欲の向上につなげていく」ためにも、電力総連・構成総連と情報連携を密にし、下記の進め方により要求の実現に向けて、最後まで粘り強く交渉を展開する。
I.具体的な取り組みについて
1.賃金引き上げ
 連合大においては、平均賃金方式で1,962組合(昨年同期比431組合増)、回答額(組合数加重平均)は6,495円(昨年同期比1,211円増)となっている。
 連合大の解決状況も踏まえ、賃金カーブ維持分については、勤続年数に伴った技術・技能の習熟に対応するものであるとの考えのもと、その確保に徹底的にこだわり、その水準を確保する。
 さらに、賃金改定に取り組む組合は、景気回復と物価上昇局面にあることを踏まえた実質生活水準の維持・向上の確保や、社会水準との格差是正・復元をめざした交渉を強化する。
2.賞与・一時金
 賞与・一時金については、連合大における解決が5.19ヵ月で推移していることや、電力総連内においては、概ね昨年の妥結水準以上で解決していることを踏まえ、要求趣旨に沿った水準の獲得を目指し交渉を強化する。
3.仕事と私生活の調和が図れる環境の整備
 改正労働基準法(時間外割増率の引き上げ等)の「1ヵ月60時間超過50%割増」への対応については、近年の春季生活闘争における解決状況として、適用猶予企業でも約5割の組合が合意できていることを踏まえ、交渉を強化する。また、年間総実労働時間の短縮に向けては、心身の健康や過重労働防止の観点など、安全衛生とも密接にかかわることから、要求の実現に向け交渉を強化する。
4.将来にわたって安心できる労働条件の確保
 改正高年齢者雇用安定法への対応については、法改正の趣旨に基づき、希望者全員を対象とした65歳までの継続雇用とする労働協約の締結を行うとともに、賃金制度の再設計や、高年齢者に適した職務・仕事、労働時間の確保など、将来にわたって安心でき、働きがいや活力につながる労働条件をめざした交渉を強化する。
 また、電力関連産業の社会的使命の重責や、組合員とその家族の安心につなげる観点からも、退職一時金および災害補償制度の整備・充実に向けて、具体的成果が得られるよう交渉を強化する。
5.その他の要求項目について
 その他の要求項目については、要求の趣旨に沿った前進が一歩でも図れるよう交渉を強化する。
 ただし、今次交渉での実現が難しいと判断される要求項目については、交渉の追い込みを図りながら一定の整理に向けて見極めを行い、今後の具現化に向けた取り組みにつなげる。
6.交渉日程について
 加盟組合は、前述の取り組みを踏まえ、構成総連と連携を図りながら、自立・自決を基本として、できる限りの早期解決を念頭に置き、4月中の解決をめざす。
 なお、事情により要求書の提出に至っていない組合は、構成総連と連携を図りながら、方針に沿った日程での解決に向けて、早期の要求書提出に努力する。
 また、構成総連内の交渉状況を踏まえ、統一交渉ゾーンを効果的に設け、一体となった交渉を展開する。
以 上



○ 検集部会 2014春季生活闘争 妥結結果

  賃金・手数料改定額 賞与・一時金
(年間総額)
妥結日
ほくでん
サービス
パートナー
社員
改定なし 570,586円 3月31日
社員 3,500円 半期 571,000円
東北 検 針 半期 171,300円 3月29日
集 金 半期 314,600円
北陸 検 針 509,633円 3月19日
集 金 865,512円
中国 検 針 半期 297,800円 3月27日
集 金 半期 355,300円
四国 検 針 半期 199,800円 3月24日
集 金 半期 261,500円



○ 電保部会 2014春季生活闘争 妥結結果

  妥結結果 妥結日
賃金改定
(組合員平均方式)
賞与(夏季支給額)
北海道 766,300円 3月25日
東北 0円 770,000円 3月25日
関東 0円 854,100円 3月25日
中部 0円 809,000円 3月25日
北陸 700円 業績連動 3月25日
関西 0円 781,000円 3月25日
中国 0円 760,000円 3月25日
四国 2,430円 762,000円 3月25日
九州 1,000円 820,000円 3月25日
沖縄 500円 552,700円 3月25日



○ 電工部会 2014春季生活闘争 妥結結果

  妥結結果 妥結日時
賃金改定 一時金(年間)
北海電工 1,150,000円 3月27日
ユアテック 1,210,000円 3月27日
関電工 0円 1,200,000円 3月27日
北陸電工 0円 業績連動方式 3月27日
トーエネック 0円 1,350,000円 3月27日
シーテック 1,210,000円 3月27日
きんでん 0円 業績連動方式 3月27日
中電工 0円 業績連動方式 3月27日
四電工 0円 業績連動方式 3月27日
九電工 0円 1,320,000円 3月27日



○ 電力部会 2014春季生活闘争 妥結結果

  妥結結果 妥結日
賃金 賞与(年間総額)
東北電力 半期 498,000円 3月12日
北陸電力 1,410,000円 3月12日
中国電力 半期 602,000円 3月12日
四国電力 半期 410,000円 3月12日
沖縄電力 1,437,000円 3月12日
電源開発 業績連動 3月12日
日本原燃 半期 425,000円 3月31日



