電力総連
ホーム アクセス サイトマップ ENGLISH 個人情報保護方針
電力総連とは?
私たちの取り組み
私たちの考え
仲間になろう
福祉・共済制度
ふれあいプロジェクト
ふれあい広場
機関紙
関連ウェブサイト

電力総連ホーム > 私たちの取り組み > 春季生活闘争

 2017 春季生活闘争
電力総連2017春季生活闘争 今後の進め方(その3)
電保部会 2017春季生活闘争 妥結結果
検集部会 2017春季生活闘争 妥結結果
電工部会 2017春季生活闘争 妥結結果
電力部会 2017春季生活闘争 妥結結果
電力総連2017春季生活闘争 進め方(その2)
電力総連2017春季生活闘争方針を決定!
〜2016年度第1回中央委員会を開催〜



■ 電力総連2017春季生活闘争 今後の進め方(その3)
平成29年4月12日
第3回中央交渉推進委員会
電力総連2017春季生活闘争 今後の進め方(その3)
 電力総連2017春季生活闘争は、第2回中央交渉推進委員会で確認した進め方(その2)を踏まえ、4月5日現在で、223組合が要求書を提出し、先行する部会をはじめとした89組合が解決に至っている。
 賃金については、賃金カーブ維持分を確保できなかった組合が一部にあるものの、多くが賃金カーブ維持分を確保している。また、方針に基づき粘り強い交渉を展開した結果、賃金改定額は昨年を上回る傾向にある。
 賞与・一時金については、取り巻く環境が厳しい中においても安定的な支給や組合員の貢献努力などを背景とした交渉を展開し、多くの組合で昨年の妥結水準を上回っている。
 これまでの解決状況を踏まえ後続する加盟組合は、電力総連・構成総連と連携したうえで電力関連産業全体の「底上げ・底支え」、「格差是正・復元」に向けて、下記の進め方により最後まで粘り強く交渉を展開する。
I. 具体的な取り組みについて
1.賃金引き上げ
 連合が3月31日に集計した賃金の解決状況は、平均賃金方式で1,954組合が回答を引き出し、組合員数加重平均で6,147円(2.05%)となっており、賃金引上げの回答は昨年同時期の水準をほぼ維持している。中小組合(300人未満)は、回答引き出しが前倒しになっているのに加え、比較可能な組合の回答は昨年を上回っている。
 電力総連においても、前年比較可能組合では昨年水準を上回る傾向にあることや、解決した約4割の組合で賃金改定を獲得しており、昨年同時期と比べ賃金改定獲得組合数は増加している。
 これらの状況を踏まえ今後の交渉において、賃金カーブ維持分の確保はもちろんのこと、マクロの観点からの所得向上や電力関連産業の「底上げ・底支え」、「格差是正・復元」など、要求趣旨に沿った交渉を強化する。
 また、人材の定着・確保に向けた労働条件の引上げや魅力ある産業をめざした「人への投資」が、生産性向上や企業の持続的発展に不可欠な人材の確保・育成、技術・技能の維持継承につながっていくとの考えに基づき交渉を強化する。
2.賞与・一時金
 連合が3月31日に集計した賞与・一時金の解決状況は、1,057組合が回答を引き出し、加重平均で1,618,190円(4.94ヵ月)となっている。
 電力総連においては、加重平均で1,409,568円(4.09ヵ月)、前年比較可能組合で32,861円(0.09ヵ月)増となっている。また、300人未満の加盟組合では、加重平均で1,180,500円(4.20ヵ月)、前年比較可能組合で6,342円(0.01ヵ月)増となっており、額・月数ともに昨年を上回る水準で解決が図られている。
 このように、電力総連方針に掲げる「安定した生活を支える生活給部分としての年間4ヵ月」を上回る水準で解決している状況や社会相場も踏まえつつ、要求趣旨に沿った水準の獲得をめざし交渉を強化する。
3.仕事と私生活の調和が図れる環境の整備
 年間総実労働時間の短縮は、心身の健康に欠かすことのできない重要な取り組みであることから、要求の実現に向けて交渉を強化する。また、家族的責任が果たせる制度の整備・充実については、仕事と育児・介護の両立支援などを一層推進するため、要求の実現に向けて交渉を強化する。
4.誰もが安心できる労働条件や労働環境の確保
 高年齢者雇用や女性活躍推進法に基づく取り組み、退職一時金および災害補償制度の整備・充実の取り組みについては、誰もが安心できる労働条件や労働環境の確保をめざし、具体的成果が得られるよう交渉を強化する。
5.その他の要求項目について
 その他の要求項目については、要求の趣旨に沿った前進が図れるよう交渉を強化する。
 ただし、今次交渉での実現が難しいと判断される要求項目については、交渉の追い込みを図りながら一定の整理に向けて見極めを行い、今後の具現化に向けた取り組みにつなげる。
6.交渉日程について
 加盟組合は、構成総連と連携を図りながら自立・自決を基本として、できる限りの早期解決を念頭に4月中の解決をめざす。
 なお、事情により要求書の提出に至っていない組合は、構成総連と連携を図りながら、方針に沿った日程での解決に向けて、早期の要求書提出に努力する。
 また、構成総連内の交渉状況を踏まえ、統一交渉ゾーンを効果的に設け、一体となった交渉を展開する。
以上



○ 電保部会 2017春季生活闘争 妥結結果

  妥結結果 妥結日
賃金改定 賞与(夏季支給額)
北海道 1,000円 805,100円 3月23日
東北 1,000円 2.39ヵ月+35,000円 3月23日
関東 1,000円 903,800円 3月23日
中部 1,000円 844,800円 3月23日
北陸 800円 業績連動 3月23日
関西 0円 801,000円 3月23日
中国 1,000円 800,000円 3月23日
四国 1,000円 765,000円 3月23日
九州 1,000円 840,000円 3月23日
沖縄 1,000円 549,300円 3月23日




○ 検集部会 2017春季生活闘争 妥結結果

組合名 職種 賃金・手数料
改定額
賞与・一時金 妥結日
年間総額
北海道 パートナー社員 現行維持 580,000円 3月24日
社員 3,720円 1,227,000円
東北 検針 現行維持 538,000円 3月25日
集金 現行維持 564,000円
北陸 検針 現行維持 507,864円 3月29日
集金 現行維持 834,539円
東京 検針 現行維持 3月16日
集金 現行維持
中部 検針 現行維持 698,300円 3月16日
集金 現行維持 1,242,200円
中国 検針1号 現行維持 686,300円 3月27日
検針2号 現行維持
検針A 現行維持
特号 現行維持 819,100円
特号(再) 現行維持
四国 検針 現行維持 半期357,300円 3月24日
集金 現行維持 半期416,500円
九州 検針1号 4,000円 1,118,000円 3月21日
検針2号 3,300円 730,100円
特定集金 現行維持 1,162,000円
※九州は4年ぶりの一時金支給




○ 電工部会 2017春季生活闘争 妥結結果

  妥結結果 妥結日
賃金改定 一時金(年間)
北海電気工事 0円 1,180,000円 3月24日
ユアテック 0円 1,600,000円 3月24日
関電工 0円 1,480,000円 3月24日
北陸電気工事 2,000円
賃金改善 2,859円
業績連動方式 3月24日
トーエネック 1,500,000円 3月24日
シーテック 0円 1,287,000円 3月24日
きんでん 0円
賃金改善 1,110円
業績連動方式 3月24日
中電工 1,500円 業績連動方式 3月24日
四電工 0円 業績連動方式 3月24日
九電工 1,000円
賃金改善(労働協約・福利厚生
制度関係を含む) 2,058円
1,620,000円 3月24日