○ 電力総連2014春季生活闘争 進め方(その2)
 電力総連2014春季生活闘争については、第1回中央交渉推進委員会で確認した進め方(その1)を踏まえ、多くの加盟組合が2月19日に一斉要求を行い、構成総連と連携を図りながら精力的な交渉を展開している。
 今次闘争においては、電力の安全・安定供給に向け一体となって取り組んでいる働く者の使命感と誇りを守るためにも極めて重要な闘いであり、雇用確保を前提として、人材の確保・育成、技術・技能の維持継承に必要な基本的労働条件を維持し、その上で、電力関連産業に相応しい労働条件を追求し、組合員とその家族の生活の安定と安心や労働意欲の向上につなげていくことへの組合員の期待は大きい。
 以上の認識に立ち、連合の闘い方を踏まえながら、下記により今後の交渉を進めていく。
I.要求書提出について
 要求書提出に至っていない組合は、構成総連と連携を図り、「電力総連2014春季生活闘争方針」を踏まえ、早期交渉を念頭に遅くとも3月末までに実施する。
II.具体的な取り組みについて
1.賃金引き上げ
 賃金カーブ維持分については、勤続年数に伴った技術・技能の習熟に対応するものであるとの考えのもと、その確保に徹底的にこだわり、その原資を確保する。
 さらに、賃金改定に取り組む組合は、景気回復と物価上昇局面にあることを踏まえ、実質生活水準の維持・向上をめざした交渉を強化する。また、企業活動の源泉である人への投資が、人材確保・育成と技術・技能の維持継承をはじめ、生産性向上、企業の持続的な発展につながっていくとの考えに基づき、格差是正・復元をめざした交渉を強化する。
2.賞与・一時金
 賞与・一時金については、要求の趣旨を踏まえながら、安定した生活を支える生活給部分年間4ヵ月を最低限確保することにこだわり、交渉を強化する。
 その上で、組合員の経営諸施策への貢献や懸命な努力に報いるため、適正な成果配分の観点に立って、上積みを図るべく粘り強く交渉を展開する。
3.仕事と私生活の調和が図れる環境の整備
 改正労基法(時間外割増率の引き上げ等)の「1ヵ月60時間超過50%割増」への対応については、近年の春季生活闘争における解決状況として、適用猶予企業でも約5割の組合が合意できていることを踏まえ、交渉を強化する。また、総実労働時間の短縮に向けては、心身の健康や過重労働防止の観点など、安全衛生とも密接にかかわることから、要求の実現に向け交渉を強化する。
4.将来にわたって安心できる労働条件の確保
 改正高年齢者雇用安定法への対応については、法改正の趣旨に基づき、希望者全員を対象とした65歳までの継続雇用とする労働協約の締結を行うとともに、賃金制度の再設計や、高齢者に適した職務・仕事、労働時間の確保など、将来にわたって安心でき、働きがいや活力につながる労働条件をめざした交渉を強化する。
 また、電力関連産業の社会的使命の重責や、組合員とその家族の安心につなげる観点からも、退職一時金および災害補償制度の整備・充実に向けて、具体的成果が得られるよう交渉を強化する。
5.非正規労働者の待遇改善
 パートタイム労働者等については、要求の有無に関わらず、まずは労働条件等について実態把握を行い、当該者および労使三者での共通認識を図るとともに、改正労働契約法への対応について労使協議を行う。その上で要求・要請を行っている組合は、待遇改善に向けて一歩でも前進が図られるよう交渉を強化する。
 また、同じ職場で働く派遣労働者については、業務内容、受入規模、契約期間、就業場所、契約条件、契約会社名を対象に情報開示を求めるなど、実態把握の取り組みを図るとともに、改正労働者派遣法の対応について、法令遵守の観点から労使において確認を行う。
III.交渉の進め方について
1.電力総連
 電力総連は、加盟組合の交渉が有利に進められるよう、引き続き賃金実態把握・分析や経営分析の支援を行う。また、部会や加盟組合の交渉状況について、各構成総連と共有化を図ることとし、連合大の春闘に関する方針や情勢についても、適時情報提供を行っていく。
2.構成総連
 構成総連は、統一交渉ゾーンの設定ならびに交渉推進委員会を適宜開催し、加盟組合の有利解決に向けて交渉促進を図っていく。また、交渉が難航している加盟組合に対しては、電力総連と連携しながら個別対応も含め支援を強化する。
3.加盟組合
 加盟組合は、構成総連や業種別連絡会と連携を図り、先行する組合や同業他社の交渉状況について把握し、統一交渉ゾーンを活かしながら、効果的な交渉日程を配置するなど、要求の趣旨に沿った解決が図られるよう精力的に交渉を展開する。
IV.日程について
1.解決時期
 3月中の解決を目指して最大限の取り組みを行う。遅くとも4月中の解決へ向けて鋭意交渉を強化する。
2.会議開催
 第3回中央交渉推進委員会については、4月3日(木)に開催する。
以 上



■ 電力総連2014春季生活闘争方針を決定!(2014.2.13)
〜電力総連−構成総連−部会−加盟組合の連携を強化し、強力に交渉を展開〜
 電力総連は、2月13日(木)に東京都内において、「2013年度第1回中央委員会を開催し、電力総連2014春季生活闘争の方針を決定した。これに基づき、各構成総連および各加盟組合は、人材の確保・育成、技能・技術の維持継承に必要な基本的労働条件を維持していくことを基本とし、電力総連統一要求日(2014年2月19日)に向け、要求準備を進めていくこととする。また、同日、第3回三役会議にて中央交渉推進委員会の設置を確認し、引き続き第1回中央交渉推進委員会において、「電力総連2014春季生活闘争 進め方(その1)を確認した。
岸本会長あいさつ
岸本会長あいさつ
2014春季生活闘争方針について提起する蜷川局長
2014春季生活闘争方針について提起する蜷川局長
議長の原電総連 山本中央委員
議長の原電総連 山本中央委員
満場一致で確認
満場一致で確認


平成26年2月13日
第1回中央委員会
電力総連2014春季生活闘争方針
T.はじめに
   2020年に東京でのオリンピック開催が決定されるなど明るい話題に沸く日本は、景気がゆるやかな回復基調にある中で、デフレからの早期脱却と経済再生の実現に向け取り組みを進めている。一方、東日本大震災の被害を受けた地域では、多くの課題を抱えながらも、被災された方々への支援や被災地域のまちづくり、産業支援と雇用創出など、一歩ずつ復興に向けた取り組みが進められている。

 そのような中、電力関連産業の現場では、原子力発電所の長期運転停止に伴い需給逼迫が常態化する中での電力の安全・安定供給の確保、事故を教訓とした原子力施設の新たな規制基準への対応、電気料金改定を巡る諸課題への対応、福島第一原子力発電所事故における中長期的課題への対応や汚染水処理への対応など、電力関連産業が一体となって懸命な努力を重ねている。さらには、度重なる台風や大水害、竜巻など自然災害による設備被害に対しては、ライフラインを支える者としての強い使命感を持って早期復旧に努めてきた。

 一方、政府においては、新たな「エネルギー基本計画」の閣議決定をめざした論議が大詰めを迎えている。また、「電力システム改革」については、2013年4月2日に閣議決定された「電力システムに関する改革方針」に基づき、第185回臨時国会において、第1弾の電気事業法改正案が成立した。また、第186回通常国会には、第2弾の電気事業法改正案が提出される予定であり、電力関連産業は大きな変革期を迎えようとしている。これらの情勢に加え、原子力発電所をはじめとした原子力施設の今後の動向や、これまでにない厳しい経営環境の中での経営合理化などにより将来不安が拭えない状況が続いている。しかしながら、豊かな国民生活と持続可能な経済活動には、電力の安全・安定供給が欠かせないものであり、今後とも強い使命感に裏付けられた高い現場力を維持しつつ、職場組合員が自信と誇りを持ち、一体となって取り組む環境を如何につくっていくのか労使に課せられた極めて重要な課題となっている。

 このような中で迎える今次春季生活闘争は、さまざまな職場で働く組合員の強い使命感を守り、高い現場力を維持継承しながら、電力関連産業を将来にわたり健全に発展させていくため、雇用確保を前提として「人材の確保・育成、技術・技能の維持継承に必要な基本的労働条件を維持していく」ことを基本とし、産別の持つ総合力を最大限発揮するとともに、電力総連−構成総連−加盟組合が連携のうえ進めていくこととする。
II. 取り巻く情勢
1.経済社会情勢
日本経済の情勢について1月の月例経済報告は、景気は緩やかに回復しているとし、先行きについては景気回復の動きが確かなものとなることが期待されるとしながらも、海外景気の下振れが景気を下押しするリスクとしている。2013年7〜9月の実質経済成長率は0.5%(年率換算1.9%)と4四半期連続でプラス成長となり、政府も「内需の動きに底堅さ見られ、景気が引き続き上向いている」との見方を示しているが、個人消費の減速が影響したことにより、4月〜6月期の実質経済成長率に比べ成長ベースは弱まっている。また、公共事業頼みの経済成長も長続きは期待できず、持続的な成長を果たすには、個人消費の下支えや企業の設備投資を促す必要がある。一方、消費者物価指数(生鮮食品を除く総合)は対前年同月比では0.7%の上昇となっており、特にエネルギー関係(電気代、都市ガス代、プロパンガス、灯油及びガソリン)費用が増加しており、家計への影響も出始めている。
2013年度の企業業績見通しは、多くの業種で経常増益、あるいは経常赤字額の縮小が予想されており、2012年度第4四半期に明らかとなった回復基調が一層強まっている。なかでも、円安の恩恵を受ける輸出産業の増益が大きいものと想定されている。
2013年11月の完全失業率は4.0%、有効求人倍率は1.00倍と改善しつつあるが、若年層の雇用状況は依然として厳しく、24歳以下の完全失業率は6.8%と他の世代に比べても高水準にとどまっている。社会のニーズと若者の就業希望とを調整する機能も求められており、新規学卒者の採用拡大と就職促進は引き続きの課題である。
労働者の雇用・労働条件は傷んだまま放置されており、復元への道筋がみえていない。現状をみれば、雇用労働者の38.2%、2,043万人が非正規労働者であり、給与所得者の23.9%、1,100万人近くが年収200万円以下の状況にある。また、生活保護世帯・受給者は増加を続けており、2013年8月時点で、159万世帯、216万人にのぼり、受給者数については2010年に200万人を上回ったまま下がる兆候がない。2011年の世帯所得は1世帯あたりの平均所得が548万円と過去最高を記録した1994年と比べて100万円以上下回っており、家計は危機に瀕している。一般労働者の労働時間は、年換算で2,030.4時間と前年を上回る値で推移しており、高止まりの状況は改善されていない。
賃金水準については、企業規模5名以上の一般労働者の現金給与総額でみるとピークであった1997年と2012年の差は▲4.2ポイント(2011年▲4.1ポイント)と改善の兆しが見えない。
2.経営環境
2013年9月、国内で唯一稼働していた大飯発電所3・4号が定期検査に入り、日本国内における稼働中の原子力発電所は「ゼロ」となった。現在、新規制基準への適合性確認申請は、7社16基(2013年12月末現在)が提出しているが、再稼働時期の見通しはたっていない状況にある。
一方、エネルギー政策については、政府において、新たな「エネルギー基本計画」の閣議決定をめざした論議が大詰めを向かえている。また、「電力システム改革」については、2013年4月2日に閣議決定された「電力システムに関する改革方針」に基づき、広域的運営推進機関の創設等とともに、小売全面自由化や法的分離による送配電部門の中立性の一層の確保等に向けたプログラム規定を盛り込んだ第1弾の電気事業法改正案が第185回臨時国会で成立した。また、「総合資源エネルギー調査会 基本政策分科会」の下に設置された「制度設計WG」における論議を踏まえ、第186回通常国会には、小売全面自由化や新たな供給力確保策等を柱とする第2弾の電気事業法改正案が提出される予定である。
電力各社の第2四半期決算は、料金改定や燃料費調整制度による電灯・電力料単価の上昇などから売上高が増加している。経常損益は、工事の実施時期の繰り延べや経営効率化などにより改善傾向にあるものの、原子力発電所の運転停止による火力燃料費が増加したことなどから収支悪化が継続している。通期見通しは、見通すことが難しい状況であるため数社を除き未定としている。また、各社は電力の安定供給や燃料調達への対応など厳しい状況にある中で、10社中6社が電気料金を改定し、1社が申請中である。今後も経営状況によっては値上げや再値上げを検討しなければならない可能性もある。
各企業の経営環境は、電力会社による設備投資抑制の継続に加え、競争発注の拡大などから、一層厳しさが増しているものの、一部においては、民間設備投資の回復や発注量の増加などから、経営環境の改善が図られるなど、業種や地域によって差異が生じている。
各企業の経営基盤強化を目的とした経営効率化は依然として重要な課題であり、協力会社も含めグループ企業全体の総合力発揮と収益力強化を図っていくことが重要となっている。
職場においては、原子力発電所の長期運転停止に伴い需給逼迫が常態化する中での電力の安全・安定供給の確保や事故を教訓とした原子力施設の新たな規制基準への対応など、電力関連産業に集うすべての仲間が一体となり懸命な努力を重ねている。また、経営環境の悪化に伴う電気料金の値上げやグループ企業全体でのさらなる経営効率化への対応など、取り巻く状況を踏まえ職場が一体となって取り組むとともに、度重なる台風や大水害、竜巻などの自然災害による設備被害に対しても強い使命感のもと早期復旧に努めている。
III. 連合の方針(抜粋)
1.2014春季生活闘争のポイント
 従来からの主張である「デフレから脱却し、経済の好循環をつくり出す」ことを実現するための「底上げ・底支え」「格差是正」に向けた取り組みと位置付け、すべての働くものの処遇改善に向けて邁進していく。
 また、経済成長と整合ある所得の向上をはかっていくことが最優先かつ今後に向けた重要なステップとなる。加えて、景気回復と物価上昇の局面にあることを踏まえると経済成長と所得向上を同時に推し進めていかなければ、いわゆる「悪いインフレ」となり、社会が混乱する。
 したがって、すべての構成組織は、月例賃金にこだわる闘いを進め、定昇・賃金カーブ維持相当分(約2%)を確保し、過年度物価上昇分はもとより、生産性向上分などを、賃上げ(1%以上)とし求め、格差是正・配分のゆがみの是正(1%を目安)の要求を掲げ、「底上げ・底支え」「格差是正」に全力をあげる。
 そのためにも、企業間における公正取引の遵守やサプライチェーン全体での成長戦略などを通じた、商品・サービスにふさわしい価格での取引ができる社会の実現など、社会における様々な格差やゆがみを是正し、公正性を確保する取り組みを進め、「働くことを軸とする安心社会」の実現に向け、デイーセント・ワークの実現を追求し、職業訓練や就労支援、ワーク・ライフ・バランスの実現などの取り組みを進めていく。
2.具体的な要求項目
(1) 賃上げ要求
  1) 月例賃金
    1. 賃金カーブ維持分を確保し、所得と生活水準の低下に歯止めをかける。加えて景気回復と物価上昇局面にあることを踏まえて、経済成長と所得向上を同時に推し進め、デフレからの脱却をめざすとともに、低下した賃金水準の中期的な復元・格差是正、体系のゆがみ等の是正に向けた取り組みを推進する。
    2. 規模間格差や男女間格差の実態把握とその是正をはかることや、正社員と非正規社員との均等・均衡処遇の実現をはかるために、個別銘柄の賃金水準を重視した取り組みを進める。具体的には、組合員の個別賃金実態を把握し、賃金水準や賃金カーブのゆがみ、格差是正の必要性の有無等の把握に努め、これらを改善する取り組みを強化する。構成組織は個別銘柄でふさわしい賃金水準を設定し、実現をめざした運動を展開する。
    3. 賃金制度が未整備である組合は、構成組織の指導のもとで制度の確立・整備に向けた取り組みを強化する。連合が示す1年・1歳間差の社会水準である5,000円を目安に賃金水準の維持をはかる。具体的な設定にあたっては、連合方針を踏まえ、構成組織が決定する。
  2) 企業内最低賃金
    1. すべての労働者の処遇改善のため、企業内最低賃金の協定の締結拡大、水準の引き上げ、および適用労働者の拡大をはかる。このためすべての組合は指定賃金の要求を行い、協定化をはかる。
    2. 企業内最低賃金は、その産業の公正基準を担保するにふさわしい水準で協定する。
    3. すべての賃金の基礎である初任給について社会水準を確保する。
18歳高卒初任給の参考目標値…165,400円
  3) 一時金
     月例賃金の引き上げにこだわりつつ、年収確保の観点も含め水準の向上・確保をはかることとする。
 