○ 電力部会 2017春季生活闘争 妥結結果

  妥結結果 妥結日
賃金 賞与(年間総額)
北海道電力 3.44ヵ月 3月16日
東北電力 1,383,000円 3月16日
東京電力 年収水準については現状維持 3月16日
中部電力 1,521,000円 3月16日
北陸電力 1,351,000円 3月16日
関西電力
中国電力 3.58ヵ月 3月16日
四国電力 半期 745,000円 3月16日
九州電力 3.68ヵ月 3月16日
沖縄電力 1,464,000円 3月16日
日本原電 3月16日
電源開発 業績連動 3月16日
日本原燃 1,062,000円 3月16日




■ 電力総連2017春季生活闘争 進め方(その2)
平成29年3月7日
第2回中央交渉推進委員会
電力総連2017春季生活闘争 進め方(その2)
 電力総連2017春季生活闘争については、第1回中央交渉推進委員会で確認した進め方(その1)を踏まえ、2月21日に多くの加盟組合が要求を行い、構成総連と連携を図りながら精力的な交渉を展開している。
 今次闘争においては、電力関連産業を将来にわたり健全に発展させていくためにも、電力総連に働く者すべての経済的・社会的地位の向上を図りつつ、組合員とその家族の安定・安心、やりがい・働きがいを実感できる魅力ある産業をめざした闘いを進めていく必要がある。
 以上の認識に立ち、連合の闘い方を踏まえながら、下記により今後の交渉を進めていく。
I. 要求書提出について
 要求書提出に至っていない組合は、構成総連と連携を図り、「電力総連2017春季生活闘争方針」を踏まえ、早期交渉を念頭に遅くとも3月末までに実施する。
II. 具体的な取り組みについて
1.賃金引き上げ
 賃金については、勤続年数に伴った技術・技能の習熟に対応する賃金カーブ維持分の確保はもちろんのこと、経済の自律的成長というマクロの観点からの所得向上など、電力関連産業全体の「底上げ・底支え」「格差是正・復元」をめざした交渉を強化する。また、多くの産業において人材不足が顕在化していることから、人材の定着・確保に資する「人への投資」に重点をおいた交渉を強化する。特に、組織人員が300人以下の加盟組合においては、賃金水準が社会水準を下回る状況にあることから「格差是正」の取り組みを強化する。
2.賞与・一時金
 賞与・一時金については、要求の趣旨を踏まえながら、年間賃金の一部として安定した生活を支える生活給部分として年間4ヵ月を最低水準としたうえで、組合員の経営諸施策への貢献や懸命な努力に報いるため、適正な成果配分の観点に立って、上積みを図るべく粘り強く交渉を展開する。
3.仕事と私生活の調和が図れる環境の整備
 年間総実労働時間の短縮は、地域社会や家庭とのつながりを大切にするとともに、心身の健康のために欠かすことのできない重要な取り組みであることから、要求の実現に向け交渉を強化する。特に長時間労働は、過重労働による体調不良やメンタルヘルス不調、過労死といった問題を引き起こす要因ともなるため、長時間労働を解消するとともにライフステージに応じた多様な働き方を選択できるような環境づくりに向けて積極的に取り組む。
 家族的責任が果たせる制度の整備・充実については、改正育児・介護休業法への対応や仕事と育児・介護の両立支援の取組みなど男女がいきいきと働くことのできる職場環境づくりに向けて交渉を強化する。

4.誰もが安心できる労働条件や労働環境の確保
 高年齢者雇用への対応については、法の趣旨に基づき、希望者全員を対象とした65歳までの継続雇用とする労働協約の締結を行うとともに、賃金制度の再設計や高齢者に働きやすい職場の創出、作業環境、能力開発、健康管理確保など、就労環境の整備に向けた交渉を強化する。
 女性の活躍推進に向け、職場実態や課題の把握を行い行動計画に反映するよう労使対応を行う。なお、義務化の対象となっていない300名以下の組合においても、同様な取扱いとなるよう労使対応を行う。また、厚生労働大臣が認定する制度「えるぼし」については、人材確保の観点などから認定取得に向けた取り組みを求めていく。
 退職一時金および災害補償制度の整備・充実の取り組みについては、電力関連産業の社会的使命の重責と組合員とその家族の安心につなげる観点から、具体的成果が得られるよう交渉を強化する 。
5.非正規労働者の待遇改善
 パートタイム労働者などの待遇改善の取り組みについては、要求の有無に関わらず、労働条件等について実態把握を行い、当該者および労使の三者で共通認識を図るとともに、改正労働契約法への対応について労使協議を行う。その上で要求・要請を行っている組合は、待遇改善に向けて前進が図られるよう交渉を強化する。
III. 交渉の進め方について
1.電力総連
 電力総連は、加盟組合の交渉が有利に進められるよう、引き続き賃金実態把握・分析や経営分析の支援を行う。また、部会や加盟組合の交渉状況について、各構成総連と共有化を図ることとし、連合大の春闘に関する方針や情勢についても、適時情報提供を行っていく。
2.構成総連
 構成総連は、統一交渉ゾーンの設定ならびに交渉推進委員会を適宜開催し、加盟組合の有利解決に向けて交渉促進を図っていく。また、交渉が難航している加盟組合に対しては、電力総連と連携しながら個別対応も含め支援を強化する。
3.加盟組合
 加盟組合は、構成総連や業種別連絡会と連携を図り、先行する組合や同業他社の交渉状況について把握し、統一交渉ゾーンを活かしながら、効果的な交渉日程を配置するなど、要求の趣旨に沿った解決が図られるよう精力的に交渉を展開する。
IV. 日程について
1.解決時期
 3月中の解決をめざして最大限の取り組みを行う。遅くとも4月中の解決へ向けて鋭意交渉を強化する。
2.会議開催
 第1回交渉連絡責任者会議を3月29日(水)、第3回中央交渉推進委員会を4月12日(水)に開催する。
以上



■ 電力総連2017春季生活闘争方針を決定!(2017.2.15)

 電力総連は、2月15日(水)に東京都内において、2016年度第1回中央委員会を開催し、電力総連2017春季生活闘争の方針を決定した。
 今次春闘においては、連合を構成する産別としての役割を果たしつつ、今次闘争を起点として、実質賃金の維持を前提とした物価重視という視点から、「経済の自律的成長」というマクロの観点にマインドを転換したうえで、賃金の社会性などを踏まえた闘争を進めていく必要がある。こうした情勢等をふまえ、マクロの観点からの所得向上や人材の定着・確保を目的とした労働条件の引上げなど、電力関連産業全体の「底上げ・底支え」に向けて総力を挙げて取り組むとともに、ライフステージに応じた多様な働き方など、仕事と私生活の調和が図られる環境の整備に向けた取り組みを進め、組合員とその家族の生活の安定・安心、やりがい・働きがいを実感できる魅力ある産業をめざし、電力総連統一要求日(2017年2月21日)に向けて要求準備を進めていく。

 あわせて、同日、第5回三役会議にて中央交渉推進委員会の設置を確認し、引き続き第1回中央交渉推進委員会において、「電力総連2017春季生活闘争 進め方(その1)」を確認した。


岸本会長あいさつ


議長を務める関東電力総連 大塚中央委員


2017春季生活闘争方針について提起する 蜷川労働政策局長


岸本会長(左)と小林正夫 参議院議員(右)


委員会風景



平成29年2月15日
第1回中央委員会
電力総連2017春季生活闘争方針
I. はじめに
 

 連合2017春季生活闘争は、これまで3年連続して賃金の引上げを獲得したものの、個人消費をけん引するまでの水準には至っておらず、引き続き月例賃金にこだわる取り組みを進めなければ、デフレ状況に再度落ち込みかねないとし、経済・社会を自律的かつ持続的に成長させることができるかどうかの分水嶺となる闘いと位置づけ、すべての働く者の「底上げ・底支え」と「格差是正」に寄与する取り組みを強化していくとしている。また、超少子高齢化・人口減少社会という構造問題と技術革新が加速度的に進行するなかで、単年度の経済情勢を捉えた闘争からの転換を図り、日本の中期的な社会・経済構造変化を見据えてそれに対応していく契機としなければならないとし、「経済の好循環実現」に代わって「経済の自律的成長」を掲げ、月例賃金引上げの流れを継続させるとしている。