(2) 規模間格差の是正(中小の賃上げ要求)
   中小の取り組みにおいては、賃金の底上げ、および生活の基礎である月例賃金の引き上げにこだわり、賃金カーブ維持分の確保のみならず賃金の引き上げを積極的に求めていく。同時に、適正な取引関係の確立、公契約基本法・公契約条例の制定に関する取り組みを強化し、中小企業労働者の生活や労働条件等を確保する。
 
(3) 非正規労働者の労働条件改善
   すべての構成組織は「非正規共闘」に結集し、その体制の強化をはかり、非正規労働者の処遇改善に向けて取り組んで行く。具体的な取り組みにあたっては、構成組織・単組の実情に応じて中期的重点項目を設定し、均等・均衡処遇実現を含めた総合的な労働条件向上へ向けた取り組みを推進する。
 
(4) 職場における男女平等と男女間の労働条件格差の是正
  1) 改正男女雇用機会均等法の定着・点検に向け交渉・協議を行い、できる限り実証的なデータに基づき点検・検証を行う。
  2) 男女間賃金格差の是正については、個別賃金実態調査に基づいて「見える化」を図り、実態と要因を把握・点検し、改善へ向けた取り組みを進める。
  3) 処遇における男女間格差が明らかな場合は、格差・改善を求める。
  4) 実質的な間接差別である生活関連手当における「世帯主」要件の廃止を求める。
 
(5) ワーク・ライフ・バランスの実現
  1) 総実労働時間縮減
    1. 連合中期時短方針(2007年7月中執確認)を踏まえた展開を継続して行う。
    2. 労働時間規制の取り組み(三六協定の点検、適正化等の取り組み、インターバル規制等)や、過重労働対策を進める。
    3. 時間外割増率の引き上げをはかり、代替休暇制度については導入しないことを基本とした取り組みを行う。
  2) 両立支援の促進(育児・介護休業法、次世代育成支援対策推進法)
    1. 仕事と生活の両立支援の促進に向けた労働組合の方針を明確にし、労使協議を通じてその必要性と重要性を確認する。
    2. 改正育児・介護休業法の定着に向けた課題に取り組む。
    3. マタニティハラスメントを防止するためにも、妊産婦保護制度や母性健康管理の周知について点検する。また、妊娠・出産およびこれに関わる制度を利用したことによる不利益取り扱い禁止を徹底する。
    4. 次世代育成支援対策推進法における一般および特定事業主行動計画の策定を労使で取り組む。
 
(6) ワークルールの取り組み
  1) 労働関係法令遵守の徹底
     正規労働者はもとより、パート・有期契約・派遣・請負労働者などについて、労働者派遣法への的確な対応をはじめ、労働契約法、パートタイム労働法をはじめとする労働関係法令の趣旨を踏まえた遵守を徹底する。また、障害者雇用促進法に定める法定雇用率引き上げへの的確な対応とともに、改正障害者雇用促進法も踏まえ、障がい者が働きやすい職場づくりへの取り組みを進める。
  2) 労働者派遣法に関する取り組みについて
     法令順守の点検・周知、労働協約の整備に向けた取り組みを進める。また、労働者派遣法の見直し議論の動向も踏まえ、派遣先労働組合は、派遣労働者の受け入れや労働条件への関与を強化する。
  3) 高年齢者雇用安定法に関する取り組みについて
     継続雇用制度を導入し、改正法の経過措置にもとづき、その対象者の基準を労使協定で設定している場合は、希望者全員を対象とした65歳までの継続雇用とする労働協約の締結に向けて取り組む。
  4) 労働契約法に関する取り組みについて
     無期転換促進の取り組み、無期転換後の労働条件の対応、クーリング期間の悪用防止、労働条件の是正に向けた取り組みを進める。
  5) 労働時間法制に関する取り組みについて
     「労働時間法制の見直しにあたっての連合の考え方」(2013.10.24第1回中央執行委員会確認)にもとづき取り組みを進める。
  6) 快適な職場づくり
     労働災害のリスクを低減し、快適な職場づくりを推進するとともに、長時間・過重労働対策、メンタルヘルス対策、パワーハラスメント対策なども含め、労働安全衛生法などの法令遵守と安全配慮義務の履行に向けた取り組みを進める。
 職場におけるメンタルヘルス対策・受動喫煙防止対策を事業者の義務とする労働安全衛生法改正法案の内容を踏まえ、法案成立に先行して企業内の対応状況を確認し改善に向けた取り組みを進める。
IV.電力総連の基本方針
 電力関連産業で働く者は、国民生活と経済活動に欠かせない電力の安全・安定供給に向け、引き続き一体となって取り組んでいくものであり、その強い使命感に裏付けされた高い現場力を守るためにも、雇用確保を前提として、人材の確保・育成、技術・技能の維持継承に必要な基本的労働条件を維持していくこととする。その上で、電力関連産業に相応しい労働条件を追求し、組合員とその家族の生活の安定と安心や労働意欲の向上につなげていくこととする。なお、事前準備として、自社の労働条件実態や経営状況を労働組合自らが把握した上で、以下について電力総連の基本方針として位置づける。
1. 賃金については、賃金カーブ維持分の確保に徹底的にこだわる。その上で、実質生活水準の維持・向上を図る観点からの賃金引き上げや社会水準との格差是正、自社賃金の復元をめざした賃金改定に取り組む。
2. 賞与・一時金については、年間賃金の一部としての認識から、安定的な生活給部分として年間4ヵ月を最低限確保することを基本とする。
3. 仕事と私生活の調和が図れる環境の整備について、法改正への対応や、安全と健康につながる総実労働時間の短縮に向けて、取り組みを進める。
4. 改正高年齢者雇用安定法の対応については、法改正の趣旨を踏まえ、高年齢者の雇用安定に向けた取り組みを進めるとともに、労働条件の向上と労働環境の整備に取り組む。
5. 電力関連産業に働く者全体の底上げを図るため、改正労働契約法、改正労働者派遣法の趣旨を踏まえ、非正規労働者の労働条件全体にわたる待遇改善の取り組みを進める。
V.具体的な取り組み
1.雇用安定への取り組み
 構成総連によっては、グループ企業の再編に向けた具体的な検討が行われている状況や事業環境の変化、電力会社の収支悪化に伴うコストダウン施策等によりグループ会社や関連会社の経営環境が悪化している状況などから、雇用に対する不安が高まっている。
 しかしながら、国民生活と経済活動に欠かせない電力の安全・安定供給をこれからも支えていくのは、そこに働く「人」であるとの認識にたって、雇用安定の重要性について労使の共通認識を醸成していく取り組みを進めることとする。
 また、電力関連産業で働く者の雇用安定と労働条件の維持、安全・健康の確保、仕事と私生活の調和が図られる環境の整備などをテーマに、構成総連・加盟組合の総合力を発揮して、労使懇談会などを通じた諸課題の解決に向けて取り組む。
 加盟組合は、今次春季生活闘争において企業の経営状況や経営計画などを踏まえ経営基盤の安定に向けた労使協議を通じ雇用安定の重要性について、あらためて労使の共通認識を醸成していく。
 構成総連は、雇用安定に係わる諸課題の解決に向けて、労使懇談会の充実に取り組む。
 電力総連・構成総連・加盟組合・各部会は、状況に応じ申入れも含めた雇用安定につながる取り組みを行う。
2.賃金の取り組み
  すべての加盟組合は事前準備として、自社の賃金実態把握を確実に行い、賃金カーブ維持分の確保に徹底的にこだわる。その上で、景気回復と物価上昇の局面にあることを踏まえ、加盟組合の実態に応じて、実質生活水準の維持・向上や賃金水準の格差是正・復元などをめざした1%以上の賃金改定に取り組む。
(1)賃金実態の把握
  交渉の事前準備として、賃金実態を把握し賃金カーブ維持分に必要な原資の算出を行うとともに、賃金カーブの歪みや賃金分布の偏りなどの課題把握を行う。また、過去の賃金カーブと比較して、賃金水準が経年的に低下しているなどの要因の検証も十分に行うこととする。

(2)賃金カーブ維持分の確保
  賃金制度(昇給ルールが制度化されている)が確立している加盟組合は、その賃金表を維持する。
  賃金制度(昇給ルールが制度化されている)が確立していない加盟組合は、賃金カーブ維持分を要求する。
  雇用安定を優先して、定期昇給相当分の凍結や削減などを行わざるを得なかった加盟組合は、それを回復する。

(3)実質生活水準の維持・向上への取り組み
  消費者物価の動向を踏まえ、過年度物価上昇分を重視した取り組みを図る。また、生産性向上への貢献努力や経済情勢、経営環境なども総合的に勘案して取り組む。

(4)賃金の「格差是正・復元」への取組み
  自社の賃金実態を把握し、電力総連ミニマム水準より低位にある加盟組合や経年的に賃金水準が低下してきている加盟組合は、以下に掲げる指標を参考に、要求水準を決定し、賃金水準の格差是正・復元に積極的に取り組む。

@ 個別賃金水準が「電力総連ミニマム水準」を下回る加盟組合は、最低限必要な生計費を確保する観点から、その水準に到達するよう取り組む。

【電力総連ミニマム水準】
年齢 18歳 20歳 25歳 30歳 35歳 40歳 45歳 50歳
扶養 単身 単身 単身 配偶者+
子1
配偶者+
子2
配偶者+
子2
配偶者+
子2
配偶者+
子2
水準
(円)
153,800 162,300 183,600 219,500 277,500 310,700 337,000 357,600

A 経年的に賃金水準が低下している加盟組合は、その実態を把握し、社会水準(厚生労働省:賃金構造基本統計調査・規模計)をめざすという考え方に基づき、格差是正および復元に取り組む。なお、電力総連加盟組合300名以下の個別賃金30歳ポイント(単純平均)での指標を示すと次のとおりとなる。(参考)

指標1 ○社会水準との格差是正
 個別賃金が直近の社会水準と比較し低位にある場合は、中期的にその格差是正に取り組む。【1,500円】
指標2 ○自社賃金水準ピークへの復元
 自社賃金水準ピークへの復元をめざし、職場実態を踏まえ、中長期的にその復元に取り組む。【1,800円】
指標3 ○社会水準ピークとの格差是正
 連合全体としてめざす水準であり、職場実態を踏まえ、中長期的にその格差是正に取り組む。【2,000円】