 このような情勢から、電力総連としても連合を構成する産別としての役割を果たしつつ、今次闘争を起点として、実質賃金の維持を前提とした物価重視という視点から、「経済の自律的成長」というマクロの観点にマインドを転換したうえで、賃金の社会性などを踏まえた闘争を進めていく必要がある。

 電力総連2017春季生活闘争は、連合方針を踏まえたうえで、マクロの観点からの所得向上や人材の定着・確保を目的とした労働条件の引上げなど、電力関連産業全体の「底上げ・底支え」に向けて総力を挙げて取り組みを進めていく。とりわけ、組織人員が300人以下の加盟組合においては社会水準を下回る状況にあり、この「格差是正」を図っていかなければ、産業の健全な発展に不可欠な人材の確保・育成、技術・技能の維持継承にも影響を及ぼしかねない。併せて、ライフステージに応じた多様な働き方など、仕事と私生活の調和が図られる環境の整備に向けた取り組みを進め、組合員とその家族の生活の安定・安心、やりがい・働きがいを実感できる魅力ある産業をめざし、各級機関が連携のうえ、総合力を最大限発揮した取り組みを進めていくこととする。

II. 取り巻く情勢
1.経済社会情勢
 日本経済は、12月の月例経済報告によると、景気は、一部に改善の遅れもみられるが、穏やかな回復基調が続いているとし、先行きについては、雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の効果もあって、緩やかな回復に向かうことが期待されている。また、企業収益は、高い水準にあるものの、改善に足踏みがみられる。企業の業況判断は、緩やかに改善している。日本銀行「経済・物価の現状と見通し(11月1日)」によると、設備投資は、緩和的な金融環境や成長期待の高まり、オリンピック関連需要の本格化などを受けて緩やかな増加基調を維持すると予想されている。
 2016年12月8日に内閣府が公表した「2016(平成28)年7-9月期四半期別GDP速報(2次速報値)」によれば、同期のGDP成長率(季節調整済前期比)は実質0.3%(年率1.3%)、名目0.1%(年率0.5%)となった。2016年度の予測は、1月時点の政府見通しは実質1.7%・名目3.1%であるが、日銀は実質1.0%、日本経済研究センターにおける民間予測による平均は実質0.79%、・名目1.10%と、ごく緩やかながらプラスの見通しとなっている。
 11月の消費者物価は、総合指数は前年同月比0.5%上昇となっており、生鮮食品を除く総合指数においては前年同月比0.4%下落となっている。また、食料(酒類を除く)およびエネルギーを除く総合は前年同月比0.1%上昇となっている。なお、日銀は物価安定の目標(2%)をできるだけ早期に実現するとしていたが、2%程度に達する時期は2018年度ごろになる可能性が高いとしている。また、2016年度の見通しでは政府1.2%、日銀0.5%と予測していることから、今後の物価動向に注視する必要がある。
 11月の完全失業率は、3.1%となっており、新規求人倍率は2.11倍となっている。また、都道府県別の有効求人倍率はすべての都道府県で1倍以上となっており、着実に雇用情勢の改善が進んでいる。一方、正社員労働者、パートタイム労働者ともに多くの産業で人材不足となっており、企業は人材確保に向けた施策を強化している。
 政府は、東日本大震災からの復興・創生に向けて取り組むとともに、デフレからの脱却を確実なものとし、経済再生と財政健全化の双方を同時に実現していくため、「新・三本の矢」と称し、希望を生み出す強い経済、夢をつむぐ子育て支援、安心につながる社会保障をめざし検討を進めている。また、年度内を目途に「働き方改革」の具体的な行動計画を取りまとめるなか、2016年11月16日に開催された「第3回働き方改革実現会議」において、経済界に対し「経済の好循環を継続するかぎは賃上げであり、@少なくとも2016年並みの水準の賃上げを期待し、特にベアの4年連続の実施をお願いしたい、A期待物価上昇率も勘案した賃上げの議論をお願いしたい、B中小企業の賃上げ環境整備のために中小企業の取引条件の改善に取り組んでほしい」旨の要請を行っている。
2.経営環境
 電気事業を取り巻く情勢については、原子力発電所の再稼働や40年超運転審査が認可されるなど、一部に明るい兆しも見え始めているが、新規制基準への対応に時間を要することや運転差し止めの仮処分決定という司法リスクの増大などから、再稼働の動向は依然として不透明となっている。また、2016年4月からの電力小売全面自由化への対応によるコスト競争力の強化や料金メニューの多様化など、グループ企業も含め本格的な競争への対応に迫られている。
 さらには、エネルギー基本計画論議の方向性や再生可能エネルギーの導入拡大など、政府がめざすエネルギーミックスやCO2排出削減目標の達成に向けた施策の検討と実施の推移、システム改革の第3段階に向けた課題の検証や詳細設計なども含め、電力関連産業の事業環境や労働環境に関わる課題としてその動向を注視する必要がある。
 各企業の経営環境は、電力会社の設備投資にも回復の兆しが見え始めるとともに、民間設備投資やオリンピック関連需要の拡大などから発注量が増加しているものの、工事の大型・長期化や労務費の増加などにより取り巻く厳しさは継続しており、業種や地域によってまだら模様となっている。また、労働力人口の減少や雇用のミスマッチなどによる労働力不足が深刻な問題として顕在化し、労働力の確保が大きな課題として圧し掛かっている。加えて、各企業の経営基盤強化を目的とした、さらなる経営効率化は重要な課題であり、協力会社も含めグループ企業全体の総合力発揮と収益力強化を図っていくことが重要となっている。
 電力各社の第3四半期連結決算は、再生可能エネルギーの固定価格買取制度の交付金や賦課金の増加はあったものの、燃料費調整制度の影響などにより電気料収入単価が低下したことなどから、売上高は一部を除き対前年同期比で減少している。経常利益については、徹底した経営効率化に努めたことに加え、燃料価格の下落や円高などにより火力燃料費が減少したことなどから、すべての電力会社で黒字を確保しており、通期見通しについても同様の傾向にある。
 職場においては、経営基盤の安定をめざしたさらなる効率化への取り組みや原子力発電所の再稼働に向けた対応に加え、2016年4月からスタートした電力小売全面自由化への対応など、厳しい要員事情にあるなか、様々な経営課題に対し、組合員一人ひとりが懸命な努力を重ねている。また、度重なる自然災害等による設備被害への早期復旧・整備には、強い使命感のもと電力関連産業で働く仲間が一体となって、電力の安全・安定供給の確保に取り組んでいる。
III. 連合の方針(抜粋)
1.2017春季生活闘争の取り組み内容