(5)個別賃金水準の引き上げ
 自社の賃金実態や個別の事情等を勘案し、個別賃金水準の引き上げが必要と判断される加盟組合は、社会水準の確保や水準低下の回復、賃金カーブの歪みや賃金分布の隔たりの是正など、以下に掲げる指標等を踏まえ取り組む。

@ 社会水準をめざす加盟組合は、下表の目標水準を参考に、その獲得に取り組む。

【目標水準】
  目標水準T 目標水準U
高卒18歳(初任給) 165,400円 165,400円
高卒20歳・勤続2年 171,000円 178,000円
高卒25歳・勤続7年 214,000円 239,000円
高卒30歳・勤続12年
(主要指標)
263,000円 291,000円
高卒35歳・勤続17年
(主要指標)
305,000円 337,000円
高卒40歳・勤続22年 349,000円 395,000円
高卒45歳・勤続27年 389,000円 452,000円
※電力総連賃金実態調査ならびに厚生労働省賃金構造基本統計調査の過去5年平均額を勘案し算出。
 目標水準Tは中位、目標水準Uは第3四分位。
※高卒18歳(初任給)については連合加盟組合における平均水準であり、初任給の労働市場性を考慮して設定。

A 賃金制度改定による影響の検証と回復
   過去において労使合意した賃金制度について、定期昇給原資等を減額改定した場合など、その後の個別賃金水準の実態を把握し、自社の社会的位置取りや組合員の労働意欲向上を勘案し要求を行う。

B 賃金カーブの歪みや賃金分布の偏りの是正
 

 自社の賃金実態を把握し、歪みや偏りがあり、是正が必要と判断される場合は、その改善に取り組む。

賃金の取り組みの概念図
(6)配分交渉の充実
  生活の安定を確保し、公平公正でやりがい働きがいにつながる配分を目指し、要求策定段階から配分交渉を重視した取り組みを行う。

(7)賃金制度の確立
 賃金制度・体系が確立されていない加盟組合は、賃金実態を把握し、自社の課題を明らかにした上で、労使による検討・協議の場を設置し、賃金制度・体系の確立に向け取り組む。特に、安定的な賃金水準を確保する観点から、定期昇給のルール化を図っていく。

(8)最低賃金協定の取り組み
  パートタイム労働者等も含めた電力関連産業に働くすべての労働者の企業内最低賃金として、以下の要求水準を踏まえて、組合ごとの最低賃金協定を締結する。
【最低賃金締結基準:電力総連ミニマム水準の18歳相当額として月額「153,800円以上」または時間額「890円以上」】
※電力総連ミニマム水準18歳相当額(153,800円)÷法定労働時間(174時間)≒890円

(9)初任給の引き上げ
  技術・技能の継承をはかるうえで安定的な新規採用は必要であり、労働需給の情勢や同業他社との比較・分析を行い、電力関連産業が求める人材が確保できるよう各加盟組合で要求額を決定する。なお、電力総連ミニマム水準18歳相当額を下回っている加盟組合はその確保に向けて取り組む。
3.賞与・一時金の取り組み
  賞与・一時金については、年間賃金の一部として安定した生活を支える生活給部分を最低限確保することを基本として、次により要求を行う。
 また、夏冬型による年間要求・年間妥結を基本とする。
(1)要求水準
  「年間4ヵ月を最低水準」とする。なお、過去の妥結実績、企業業績、生産性向上や職場実態なども勘案した要求を行う。

(2)冬季分の扱い
  冬季分については、賃金引き上げ後のベースを使用し、夏季分に準じた扱いとする。

(3)支給日
  夏季分は6月上旬、冬季分は12月上旬とする。
4.仕事と私生活の調和が図られる環境の整備
(1)改正労基法(時間外割増率の引き上げ等)への対応
  2008年度第10回三役会議(2009.9.8)で確認した「法改正に伴う電力総連としての基本理念」を堅持した上で、次の内容を基本に取り組む。
 なお、中小企業の猶予については、法の施行から3年経過後に改めて検討するとされていたが、その検討が進んでいないことから、長時間労働を抑制し、労働者の健康確保や仕事と私生活の調和を図ることとする法改正の趣旨について労使で共通認識を図り、他の加盟組合の解決状況も踏まえつつ取り組みを進めることとする。

@ 時間外割増率の引き上げについて
  改正法の内容である「1ヵ月60時間超過50%割増」について、企業規模や働き方に関わらず、すべての職場に適用させるよう要求を行う。

 改正法で努力義務とされた「限度基準告示(一定期間が1ヵ月の場合は45時間)を超える時間外労働は法定割増率を超える率とするよう努めること」に基づき、法定に張り付いている組合は、割増率30%以上の要求を行う。
 また、法定を超える率となっている組合においても30%以上となるよう取り組む。

  長時間におよぶ労働は、労働者の健康に影響を与えると考えられることから、時間外労働は所定労働時間を超過したものとし、時間外労働の積算方法については、平日・休日の区別なく合算することとする。

A 代替休暇について
 労働の対価は本来賃金で支払うことが原則であるとの考え方等を踏まえ、加盟組合は個別に判断することとする。

B 年次有給休暇の時間単位付与について

 有給休暇は本来一労働日を単位として取得するものとの考え方等を踏まえ、加盟組合は個別に判断する。ただし、職場ニーズ等により制度を導入する場合には、制度の運用状況や取得実績を確認しながら日数の拡大をする等、慎重に対応を行う。

(2)年間総実労働時間の短縮
 労働者の心身の健康はもとより、ワーク・ライフ・バランスの実現に向けても、長時間労働を解消し、家庭生活や地域活動等の時間と労働時間を柔軟に組み合わせ、心身ともに充実した状態で意欲と能力を十分に発揮できる環境をつくる必要がある。各加盟組合は、「電力総連時短指針」を踏まえ、年間総実労働時間1800時間達成をめざし、企業の対応を求めるとともに、労使一体となった取り組みを行う。

@ 労働時間に関する労使協議の充実
 年間を通した労働時間に関する取り組みのフォローや、改善すべき事項について、労使の協議や話し合いを行い、協定化(議事録、覚書、確認メモを含む)を図るとともに、長時間労働解消に向けた労使行動計画の策定などに努める。なお、すべての加盟組合は、所定外労働時間や年次有給休暇取得率など、個人別の労働時間実績についてデータの開示を求め、半期ごとに労使確認を行う。