(1) 「底上げ・底支え」「格差是正」に寄与する取り組みの強化

 月例賃金にこだわった闘争を進めてきたことにより3年連続して賃金の引上げを獲得したものの、個人消費をけん引するまでの水準には至っておらず、引き続き月例賃金にこだわる取り組みを進めなければ、デフレ状況に再度落ち込みかねない。また、格差の是正も不十分である。したがって2017春季生活闘争においても月例賃金引上げの流れを継続させる必要がある。
 とりわけ、中小企業労働者や非正規労働者の月例賃金・時給の「底上げ・底支え」と「格差是正」を図ることに重点を置いた取り組みを進めるとともに、その効果が広く社会に浸透する要求を組み立てることが極めて重要である。この観点に立って「大手追従・準拠などの構造を転換する運動」を前進させ、サプライチェーン全体で生み出した付加価値の適正な分配に資する公正取引の実現を重視し、その効果が広く社会に浸透する取り組みを行う。
 「経済の自律的成長」を図るためには、マクロの観点から雇用労働者の所得を2%以上引上げることが必要である。構成組織は、あらゆる手段を用いて「底上げ・底支え」「格差是正」の実現に取り組むとともに、従来以上に加盟組合への指導を強化し、賃上げの流れを確実なものとしていく。
 そして、企業内最低賃金協定の締結拡大や水準の引上げ、適用労働者の拡大を法定最低賃金の引上げにつなげ、賃上げの社会的波及を図ることも重要である。
 こうした観点から、名目賃金の到達目標の実現やミニマム基準の確保に取り組む。その上で賃上げ要求水準は、それぞれの産業全体の「底上げ・底支え」「格差是正」に寄与する取り組みを強化する観点から2%程度を基準とし、定期昇給相当分(賃金カーブ維持相当分)を含め4%程度とする。

(2) 賃金水準改善の社会的波及を高める取り組み

 それぞれの産業全体の「底上げ・底支え」「格差是正」に寄与する取り組みに関する情報開示を進めるとともに、春季生活闘争が持つ日本全体の賃金決定メカニズムを活かしつつ、とりわけ中小企業で働く仲間や、非正規労働者の処遇改善に向け、より主体的な闘争を進め、大手追従・大手準拠などの構造を転換する運動を前進させる。
 また、取引企業の仕入れ価格の上昇などを踏まえた価格転嫁や、産み出した付加価値の適正な価格での取引が展開される取り組みに総合的に取り組む。そのために連合は、取引問題に関する相談窓口として「取引問題ホットライン」を設置し、経営者団体とも認識を共有化する取り組みを強化する。

(3) 超少子高齢化・人口減少社会を踏まえた働き方と処遇のあり方の見直しを

 日本が直面する超少子高齢化・人口減少という構造問題は、すでに労働力不足という形で顕在化している。われわれの働く場が将来に亘って存続しその価値を高め続けるためには、マーケットが求める商品やサービスを提供し、かつ、その価値に見合う価格で取引が行われることが必要である。
 そのためには、働く者一人ひとりの多様な価値観に対応する働き方の実現と生産性の向上とを同時に実現すること、言い換えれば、すべての働く者がディーセント・ワーク(人間らしい働きがいのある仕事)に就け、その仕事に応じた適正な処遇を確保することが求められる。
 2017春季生活闘争を通じて、改めて「人への投資」を求めると同時に、働き方と処遇のあり方の見直しを進め、労使協議を通じてその必要性を確認する。
2.具体的な要求項目
(1) 月例賃金
  • すべての組合は月例賃金にこだわり、賃金の引上げをめざす。要求の組み立ては、定期昇給相当分(賃金カーブ維持相当分)を確保したうえで、「底上げ・底支え」「格差是正」にこだわる内容とする。
  • その際には、賃金の上げ幅のみならず、めざすべき賃金水準への到達など「賃金水準の絶対値」にこだわる取り組みを進める必要がある。構成組織はそれぞれの産業ごとに設定する個別銘柄の最低到達水準・到達目標水準を明示し、社会的な共有に努める。単組は組合員の個別賃金実態を把握し、賃金水準や賃金カーブを精査しゆがみや格差の有無を確認したうえで、これを改善する取り組みを行う。
  • 賃金制度が未整備の組合は、構成組織の指導のもと、制度の確立・整備に向けた取り組みを強化する。
(2) 企業内最低賃金
  • すべての組合は、企業内最低賃金を産業の公正基準を担保するにふさわしい水準で要求し、協定化を図る。また適用労働者の拡大をめざす。
  • すべての賃金の基礎である初任給について社会水準を確保する。
    18歳高卒初任給の参考目標値……170,100円 ※1
    ※1:連合「2016年度 連合構成組織の賃金・一時金・退職金」調査結果(速報)より、主要組合の高卒初任賃金水準 事務・技術166,539円と生産166,938円の平均額に2%分上乗せ
(3) 一時金
  • 月例賃金の引上げにこだわりつつ、年収確保の観点も含め水準の向上・確保を図ることとする。

(4) 規模間格差の是正(中小の賃上げ要求)

 企業数の99.7%を占め、全従業員の85.1%を雇用する中小企業の経営基盤の安定と、そこで働く労働者の労働条件の向上および人財の確保・育成は、日本経済の「底上げ・底支え」「格差是正」の必要条件であり、健全かつ自律的持続的な発展にとって不可欠である。
 3年連続で賃上げを実現したが、水準の格差は依然存在しており、この是正に取り組むことは最重要課題である。「底上げ・底支え」「格差是正」の実現を図るため、都道府県ごとに連合リビングウェイジにもとづく「最低到達水準」をクリアすることをめざす。
【中小共闘方針】抜粋
1.「底上げ・底支え」「格差是正」に向けた月例賃金にかかる取り組み

(1) 月例賃金の引上げ
 中小組合の平均賃金を基準とした引上げ額をベースとしたうえで、「格差是正」「底上げ・底支え」を図る観点で、連合加盟組合平均賃金との格差の拡大を解消する水準を設定する。すなわち、連合加盟組合全体平均賃金水準の2%相当額との差額を上乗せした金額を賃上げ水準目標(6,000円)とし、賃金カーブ維持分(1年・1歳間差)(4,500円)を含め、総額で10,500円以上を目安に賃金引上げを求める。

(5) 非正規労働者の労働条件改善

 すべての働く者、とりわけ雇用労働者の37.7%を占め2,028万人を数える非正規労働者の労働条件の改善に重点的に取り組むことが重要である。質・量の側面で一般労働者(正規)と同等の仕事を遂行しているにもかかわらず、賃金や処遇に格差が存在する場合も多い。非正規労働者の約7割を占めるパートの時間給は、一般労働者(正規)の6割に満たない水準である。
 さらに非正規労働者の約16.0%(299万人)は今の雇用形態を余儀なくされている非正規労働者(不本意非正規)である。
 非正規労働者を取り巻く環境は、社会保険適用労働者の拡大、2018年4月より労働契約法18条に基づく有期契約労働者の無期契約への転換の開始、法定地域別最低賃金上昇による就労時間調整などにより大きく変化する。こうした動向を把握し、春季生活闘争を通じて、総合的な労働条件の改善に向けた取り組みを一層強化する必要がある。
 公務職場を含め雇用安定化など総合的な労働条件改善に取り組むとともに、賃金(時給)については「誰もが時給1,000円」の実現をめざす。
【非正規共闘方針】抜粋
1. 雇用安定に向けた取り組み

(1) 正社員への転換ルールの導入・明確化・転換促進

(2) 無期労働契約への転換促進など

2. 仕事に応じた適正な処遇の確保に向けた取り組み

(1)賃金引上げの取り組み

1) 時給の引上げ
時給の引上げの取り組みは、「底上げ・底支え」「格差是正」と均等待遇の実現を図るため、次のいずれかの取り組みを展開する。
@「誰もが時給1,000円」の実現に向けた時給の引上げ
A 時給1,000円超の場合は、37円 を目安に要求する。
B 取り組む地域ごとに「県別リビングウェイジ」を上回る水準をめざして取り組む。
C 正社員との均等待遇の実現を図るため、昇給ルールの導入・明確化の取り組みを強化する。昇給ルールが確立されている場合は、その昇給分を確保した上で、「底上げ・底支え」「格差是正」にこだわる内容とする。

2) 月給の引上げ
月給制の非正規労働者の賃金については、正社員との均等待遇の観点から改善を求める。

(2)均等待遇に関する取り組み

1) 一時金の支給

2) 福利厚生全般および安全管理に関する取り組み

3) 社会保険の加入状況の確認・徹底と加入希望者への対応

4) 有給休暇の取得促進

5) 育児・介護休業の取得は正社員と同様の制度とする。

6) 再雇用者(定年退職者)の処遇に関する取り組み

(6) 職場における男女平等の実現

 男女の人権が尊重され、その持てる能力を発揮できる社会を作っていくことは日本の社会・経済の活性化と持続可能性維持にとっても極めて重要である。職場における男女平等の実現に向けて、別紙3「2017春季生活闘争における男女平等課題に関する取り組み」に掲げる次の取り組みを行う。
  • 男女間の賃金格差の是正
  • 男女平等の推進(女性活躍推進法、男女雇用機会均等法の定着・点検)

(7) ワーク・ライフ・バランス社会の実現に向けて(時短などの取り組み)

 健康で働き続けられる労働時間と過労死ゼロの実現、超少子高齢・人口減少社会が進むわが国の社会構造を踏まえ、「社会生活の時間」の充実を含めワーク・ライフ・バランス社会の実現をめざす。とりわけ喫緊の課題である総実労働時間縮減に向けて、労働時間管理の徹底、年次有給休暇の取得促進を「職場点検活動のポイント」も活用し取り組む。
  • 労働時間に関する協定・規約の見直し・強化(特別条項付36協定の適切な上限時間設定や適用にあたっての事前労使協議、勤務間インターバル規制(原則11時間)導入など)や、労働時間管理の強化などにより、過重労働対策を進める。
  • 時間外割増率を法定割増率以上に引上げる。とりわけ、中小企業における月60時間を超える割増賃金率は50%以上に引上げる。
  • 従業員50人未満の事業場においても安全衛生委員会の設置を行う。
  • 両立支援の促進(育児や介護と仕事の両立にむけた環境整備、次世代育成支援対策推進法にもとづく取り組みの推進、治療と職業生活の両立)に取り組む。
  • ライフスタイルに応じた働き方と処遇の検討を行う。

(8) ワークルールの取り組み

 すべての働く者の「底上げ・底支え」「格差是正」を図る観点から、ワークルールの取り組みを進める。
  • 雇用形態にかかわらない均等待遇の実現に向けた取り組み
  • 有期労働契約に関する取り組み
  • 改正労働者派遣法に関する取り組み
  • 若者雇用に関する取り組み
  • 高齢者雇用に関する取り組み
IV. 電力総連の基本方針

 電力関連産業を将来にわたり健全に発展させていくためには、人材の確保・育成、技術・技能の維持継承が最も重要である。そのためには、短期・中長期的な観点から、電力関連産業に働く者すべての経済的・社会的地位の向上を図りつつ、組合員とその家族の生活の安定・安心、やりがい・働きがいを実感できる魅力ある産業をめざし、以下の方針を基に取り組みを展開する。

  1. 賃金については、賃金カーブ維持分を確保したうえで、社会的役割と責任などマクロの観点からの「底上げ・底支え」や「格差是正・復元」などをめざした賃金改定に取り組む。
  2. 賞与・一時金については、年間賃金の一部として安定した生活を支える生活給部分を最低限確保することを基本として、過去の妥結実績、企業業績、生産性向上や職場実態などを勘案した要求を行う。
  3. 仕事と私生活の調和が図られる環境の整備について、法改正への対応や年間総労働時間の短縮など、ワーク・ライフ・バランスの実現をめざす取り組みを進める。
  4. 誰もが安心して働き続けることができるよう、ライフステージに応じた多様な働き方を選択することができる労働環境の確保・改善、制度の整備・充実に取り組む。
  5. 電力関連産業に働く者すべての底上げを図るため、法改正の趣旨を踏まえ、非正規労働者の労働条件全般にわたる待遇改善に取り組む。
V. 具体的な取り組み
1.雇用安定と人材確保への取り組み

 構成総連によっては、企業の再編や事業環境の変化、関連会社を含めたグループ企業の厳しい経営環境が継続している状況などから、雇用に対する不安が高まっている。一方で、社会的には雇用情勢が改善傾向にあるなかで、多くの産業において人材不足が顕在化しており、人材の確保が重要な課題となっている。
 今後も、電力関連産業が健全に発展していくためには、そこに働く者の雇用不安払拭と技術・技能の維持継承に必要な人材の確保・育成が重要な課題であることから、構成総連・加盟組合が総合力を発揮して諸課題の解決に向けて取り組む必要がある。

  •  加盟組合は、今次春季生活闘争において企業の経営状況や経営計画などを確実に把握したうえで、経営基盤の安定に向けた労使協議を行うとともに、雇用安定や人材確保の重要性について、労使の共通認識を醸成していく。
  •  加盟組合は、雇用安定に資する条項の整備に向けて、人事条項に関する事項について確認するとともに、労働協約の締結、整備・充実に取り組む。
  •  構成総連は、雇用安定に係わる諸課題の解決に向けて、労使懇談会の充実に取り組む。
  •  電力総連・構成総連・加盟組合・各部会は、状況に応じ申入れも含めた雇用安定につながる取り組みを行う。
2.賃金の取り組み

 加盟組合は事前準備として、自社の賃金実態把握を確実に行い、賃金カーブ維持分の確保に加え、社会的役割と責任などマクロの観点からの所得向上や電力関連産業全体の「底上げ・底支え」、「格差是正・復元」などをめざし、3,000円以上の賃金改定に取り組む。

(1) 自社の賃金実態の把握

 交渉の事前準備として、賃金実態を把握し賃金カーブ維持分に必要な原資の算出を行うとともに、賃金カーブの歪みや賃金分布の偏りなどの課題把握を行う。また、過去の賃金カーブと比較して、賃金水準が経年的に低下しているなどの要因の検証も十分に行う。
※賃金カーブの歪みとは:モデル賃金カーブと比較し傾きの度合いや歪みについて把握する
※賃金分布の偏りとは:年齢間や男女間などでのバラツキの有無について把握する

(2) 賃金カーブ維持分の確保

  •  賃金制度(昇給ルールが制度化されている)が確立している加盟組合は、その賃金表を維持する。
  •  賃金制度(昇給ルールが制度化されている)が確立していない加盟組合は、賃金カーブ維持分を要求する。
  •  雇用安定を優先して、定期昇給相当分の凍結や削減などを行わざるを得なかった加盟組合は、それを回復する。

(3) マクロの観点からの「所得向上」への取り組み

 「経済の自律的成長」と「社会の持続性」など社会的役割や責任からの所得向上や社会相場を踏まえた賃金の引上げに取り組む。

(4) 電力関連産業全体の「底上げ・底支え」への取り組み

 人材の定着・確保に向けた労働条件の引上げや魅力ある産業をめざした「人への投資」、生産性向上への貢献努力や経営環境などを総合的に勘案し、電力関連産業全体の「底上げ・底支え」に向けて賃金引上げに取り組む。

(5) 賃金の「格差是正・復元」への取り組み

 自社の賃金実態を把握し、電力総連ミニマム水準より低位にある加盟組合や経年的に賃金水準が低下してきている加盟組合は、以下に掲げる指標を参考に、要求水準を決定し、賃金水準の格差是正・復元に積極的に取り組む。

@  個別賃金水準が「電力総連ミニマム水準」を下回る加盟組合は、最低限必要な生計費を確保する観点から、その水準に到達するよう取り組む。

【電力総連ミニマム水準】
年齢 18歳 20歳 25歳 30歳 35歳 40歳 45歳 50歳
扶養 単身 単身 単身 配偶者+
子1
配偶者+
子2
配偶者+
子2
配偶者+
子2
配偶者+
子2
水準
(円)
153,800 162,300 188,300 225,200 277,500 310,700 337,000 357,600
※人事院標準生計費を基に算出