A 年間所定労働時間短縮の取り組み
 年間の所定労働時間が2000時間を超えている加盟組合は、「電力総連時短指針」に基づき、休日日数を増やすなど年間所定労働時間を2000時間以下にできるよう要求を行う。

B 所定外労働時間の削減等の取り組み
  36協定の特別条項について、長時間労働防止や労働者の健康障害防止の観点に立った締結を行う。その上で、36協定遵守のための時間外労働の基本ルールについて労使確認を行い、同時に職場内の周知徹底をはかる。

 すべての組合員の休日労働時間を含む時間外労働を、1ヵ月45時間以下に抑えることを基本とし、少なくとも過労死につながるとされる1ヵ月100時間、ならびに2ヵ月連続80時間を超える過重労働につながらない業務運営を求める。

  過重労働に係わる医師の面談指導については、月間80時間を超過した者全員に実施することを基本に、月45時間超過者で健康への配慮が必要な者についても、その対象とすることを求める。

C 年次有給休暇の取得向上の取り組み
 労働者の心身の健康を確保する観点から、年次有給休暇の取得目標を、「電力総連時短指針」の「年間10日以上」をめざし、特に、取得日数が5日未満の組合員をなくすよう、計画取得や連続取得など、実態に応じた制度や対策を求める。
 年次有給休暇の完全取得が概ねできている組合は、初年度付与日数15日以上や年間20日付与となるまでの勤続年数の短縮を要求する。
 職場において、計画的に月に1日以上は有給休暇の取得ができるよう、職場環境の整備やルール作りなどを行う。

(3)次世代育成支援対策
  次世代育成支援対策推進法に基づき、義務化の対象となっている101名以上の企業に該当する組合は、法の趣旨に基づき、行動計画の実施状況のフォローや、行動計画の更新の取り組みを行う。
 なお、100名以下の組合においても、次世代育成支援の観点から、職場状況を踏まえた労使対応を行う。

(4)家族的責任が果たせる制度の整備・充実
@ 改正育児・介護休業法への対応
  仕事と子育ての両立支援等を一層推進するため、男女ともに子育て等をしながら働き続けることができる雇用環境の整備に向けた改正法が2010年6月30日に施行された。2012年7月1日から100名以下の企業においても適用されたことから、2006年度第5回三役会議(2007.8.3)で確認した「電力総連 仕事と私生活の調和」の考え方を基本として、男女がいきいきと働くことのできる職場づくりに向けて取り組む。

A その他
出産、子育てや介助・介護をはじめ、単身赴任者支援等、家庭内や地域社会での家族的責任を果たすための制度について、整備・充実を図るとともに、制度利用の促進に向けて、労使の協議や話し合いを行い、制度取得を阻害する要因の解消に取り組む。特に、介護に関する制度については、制度利用者の増加がみられることから、職場ニーズを把握し、充実に向けた取り組みを行う。併せて、休業者の職場復帰後の支援方策、欠員時の職場対応ルールの確立に向けて取り組む。
5.将来にわたって安心できる労働条件の確保
(1)改正高年齢者雇用安定法への対応
 2013年4月1日施行の改正法の趣旨に基づき、希望者全員を対象とした65歳までの雇用安定や、高年齢者の活力向上につながる労働条件や労働環境の整備に向けた取り組みを行う。
 継続雇用制度を導入し、労使協定による対象者の基準を設けている場合は、希望者全員を対象とした65歳までの継続雇用とする労働協約の締結を行う。
 高年齢者の経験やキャリアを活かし、やりがい働きがいにつながる労働条件の整備に向けた労使協議を行う。また、賃金制度の再設計を行う場合は、最低限必要な生計費を確保するとともに、高年齢者における社会水準をめざした取り組みを図る。
 高年齢者の就業の場を確保するため、高年齢者のニーズに対応する労働時間や働きやすい職場の創出、作業環境、能力開発、健康管理など、高年齢者の意欲につながる就業環境の整備に向けた労使協議を行うとともに、組織化に向けた取り組みを進める。

(2)退職一時金制度の確立・整備の取り組み
 退職一時金制度が確立されていない加盟組合は、中小企業退職共済制度などを活用して、退職一時金制度の確立をめざした取り組みを進める。また、制度が確立されている加盟組合は、電力総連のクリア水準である1,550万円以上の確保をめざす。

(3)災害補償制度の充実の取り組み
 電力関連産業の社会的使命を果たす重責において、犠牲となった組合員の業務上災害補償制度は、人命という何ものにも変えがたい価値への補償という労使共通の理念をもって、すべての加盟組合で電力総連のクリア水準3,500万円以上(業務上死亡・有扶者)の補償額をめざす。
6.非正規労働者の待遇改善の取り組み
  非正規労働者が増加し、傷んだ雇用・労働条件の復元が社会的に求められている中、すべての働く者の労働条件底上げの取り組みが必要となっている。電力総連においても、パートタイム労働者等の待遇改善は、電力関連産業で働く者全体の底上げを図るものであり、「電力総連 パートタイム労働者等の均衡待遇にむけた取り組み指針」に基づき、同じ労働者の視点から、改正労働契約法・改正労働者派遣法の趣旨を踏まえ、パートタイム労働者等の労働条件全般に亘る待遇改善の取り組みを進める。
 なお、取り組みにあたっては、連合「職場から始めよう運動」に呼応して、職場で働く非正規労働者の実態把握や非正規労働者との意見交換の場づくり等を行う。
(1)パートタイム労働者等の待遇改善の取り組み
 各企業が雇用しているパートタイム労働者等について、労働条件等の実態把握、ニーズを把握するためのアンケートや対話活動を実施し、当該者および労使の三者で共通認識を図り、今後の労働条件向上と組織化に向けた取り組みにつなげる。
 正社員と同視すべきパートタイム労働者等の正社員化または正社員化に向けたルール作りを行う。
 正社員とは異なる働き方をしているパートタイム労働者等についても、職務内容や労働時間等を勘案し、昇給ルールの明確化、一時金の支給、通勤費の支給、慶弔休暇等の整備、その他福利厚生制度等について、正社員との均衡待遇に向けた取り組みを行う。
 時給引き上げについては、最低賃金協定額の890円をめざし、職務内容、契約期間の実態、今年度の地域別最低賃金引き上げ額(平均15円)等を踏まえた要求または要請を行う。なお、890円を超えている場合においても、同様の考え方に基づいた取り組みを行う。
  労働契約法の改正に伴い、通算5年を超える有期契約労働者の無期労働契約への転換について、労働協約の締結や就業規則の規定に向けた労使協議を行う。また、無期転換後の労働条件について、働き方に相応しい処遇となるよう労使協議を行う。