A  経年的に賃金水準が低下している加盟組合は、その実態を把握し、社会水準(厚生労働省:賃金構造基本統計調査・規模計)をめざすという考え方に基づき、格差是正および復元に取り組む。なお、電力総連加盟組合300名以下の個別賃金30歳ポイント(単純平均)での指標を示すと次のとおりとなる。

(参考)
指標1
  • 社会水準との格差是正
    個別賃金が直近の社会水準と比較し低位にある場合は、中期的にその格差是正に取り組む。【1,500円】
指標2
  • 自社賃金水準ピークへの復元
    自社賃金水準ピークへの復元をめざし、職場実態を踏まえ、中長期的にその復元に取り組む。【1,800円】
指標3
  • 社会水準ピークとの格差是正
    連合全体としてめざす水準であり、職場実態を踏まえ、中長期的にその格差是正に取り組む。【2,000円】
2017
指標
  • 社会水準回帰線との格差是正
    個別賃金が直近の社会水準と比較し低位にある場合の、短期的な取り組み。
    【2,900〜8,700円】

(6) 個別賃金水準の引き上げ

自社の賃金実態や個別の事情などを勘案し、個別賃金水準の引上げが必要と判断される加盟組合は、社会水準の確保や水準低下の回復、賃金カーブの歪みや賃金分布の偏りの是正など、以下に掲げる指標などを踏まえ取り組む。

@ 社会水準をめざす加盟組合は、下表の目標水準を参考に、その獲得に取り組む。

【目標水準】
  目標水準I 目標水準II
高卒18歳(初任給) 166,800円 166,800円
高卒20歳・勤続2年 172,000円 179,000円
高卒25歳・勤続7年 217,000円 241,000円
高卒30歳・勤続12年
(主要指標)
263,000円 290,000円
高卒35歳・勤続17年
(主要指標)
301,000円 335,000円
高卒40歳・勤続22年 345,000円 391,000円
高卒45歳・勤続27年 384,000円 442,000円

※ 電力総連賃金実態調査ならびに厚生労働省賃金構造基本統計調査の過去5年平均額を勘案し算出。目標水準Iは中位、目標水準IIは第3四分位。

※ 高卒18歳(初任給)については連合加盟組合における主要組合の高卒初任給水準を考慮し設定。

A 賃金制度改定による影響の検証と回復

 過去において労使合意した賃金制度について、月例賃金の一時的減額や定期昇給原資などを減額改定した場合など、その後の個別賃金水準の実態を把握し、自社の社会的位置取りや組合員の労働意欲向上を勘案し要求を行う。

B 賃金カーブの歪みや賃金分布の偏りの是正

 自社の賃金実態を把握し、歪みや偏りがあり、是正が必要と判断される場合は、その改善に取り組む。

(7) 配分交渉の充実

 生活の安定を確保し、公平公正でやりがい働きがいにつながる配分をめざし、要求策定段階から配分交渉を重視した取り組みを行う。

(8) 賃金制度の確立

 賃金制度・体系が確立されていない加盟組合は、賃金実態を把握し、自社の課題を明らかにしたうえで、労使による検討・協議の場を設置し、賃金制度・体系の確立に向け取り組む。特に、安定的な賃金水準を確保する観点から、定期昇給のルール化を図っていく。

(9) 最低賃金協定の取り組み

 パートタイム労働者なども含めた電力関連産業に働く者すべての企業内最低賃金として、以下の要求水準を踏まえて、組合ごとの最低賃金協定を締結する。
 【最低賃金締結基準:東京都・神奈川の地域別最低賃金時間額を考慮し、18歳相当額として月額「163,600円以上」または時間額「940円以上」】

※ 東京都(932円)神奈川県(930円)を考慮し、18歳相当額(940円)×法定労働時間(174時間)≒163,600円

(10) 初任給の引上げ

 技術・技能の継承を図るうえで安定的な新規採用は必要であり、労働需給の情勢や同業他社との比較・分析を行い、電力関連産業が求める人材が確保できるよう各加盟組合で要求額を決定する。なお、電力総連ミニマム水準18歳相当額を下回っている加盟組合はその確保に向けて取り組む。
3.賞与・一時金の取り組み

 賞与・一時金については、年間賃金の一部として安定した生活を支える生活給部分を最低限確保することを基本として、次により要求を行う。

(1) 要求水準
 「年間4ヵ月を最低水準」とする。なお、過去の妥結実績、企業業績、生産性向上や職場実態なども勘案した要求を行う。

(2) 要求・妥結方式
 賞与・一時金は、年間賃金の一部として位置づけ、夏冬型による年間要求・年間妥結を基本とする。

(3) 冬季分の扱い
 冬季分については、賃金引上げ後のベースを使用し、夏季分に準じた扱いとする。

(4) 支給日
 夏季分は6月上旬、冬季分は12月上旬とする。

4.仕事と私生活の調和が図られる環境の整備

(1) 年間総実労働時間の短縮
 労働時間の短縮は、地域社会や家庭とのつながりを大切にするとともに、心身の健康のために欠かすことのできない重要な取り組みであるという認識のもと、各加盟組合は、「電力総連時短指針」を踏まえ、年間総実労働時間1800時間の達成をめざし取り組みを行う。
 また、政府が最大のチャレンジとして年度内の取りまとめをめざす「働き方改革」においても、長時間労働は仕事と家庭生活の両立を困難にし、女性活躍や男性の家庭参画を阻む原因であるとして、法規制の強化や見直し、36協定における時間外労働規制のあり方の再検討など総労働時間の抑制に向けた取り組みを進めるとしている。加えて長時間労働は、過重労働による体調不良やメンタルヘルス不調、過労死といった問題も引き起こす要因ともなるため、過労死等防止対策推進法の趣旨などを踏まえ、長時間労働を解消するとともにライフステージに応じた多様な働き方を選択できるよう、健康で意欲と能力を十分に発揮できる環境づくりに取り組む。

@ 労働時間に関する労使協議の充実

  •  年間を通した労働時間に関する取り組みのフォローや、改善すべき事項について、労使の協議や話し合いを行い、協定化(議事録、覚書、確認メモを含む)を図るとともに、長時間労働解消に向けた労使行動計画の策定などに努める。なお、すべての加盟組合は、所定外労働時間や年次有給休暇取得率など、個人別の労働時間実績についてデータの開示を求め、半期ごとに労使確認を行う。

A 年次有給休暇の取得向上の取り組み

  •  労働者の心身の健康を確保する観点から、年次有給休暇の取得目標を、「電力総連時短指針」の「年間10日以上」をめざす。特に、取得日数が5日未満の組合員をなくすよう主体的な対応を図るとともに、計画取得や連続取得など、実態に応じた制度や対策を求める。
  •  年次有給休暇の完全取得が概ねできている組合は、初年度付与日数15日以上や年間20日付与となるまでの勤続年数の短縮を要求する。
  •  職場において、計画的に月1日以上は有給休暇の取得ができるよう、職場環境の整備やルール作りなどを行う。

B 年間所定労働時間短縮の取り組み

  • 年間の所定労働時間が2000時間を超えている加盟組合は、「電力総連時短指針」に基づき、休日日数を増やすなど年間所定労働時間を2000時間以下にできるよう要求を行う。

C 所定外労働時間の削減などの取り組み

  •  36協定の特別条項について、長時間労働防止や労働者の健康障害防止の観点に立った締結を行う。そのうえで、36協定遵守のための時間外労働の基本ルールについて労使確認を行い、同時に職場内の周知徹底を図る。
  •  休日労働時間を含む時間外労働は、1ヵ月45時間以下に抑えることを基本とし、少なくとも過労死につながるとされる1ヵ月100時間、ならびに2ヵ月連続80時間を超える過重労働につながらない業務運営を求める。
  •  過重労働に係わる医師の面談指導については、月間80時間を超過した者全員に実施することを基本に、月45時間超過者で健康への配慮が必要な者についても、その対象とすることを求める。
  •  所定外労働時間削減について、連合の「時短レシピ」や、「電力総連時短指針」などを参考に職場実態に応じた取り組みを検討する(定時退社日や計画年休取得制度の取り組みなど)。
  •  時間外労働の限度基準適用除外業務(建設業・自動車運転業務など)においては、他業種と同程度の上限時間を設定するとともに、設定された限度時間を超過することのないような業務運営を求める。
  •  長時間労働を防止し十分な休息時間を確保する観点から、勤務間インターバル規制の導入など、職場実態に応じた制度や対策を求める。

D 時間外割増率の引上げなど(改正労働基準法)への取り組み

  •  改正法の内容である「1ヵ月60時間超過50%割増」について、企業規模や働き方に関わらず、すべての職場に適用させるよう要求を行う。
     中小企業への適用猶予措置については、2019年4月1日をもって廃止とする改正法案が継続審議扱いとなっているが、現状のダブルスタンダードを放置することなく早期解消を求める。
  •  改正法で努力義務とされた「限度基準告示(一定期間が1ヵ月の場合は45時間)を超える時間外労働は法定割増率を超える率とするよう努めること」に基づき、法定に張り付いている組合は、割増率30%以上の要求を行う。
     また、法定を超える率となっている組合においても30%以上となるよう取り組む。
  •  長時間におよぶ労働は、労働者の健康に影響を与えると考えられることから、時間外労働は所定労働時間を超過したものとし、時間外労働の積算方法については、平日・休日の区別なく合算することとする。
  •  代替休暇の導入にあたっては、労働対価は本来賃金で支払うことが原則であるとの考え方を踏まえ、加盟組合は個別に判断することとする。
  •  年次有給休暇の時間単位付与の導入にあたっては、有給休暇は本来1労働日を単位として取得するものとの考え方を踏まえ、加盟組合は個別に判断する。ただし、職場ニーズなどにより制度を導入する場合には、制度の運用状況や取得実績を確認しながら日数を拡大するなど、慎重に対応を行う。

E ストレスチェック制度の活用について

2015年12月1日施行の改正法の趣旨に基づき、以下の項目を基本にそれぞれの職場において労使一体となった取り組みを進める。

  •  安全衛生委員会などを通じた労使対応を行い、制度の充実に向けて取り組むとともに、派遣労働者に対するストレスチェックの実施状況についても確認を行う。また、ストレスチェックの重要性について職場組合員に周知を行う。
  •  義務化の対象となっていない50名未満の事業場においても、メンタルヘルス不調の未然防止の観点から、実施に向けた労使対応を行う。
  •  ストレスチェックの結果については、本人が特定されないようプライバシー保護を前提とし、安全衛生委員会などを通じた把握・分析を行い、職場ごとの課題を明らかにしたうえで、改善に向けた労使対応を行う。

(2) 家族的責任が果たせる制度の整備・充実

@ 改正育児・介護休業法などへの対応
 2017年1月1日施行の「改正育児・介護休業法」など一連の改正法は、男女ともに子育てや介護をしながら働き続けることができる就業環境の整備を目的とし、企業の規模を問わず育児・介護休業の制度見直しや有期契約労働者の休業取得要件の緩和、ハラスメントの防止措置などの実施が義務付けられることとなる。
 近年の多様な家族形態・雇用形態に対応した両立支援制度や介護による離職防止に向けた制度の充実など改正法の趣旨や連合の取り組みに基づき、それぞれの職場において労使一体となった取り組みを進めることとする。

  •  今回改正される項目について、職場の調査・点検、周知徹底などに向けた労使対応を行うとともに、制度の充実に向けた取り組みを図る。
  •  妊娠・出産・育児休業・介護休業などを理由とした上司や同僚によるハラスメント防止措置を求めるとともに、派遣労働者に対する同様の措置や不利益取扱いの禁止規定が派遣元だけでなく派遣先にも適用されることから、職場環境の改善に向けた労使対応を行う。

A 仕事と育児・介護の両立支援の取り組み
 仕事と育児・介護の両立支援などを一層推進するため、「電力総連 仕事と私生活の調和」の考え方を踏まえつつ、男女がいきいきと働くことのできる職場環境づくりに向け、次の内容を基本に制度の充実に取り組む。

  •  育児休業を取得できる子の年齢について、法においては原則1歳まで(保育所に入所できない場合は1歳半まで延長可能)となっているが、希望する時に保育園に入園できない実態が多いことや保育園などの入園時期が主に4月ということを踏まえ、3歳の年度末をめざす。
  •  育児による短時間勤務制度については、未就学児童(小学校就学前)までを対象とし、既に未就学児童を対象としている場合は、放課後児童クラブの待機児童問題や、下校時の安全確保などを鑑み、対象とする年齢の拡大をめざす。
  •  次世代育成支援対策推進法の趣旨に基づき、行動計画の実施状況のフォローや、行動計画の更新の取り組みを行う。なお、義務化の対象となっていない100名以下の組合においても、次世代育成の観点から、職場状況を踏まえた労使対応を行う。
  •  両立支援制度の利用促進のためには、制度の充実に加えて利用しやすい環境づくりが不可欠なことから、職場実態を把握したうえで、必要に応じて労使協議を行う。
  •  介護休業は、介護期間の見極めが困難なことや必要とする介護状態が個人によって異なることから、介護休業期間の法定(通算93日)を上回る日数の付与や法定(3回)以上の分割取得を可能とする柔軟な制度構築をめざすとともに、介護休暇の法定(対象1人あたり5日)以上の日数付与や時間単位での取得、短時間勤務やフレックスタイム制度など、柔軟な働き方ができるよう職場実態に合わせた労使対応を行う。
  •  育児・介護のみならず単身赴任者支援など、家庭内や地域社会における家族的責任を果たしながら働き続けることができる環境整備に向けて、時間単位での休暇取得やフレックスタイム制度の導入など、職場実態に合わせた取り組みを行う。
  •  休業者の職場復帰後の支援方策や欠員時の職場対応ルールの確立に向けて取り組むとともに、やむを得ない事情により離職せざるを得ない状況となった場合の再就職・再雇用制度導入など制度充実に向けて取り組む。
5.誰もが安心できる労働条件や労働環境の確保

(1) 高年齢者雇用への対応
 2013年4月1日施行の改正法の趣旨に基づき、以下の項目を基本に高年齢者の活力向上につながる取り組みを行う。

  •  継続雇用制度を導入し、労使協定による対象者の基準を設けている場合は、希望者全員を対象とした65歳までの継続雇用とする労働協約の締結を行う。
  •  高年齢者の経験やキャリアを活かし、やりがい働きがいにつながる労働条件の整備や多様な働き方に向けた労使協議を行う。また、賃金制度の再設計を行う場合は、最低限必要な生計費を確保するとともに、高年齢者における社会水準をめざした取り組みを図る。
  •  高年齢者の就業の場を確保するため、働きやすい職場の創出、作業環境、能力開発、健康管理など、高年齢者の意欲につながる就業環境の整備に向けた労使協議を行うとともに、組織化に向けて取り組む。

(2) 女性活躍推進法に基づく取り組み
 2016年4月1日施行の女性活躍推進法や連合「第4次男女平等参画推進計画」および電力総連「男女平等参画社会の実現に向けた取り組み」を踏まえ、以下の項目を基本に取り組む。