(2)派遣労働者の取り組み
 同じ職場で働く派遣労働者等について、業務内容、受入規模、契約期間、就業場所、契約条件、契約会社名を対象に情報開示を求めるなど、実態把握の取り組みを行う。
 コンプライアンス違反防止の観点から、改正労働者派遣法の趣旨に基づいた確認を行う。また、派遣先に課せられた派遣労働者の均衡待遇確保に向けた努力義務の実施状況についても適宜報告を求めることとする。
7.政策制度要求への取り組み
  連合は「運動の両輪」として、勤労者全体の雇用・生活条件の課題解決に向け、政策制度の取り組みを推進するとしていることから、連合の中核産別としての責任と役割を果たすため、積極的に参画していく。
8.加盟組合の交渉推進強化への取り組み
 加盟組合の雇用安定、賃金水準や労働条件の維持向上をはかるため、電力総連・構成総連は、加盟組合の要求案策定の段階から、情報連携を密にし、支援を行うとともに、次の考え方に基づいて取り組みを強化する。
 自社の経営環境を踏まえた、当該労使の真摯な論議による主体的な解決が図れるよう支援を行う。また、取引関係が当該労使自治による春闘交渉に悪影響を及ぼすことがないよう交渉環境整備を図るとともに、グループ企業内における健全な取引関係の維持についても、各構成総連で開催される労使懇談会や個別オルグなどを活用した取り組みを図る。
 賃金実態把握が未実施、電力総連ミニマム水準に未達、賃金カーブ維持分が確保できていない等の加盟組合を絞り込み、重点指向で適切な支援を行う。
 業種別部会毎の賃金カーブ維持分の一部として、定期昇給相当分の情報開示を加盟組合の要求策定前に行い、電力総連内の相場形成に努める。なお、その他の加盟組合においても、構成総連内に対して情報開示に努める。
VI.進め方
  連合2014春季生活闘争の進め方を踏まえた上で、電力総連・構成総連・部会・加盟組合の連携を十分に図りながら電力総連の総力を結集して取り組むこととする。
 また、連合の各種共闘と連携を図りながら、有利解決に向けて取り組む。
1.要求書の提出
 要求書の提出については、平成26年2月19日を統一要求日として、一斉に実施する。ただし、事情により一斉要求への対応が難しい加盟組合は、遅くとも3月末までに要求する。
2.交渉推進体制
(1)交渉体制
 電力総連は、中央交渉推進委員会を設置し、構成総連・加盟組合の交渉推進に向けて積極的に支援・調整を行う。
 構成総連および部会は、交渉推進委員会を設置して各々の責任体制を確立し、加盟組合の早期かつ有利な解決に向けて積極的に支援・調整を行う。
 加盟組合は、構成総連や部会と連携を図り、自立・自決を基本に精力的に交渉を展開する。
(2)交渉の促進
 中央交渉推進委員会は、交渉状況を踏まえ加盟組合の交渉を有利に展開するため、「闘争の進め方」を発信する。加えて、連合中小共闘が発信する方針について、電力総連内の実態も踏まえたうえで、中小組合の賃金引き上げ交渉が有利に進められるよう同様に発信する。
 構成総連および部会は、加盟組合の交渉推進を図るため、統一交渉ゾーンを設け一体となった交渉を展開する。特に構成総連は、中小組合の交渉推進に向けて支援を強化する。
 春季生活闘争に係わる情報は、交渉を促進するため適宜発信していく。
3.解決時期
  交渉のヤマ場は、連合の解決促進ゾーンを踏まえ設定することとし、遅くとも4月末までの解決をめざす。
以上
平成26年2月13日
第1回中央交渉推進委員会
電力総連2014春季生活闘争 進め方(その1)
 今次春季生活闘争は、電力の安全・安定供給に向け一体となって取り組んでいる働く者の使命感と誇りを守るためにも極めて重要な闘いであり、雇用確保を前提として、人材の確保・育成、技術・技能の維持継承に必要な基本的労働条件を維持し、その上で、電力関連産業に相応しい労働条件を追求し、組合員とその家族の生活の安定と安心や労働意欲の向上につなげていくとした「電力総連2014春季生活闘争方針」に基づき、電力総連・構成総連・部会・加盟組合の連携を強化し、以下のとおり交渉を推進していくこととする。

1.事前準備
 構成総連、部会および加盟組合は、電力総連2014春季生活闘争方針に基づき、申入れや要求書の提出および本格的交渉に向けた事前準備に万全を期す。
 また、早期かつ有利な解決をめざして精力的な交渉が展開できるよう交渉体制を確立する。

2.要求書提出および申入れ
 要求書の提出および申入れについては、平成26年2月19日(水)に一斉実施する。
 ただし、事情により一斉要求への対応が難しい加盟組合は、早期交渉を念頭に遅くとも3月末までに実施する。

3.交渉推進

(1)

 電力総連内の連携や情報共有化ならびに交渉推進の強化を図るため、交渉推進体制を【別紙】のとおり確立し、加盟組合の交渉を支援する。
(2)  電力総連は、中小加盟組合の交渉が有利に進められるよう、継続的な賃金実態把握・分析および経営分析の支援を行うとともに、交渉の主張点などの情報を発信していく。
(3)  構成総連は、全体情勢の共有化など時機をとらえて効果的なオルグを実施するなど、加盟組合の早期かつ有利な解決を支援する。
(4)  加盟組合は、構成総連が設定する統一交渉ゾーンを念頭に交渉日程を組み立て、有利解決に向けて交渉の促進を図る。



4.当面の日程
 第2回中央交渉推進委員会を3月5日(水)13時から開催することとし、それ以降の日程については、加盟組合の交渉状況、連合や他産別の動向などを総合勘案して決定する。

5.その他

(1)

 春季生活闘争に関する情報については、適宜適切に「2014春季生活闘争情報」により発信する。
(2)  連合のインフラ・公益共闘連絡会議や中小共闘、非正規共闘との連携を図り、連合の中核産別としての役割を踏まえ、加盟組合の底上げに資する取り組みを進める。

以上
全国電力関連産業労働組合総連合ホームページに掲載された画像その他の内容の無断転載はお断り致します。
Copyright(C) 2004 The Federation of Electric Power Related Industry Worker's Unions of Japan all rightreserved.