  •  女性の活躍推進に向け、職場実態や課題の把握を行い、行動計画に反映するよう労使対応を行う。なお、義務化の対象となっていない300名以下の組合においても、法の趣旨を踏まえ、同様な取扱いとなるよう労使対応を行う。
  •  春季生活闘争の取り組みを通じて、職場ニーズや課題などの把握に努めるとともに、非正規労働者においても同様な取扱いとなるよう取り組む。
  •  女性の活躍推進に関する取り組みの実施状況などが優れた企業を厚生労働大臣が認定する制度「えるぼし」については、誰もが働きやすい労働環境を整備するという観点に加え、人材の確保や公共調達における加点評価などの優遇措置があることからも、認定取得に向けた取り組みを求めていく。

(3) 退職一時金制度の確立・整備の取り組み
 公的年金の支給開始年齢が引上げられるなか、安心した老後を過ごすための退職一時金の果たす役割はより大きくなっていることから、退職一時金制度が確立されていない加盟組合は、中小企業退職共済制度を活用するなど、早期確立をめざした取り組みを進める。また、制度が確立されている加盟組合は、電力総連のクリア水準である1,550万円以上の確保をめざす。

(4) 災害補償制度の充実の取り組み
 電力関連産業の社会的使命を果たす重責において、犠牲となった組合員の業務上災害補償制度は、人命という何ものにも代えがたい価値への補償という労使共通の理念をもって、制度が確立されていない単組については、制度化に向けた重点的な取り組みを行う。また、確立されている場合も、すべての加盟組合で電力総連のクリア水準3,500万円以上(業務上死亡・有扶者)の補償額をめざす。

6.非正規労働者の待遇改善の取り組み

 非正規労働者を中心とした賃金・労働条件の底上げ・底支えが社会的に求められており、すべての働く者の労働条件底上げの取り組みが必要となっている。電力総連においても、非正規労働者の待遇改善は、電力関連産業で働く者全体の底上げを図るものであり、「電力総連 パートタイム労働者等の均衡待遇にむけた取り組み指針」に基づき、同じ労働者の視点から、改正労働契約法・改正労働者派遣法・改正パートタイム労働法などの趣旨を踏まえ労働条件全般にわたる待遇改善の取り組みを進める。

(1) パートタイム労働者などの待遇改善の取り組み
  •  各企業が雇用しているパートタイム労働者などについて、労働条件などの実態把握、ニーズを把握するための対話活動などを実施し、当該者および労使の三者で共通認識を図り、今後の労働条件向上と組織化に向けた取り組みにつなげる。
  •  正社員と同視すべきパートタイム労働者などの正社員化または正社員化に向けたルール作りを行う。
  •  正社員とは異なる働き方をしているパートタイム労働者などについても、職務内容や労働時間などを勘案し、昇給ルールの明確化、一時金の支給、通勤費の支給、慶弔休暇などの整備、その他福利厚生制度などについて、正社員との均衡待遇に向けて取り組む。
  •  時給引上げについては、最低賃金協定額を考慮し940円をめざし、職務内容、契約期間の実態などを踏まえた要求または要請を行う。なお、940円を超えている場合は、今年度の地域別最低賃金引上げ額(平均25円)などを踏まえた要求または要請を行う。
  •  労働契約法の改正後4年が経過することから、有期雇用契約の雇用実態の確認や無期転換に関するルール作りを確実に実施するとともに、契約更新に関する労使対応を行う。
  •  有期契約労働者が無期契約労働者へ転換した際の労働条件については、働き方に相応しい処遇となるよう労使協議を行う。

(2) 派遣労働者の取り組み
 2015年9月30日施行の改正法の趣旨を踏まえ、派遣労働者のより一層の雇用の安定やキャリアアップを図ることができるよう、以下の項目を基本に取り組む。

  •  同じ職場で働く派遣労働者について、業務内容、受入規模、契約期間、就労場所、契約条件、契約会社名を対象に情報開示を求めるなど、実態把握の取り組みを行う。
  •  派遣期間を延長して受け入れる際に義務付けられている意見聴取については、要員に関する事項や雇用延長期間などについて、会社対応や労使協議を行う。
  •  派遣先に課せられた雇用安定措置や均等待遇、雇い入れ努力義務などの実施状況についても適宜報告を求める。
7.政策制度要求への取り組み

 連合は、政策・制度実現の取り組みを春季生活闘争とともにすべての働く者の底上げ・底支え、格差是正に向けた運動の両輪として推し進めるとしていることから、連合の中核産別としての役割と責任を果たすためにも、積極的に参画していく。

8.加盟組合の交渉推進強化への取り組み
 加盟組合の雇用安定、賃金水準や労働条件の維持向上を図るため、電力総連・構成総連は、加盟組合の要求案策定の段階から、情報連携を密にし、支援を行うとともに、次の考え方に基づいて取り組みを強化する。
  •  自社の経営環境を踏まえた、当該労使の真摯な論議による主体的な解決が図れるよう支援を行う。また、交渉環境整備として、取引関係が当該労使自治による春闘交渉に悪影響を及ぼすことがないよう、申入れや要請を行うとともに、グループ企業内における公正取引の推進についても、各構成総連で開催される労使懇談会や個別オルグなどを活用した取り組みを図る。
  •  労働環境点検活動の結果、労働協約などに改善・充実が必要な加盟組合や賃金実態把握が未実施、電力総連ミニマム水準に未達、賃金カーブ維持分が確保できていないなどの加盟組合と連携を強化し、加盟組合の実態にあった取り組みについて重点的な支援を行う。
  •  業種別部会ごとの賃金カーブ維持分の一部として、定期昇給相当分の情報開示を加盟組合の要求策定前に行い、電力総連内の相場形成に努める。なお、その他の加盟組合においても、構成総連内に対して情報開示に努める。
VI. 進め方

 連合2017春季生活闘争の進め方を踏まえたうえで、電力総連・構成総連・部会・加盟組合の連携を十分に図りながら電力総連の総力を結集して取り組むこととする。
 また、連合の各種共闘と連携を図りながら、有利解決に向けて取り組む。

1.要求書の提出

 要求書の提出については、平成29年2月21日を統一要求日として、一斉に実施する。ただし、事情により一斉要求への対応が難しい加盟組合は、遅くとも3月末までに要求する。

2.交渉推進体制
(1) 交渉体制
  •  電力総連は、中央交渉推進委員会を設置し、構成総連・加盟組合の交渉推進に向けて積極的に支援・調整を行う。
  •  構成総連および部会は、交渉推進委員会を設置して各々の責任体制を確立し、加盟組合の早期かつ有利な解決に向けて積極的に支援・調整を行う。
  •  加盟組合は、構成総連や部会と連携を図り、自立・自決を基本に精力的に交渉を展開する。
(2) 交渉の促進
  •  中央交渉推進委員会は、交渉状況を踏まえ加盟組合の交渉を有利に展開するため、「闘争の進め方」を発信する。加えて、連合中小共闘が発信する方針について、電力総連内の実態も踏まえたうえで、中小組合の賃金引上げ交渉が有利に進められるよう同様に発信する。
  •  構成総連および部会は、加盟組合の交渉推進を図るため、統一交渉ゾーンを設け一体となった交渉を展開する。特に構成総連は、中小組合の交渉推進に向けて支援を強化する。
  •  春季生活闘争に係わる情報は、交渉を促進するため適宜発信していく。
3.解決時期

 交渉のヤマ場は、連合の解決促進ゾーンを踏まえ設定することとし、遅くとも4月末までの解決をめざす。


以上
 
全国電力関連産業労働組合総連合ホームページに掲載された画像その他の内容の無断転載はお断り致します。
Copyright(C) 2004 The Federation of Electric Power Related Industry Worker's Unions of Japan all rightreserved.